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小児のCOVID-19が重症化しにくい理由

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2021年2月15日

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)において、成人よりも小児の方が重症化のリスクが低いことで知られる。理由のひとつに、小児では成人と比べて免疫反応が強く、血管の状態も良いことを指摘した世界各国の研究データ解析による報告が12月1日付の「Archives of Disease in Childhood」に掲載された。

 共著者のマードック小児研究所(オーストラリア)のNigel Curtis氏は、「COVID-19の小児患者の大半は無症状か軽症で、症状があっても大半は発熱や咳、喉の痛み、味覚および嗅覚の変化にとどまる。また、感染症重症化のリスク因子となる免疫抑制薬などの治療薬を服用中でも、必ずしもCOVID-19の重症化リスクが高くなるわけではない」と説明した。「COVID-19における罹患年齢と重症化リスクとの関連について今後解明が進めば、予防や治療の向上につながる可能性がある」と述べている。

 著者らによると、さまざまな臓器――特に心臓や血管、リンパ管の壁を覆う内皮細胞は、加齢に伴うダメージにより老化することが知られている。また、内皮細胞の損傷がCOVID-19の重症化に寄与することも報告されている。「血管が傷つくと血栓形成が促進され脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性があるが、COVID-19の感染により傷ついた内皮細胞が血管の炎症を引き起こすこともある」と述べた。一方、小児では成人に比べ内皮細胞のダメージが非常に少なく、血栓が形成されにくいとした。

 糖尿病や肥満などの加齢性疾患も慢性炎症に関連するので、COVID-19の重症化にも関与するとみられる。小児では、生ワクチン(麻疹、風疹、ムンプスの混合ワクチンなど)接種により免疫系が強化され、さらに接種後の経過期間が成人に比べて短いことから、COVID-19重症化リスク低下に関連している可能性がある。

 筆頭著者のフリブール大学(スイス)のPetra Zimmermann氏によると、小児と成人には免疫系に大きな違いがみられ、「小児は成人より強力な自然免疫反応を示しており、新型コロナウイルスに対する最も重要な防御になる」と述べた。

 また、免疫記憶もCOVID-19に対する感染予防として重要な要因とみられる。著者らは、小児はCOVID-19以外のウイルスへの感染も多いことを指摘し、「何度もウイルスに感染することで自然免疫記憶が向上し、新型コロナウイルス排除能が高まっているのではないか」と述べた。

 さらに、喉や鼻、肺、胃などの常在細菌叢も新型コロナウイルスへの感受性に影響するという。「細菌叢は免疫の調節や炎症、疾患に対する防御において重要な役割を果たす。小児は特に鼻にウイルスや細菌を保有することが多く、これらの細菌が新型コロナウイルスの増殖を抑える可能性がある」とした。

 このほか、小児では成人と比較し抗炎症作用のあるビタミンD高値の傾向であることを指摘した。「ビタミンD欠乏症、肥満・慢性腎臓病の既往、黒人・アジア人などの人種がCOVID-19重症化のリスク因子となっていることを考慮すると、発症予防や治療にはビタミンD補充が有効かもしれない」と述べた。

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