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「有効性9割」ファイザー製ワクチンの作用機序、供給方法について

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2021年2月15日

最終段階の治験でワクチンの有効性を9割で確認

新型コロナウイルスのワクチン実用化は最終段階に入った――米製薬大手ファイザーは9日、ワクチンの臨床試験(治験)において9割の感染予防効果を確認したと発表。米メディアによれば早ければ年内、もしくは年明けにもワクチン供給が始まる可能性があり、米国内の医療従事者を優先して接種が行われると予想される。日本政府はファイザー社との合意により、2021年6月までに1億2千万回分(6千万人分)のワクチン供給を受けることになった。

ファイザー、ワクチンの効果9割超に

ファイザーは11月下旬にも米国食品医薬品局(FDA)にコロナワクチンの緊急使用許可を申請予定だ。日本国内でも治験(第Ⅰ/第Ⅱ相試験)を10月に開始したと発表しており、国際共同治験の結果と併せて製造販売の承認申請を目指している。

ファイザーは年内に最大5千万回分、21年には最大13億回分のワクチンの製造を計画している。米メディアによれば、米政府は最初の1億回分を確保し、最大5億回分の追加購入が可能で、欧州連合(EU)は2億回分を発注し、1億回分を追加購入できる契約を交わした。

ファイザーが独ビオンテックと共同開発中のコロナワクチンは「メッセンジャーRNA(mRNA)」を利用したもので、ウイルスの遺伝情報の一部を体内に取り込むことで細胞内にスパイク蛋白が作成され、このスパイク蛋白に対する抗体がつくられることで免疫を得られる仕組みである。

冷凍保存・低温空輸の供給網が不可欠

ファイザー製ワクチンは非常に分解されやすい物質で構成され、-70℃前後で冷凍保存する必要がある。そのため低温状態でワクチンを空輸し、ディープフリーザーを備えた保管施設から医療機関に配送する供給システムの構築が必要不可欠となる。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によると、ファイザーは米中西部ミシガン州カラマズーに大型冷凍庫350台を備えたワクチン保管施設を整備、ベルギーのプールスにも同様の施設を設置し、ワクチン承認に備えてすでに数十万回分が保管されている。ワクチン輸送用容器も開発され、スーツケース大の大きさの容器に最大5000回分のワクチンを10日間低温保存できる。ワクチン出荷計画も立てられており、欧米の両施設から1日で24台のトラックにより760万回分のワクチンを空港に輸送し、出荷から平均3日で予防接種会場へ届けることが可能だという。

7月末に開始したファイザーのワクチンの最終段階の治験参加者は約4万3500人で、2回目のワクチン接種から7日後の調査結果では、90%で感染予防効果が確認できた。今後も治験は継続され、ワクチン有効性の水準が変わる可能性はあることを示した。

ワクチンの有効性が9割に達したのはかなりの高水準と言える。FDAのガイドラインが定める緊急使用許可の承認に必要な有効性の水準は少なくとも50%である。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は米メディアに対し「ワクチンの有効性は75%以上が望ましいが、50~60%程度でも許容範囲だ」と述べたが、ファイザー製ワクチンの治験結果はいずれの水準も上回っている。

ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は同日「ワクチンは人々が待ち望むコロナ収束への突破口であり、世界的な健康危機を終結させる大きな一歩だ」と述べた。

ワクチン開発でトップを走るファイザーに次いで開発が進んでいるのが米モデルナだ。11月末までに最終段階の治験で有効性を確認できれば12月にもFDAに緊急使用許可を申請し、承認を受ける見通し。

最終段階の治験、一時中断のメーカーも

一方、開発に遅れが出た製薬メーカーもある。副作用などの原因究明のため、最終段階の治験を一時中断した米ジョンソン・エンド・ジョンソンや英アストラゼネカは、年内にワクチンの有効性が確認できる予定。米ノババックスは英国で9月から最終段階の治験を開始したが、米国内では治験用のワクチンの増産が遅れているため、1カ月延期され11月から開始する。

米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン氏は9日、ファイザーの発表を受け「素晴らしいニュースだ」と称賛。同日、新型コロナ対策チームを発足し、「ワクチンが幅広い層に提供可能になるまでには数カ月かかるだろう」と指摘し、同時に「エビデンスに基づき承認しなければならない」と述べ、米当局が安全性と有効性を確認する過程で拙速な承認が行われないようトランプ政権をけん制した。

中国やロシアはすでに一部ワクチンに対して特例の使用許可や緊急承認の形で実用化を急ぐ。FDAは拙速な開発リスクを指摘しており、ワクチンの安全性が課題である。ロイター通信によるとロシア保健当局は9日、国立ガマレヤ研究所で開発中の新型コロナワクチンの有効性が90%を超えたとの見解を示した。

日本政府は21年上半期中に国民全員分のワクチンを確保する方針で、ファイザーと同様に、英アストラゼネカとも1億2千万回分の供給で合意した。ファイザーのワクチンは1人2回接種、アストラゼネカのワクチンは1人1回もしくは2回の接種であり、両社を合わせると少なくとも1億2千万人分のワクチンが確保できる。

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