【秋冬に要注意】つい食べ過ぎる、寝すぎてしまう…は「季節型うつ」の可能性
(※写真はイメージです/PIXTA)

秋冬になるとつい食べ過ぎてしまう、寝すぎてしまう…。そんな症状に身に覚えはありませんか? よく「食欲の秋」や「睡眠の秋」などと言いますが、実は過食や活動量の低下は「季節型うつ病」の症状の1つです。これからの季節を快適に過ごすために、「季節型うつ病」について見ていきましょう。

目次

  1. 秋から冬にかけて現れる「季節型うつ病」
  2. 季節型うつ病は、甘えではなく「脳の病気」
  3. 季節型うつ病の症状はさまざま
  4. 患者は「北国」や「若者」に多い?季節型うつ病の原因とは
  5. 季節型うつ病の治療法
  6. 休職するときの「手当金」の受取り方

秋から冬にかけて現れる「季節型うつ病」

毎年、秋から冬にかけて気分が落ち込み、やる気が出なくなったり、趣味を楽しめなくなったりするということはありませんか?

また、たとえば家族など、あなたの周りに、秋から冬にかけて表情が暗くなったり、活動量が減り、太りやすくなったりする人はいませんか? 程度の差こそあれ、家族全員が秋から冬にかけてなんとなく調子が悪くなるなどありませんか?

もしかしたら、季節型うつ病の可能性があるかもしれません。季節型うつ病の症状や原因、予防方法や治療法をみてみましょう。

季節型うつ病は、甘えではなく「脳の病気」

季節型うつ病とは、うつ病の一種です。うつ病とは、甘えではなく「脳病」であり、季節型うつ病も甘えや怠けているのではなく、脳病です。

季節型うつ病は、通常のうつ病とは違いますが、うつ病と同じような症状が出現します。

そもそも、うつ病は1つの疾患ではなく、複数の疾患が1つの病気に見えているのではないかと考えられています。「うつ病群」ということです。

この考えはまだ仮説の段階ですが、今後医学が進んでいくと、うつ病はさまざまな疾患が1つにまとめられていたと解明されるのではないかと言われています。

さまざまな疾患がまとまった状態だからこそ、薬が効くうつ病もあれば、効かないうつ病もあるというわけです。

「季節型うつ病」はうつ病群という仮説を支える、貴重な疾患パターンです。

季節型うつ病の症状はさまざま

季節型うつ病は冬眠に似ています。

<主な症状>

【秋~冬】
秋~冬にかけてだるくなって食欲が増します。主に炭水化物がすごく食べたくなり、過食があり睡眠時間も延びます。それに加え、普通のうつ病と同様に、気分の落ち込みや興味や喜びの消失、意欲や集中力低下、記憶障害、思考困難、焦りや不安などの症状があります。

【春~夏】
秋~冬の症状に加えて時々、春~夏にかけて気分が高揚し、活動的になる人もいます。その場合、診断名としては「季節型躁うつ病」になります

患者は「北国」や「若者」に多い?季節型うつ病の原因とは

季節型うつ病は緯度の高い地域(ノルウェー等)に多いと言われていて、また若者に多いのではないかとも言われています。

実は、哺乳類には皆冬眠するシステムがあると考えれられていて、人間も冬眠できるのではないかと研究されています。その遺伝子と何か関係がありそうですね。

空想の話ではなく、現実的に、患者さんの中には秋~冬にかけて毎年調子が悪くなる人はいるのです。

季節型うつ病の治療法

季節型うつ病の場合は抗うつ病を使い、季節型躁うつ病の場合には気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン)等を使います。

季節型だからといって特別な治療をすることはなく、いわゆる標準的なガイドライン通りの治療を行います。

<プラスαの治療法、予防方法>

季節型の場合、特殊な治療法があり、予防的に夏はサングラスをかけたほうがよく、秋冬は「高照度光療法」という治療を追加したほうが悪化を防げると言われています。

高照度光療法は「ライトボックス」で1日30~60分間ほど光を浴びるというものです。ただし光を浴びていれば、うつ病にならないというものではありません。ライトボックスにも予防効果はなく、落ち込んでいるときに使うのが良いと考えられています。薬物療法と併用すると良いと言われています。

普通の照明では効果がなく、ある程度光の強い専門器具でないといけないということです。

休職するときの「手当金」の受取り方

うつ状態がひどく、会社に出勤できなくなってしまった場合は休職となります。

休職中、社会保険に加入している人は、給料がもらえなくなったときに傷病手当金が支給されます。国民健康保険の場合は支給はありません。条件としては、「4日以上休業し、給与がない」ことです。支給される額は標準月額の2/3で、支給期間は最大1年半です。会社の保険によっては2/3にプラスしていくらかもらえることがあります。「自分の保険証の名称 傷病手当金」で検索すると情報が出てきます。

<申請のタイミング>

申請するときは、たとえば9月から休職した場合、10月に入ってから「9月○日〜9月30日まで休んだ」という診断書を書きます。9月の途中で9月末分までの診断書を書くことはできません。最大で2年間遡って申請できるので半年分くらいをまとめて書くこともできますが、基本的には月に1回出します。

<退職した場合>

休職中に退職した場合も、1年以上保険に入っていれば傷病手当金をもらうことができます。なお、休職中であれば保険料は引き続き会社と本人が負担します。

退職した場合の手続きとしては、ハローワークで失業手当の受給期間延長の手続きをお願いしています。そうすると、傷病手当が終わってこれから働けますよというときは、失業手当に切り替えることができます。

病気が原因で退職したけれど、その後うつが比較的速やかに良くなったという場合は失業手当をもらうことになります。この場合、特定理由離職者(うつで退職した)であることを証明できれば失業手当を早めにもらうことができます。また、うつなどが原因で就職困難者であることを証明できれば失業期間の支給期間が延びます。ハローワークや主治医によく確認してください。

益田裕介先生
益田 裕介(ますだ・ゆうすけ)
早稲田メンタルクリニック 院長/精神保健指定医/精神科専門医・指導医
防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、2018年に早稲田メンタルクリニックを開院。毎週水曜日20時半からYouTubeライブを配信している。
●YouTubeチャンネル:youtu.be/by6YXdRXZMI