脳科学を活用した、最先端の教育方法…自分を信じる力を養う子どもを育てよう
(写真はイメージです。/PIXTA)

最近、「自信を引き出すための子どもたちの学習法」の研究が脳研究者たちの間で注目を集めています。本記事では株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役の上岡正明氏が、最先端の脳科学と社会心理学の研究をまじえながら、自信を引き出すための子どもたちの学習法をご紹介します。

目次

  1. 日本人の子どもは世界的に見て自己肯定感が低い?
  2. 学ぶことが大嫌いな子どもは「ほめ方」だけで180°変わってくる
  3. テストや勉強の「型」にはめずに、大人のほうから寄り添っていく
  4. 結果だけでなくプロセスを心から楽しむ「ゆとり」を持ちましょう

日本人の子どもは世界的に見て自己肯定感が低い?

「自分を信じる力」を、一般的に自己肯定感と呼びます。子どもたちの自己肯定感をどうやって育てていけばいいのか、普段の生活のなかでどう自信を高めていけるのかが研究者たちの間でも長年のテーマとなっていました。そうしたなかで、注目されはじめたのが、親と子どものリレーションシップの在り方です。

日本の子どもは、ほかの国の子どもと比べて自己肯定感が低いです。文部科学省の「高校生の生活と意識に関する調査」(国立青少年教育振興機構、2015年)の調査では、「自分はダメな人間だと思ったことがありますか?」とアンケートを取りました。すると、日本の高校生でイエスと答えた割合は、なんと7割を超えてしまったのです。

続いて、高かったのは中国でした。これに、米国45.1%や韓国35.2%が続きます。このように、今、私たちの子どもたちの自信を取り戻す教育が求められているのです。

学ぶことが大嫌いな子どもは「ほめ方」だけで180°変わってくる

教育では「何かを学ばせるか」よりも、「どう学ばせるか」が重要です。大人の尺度で正解を押し付けてしまうのはよくありません。

たしかに、テストにおいては、最初から正解が決まっているかもしれません。正解を早く見つけられれば、効率よく問題なども進んでいけるでしょう。しかし、正解しなければならないという過度なプレッシャーを与えられた子どもは、そのぶん「自信」を無くしてしまうというデータがあります。

スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授がおこなった研究では、子どものほめ方によって、自信のあり方は大きく左右されることがわかっています。

この研究のなかで、ドゥエック教授が注目したのは、子どもの好奇心に対するコミュニケーションとその接し方でした。間違っても気にせず、新しいことをみずから学ぶことが大好きな子どもがいる一方で、成績がいいのに、失敗することをおそれて物事にチャレンジできない子どももいる。その差はどこにあるのでしょうか。

この研究で、親が子どもをどのようにほめているかが、この差を生むことがわかりました。この「ほめ方」ひとつで、子どもたちの自信のあり方、さらには積極的かどうかも、変わってきたのです。

ちなみに、このときドゥエック教授が行った研究はこうでした。子ども数百人を対象にして、難しいテストを10問与えました。その後、終わった後の「ほめ方」に差をつけたのです。

まず、最初のグループでは「成績優秀ですごいわ」と、その子の結果だけをほめまいた。次のグループでは、結果ではなく、「いいチャレンジだったわ、見直したわ」とその子のプロセスをほめました。

興味深いのは、このあとです。その後、同じ子どもたちに、新しい問題に挑戦するどうかを尋ねると、明確に差があられたのです。

まず、結果だけをほめられたグループは、難しい問題を避けて、より簡単に解ける問題に取り組み始めました。一方で、プロセスをほめられた生徒達は、間違う可能性を恐れずに、その9割が新しい難問にみずからチャレンジするようになっていたのです。

つまり、努力したプロセスをほめると、子どもはその行為や努力そのものに楽しさを感じるようになる、ということです。

テストや勉強の「型」にはめずに、大人のほうから寄り添っていく

ここからはわかることは、子どもを大人の「型」にはめてはいけないということ。たとえゴールは同じでも、成果を出すまでの子どもたちのプロセスに合わせて、コミュニケーションを取らないといけないわけです。

とくに、子どものうちに自信を持たせる教育をしていかないと、大人になって、頭はよくても積極性に欠ける性格になってしまう恐れがあります。それは、小さいうちにこのような大人の尺度による“ストレスのある教育”を受け続けたからにほかなりません。

子どもの好奇心や成長意欲をどう伸ばしていくかという考え方が重要なのです。

とくに、脳が急速に発達段階にある子どものうちから、「型」にはめずに、大人のほうから寄り添って、一緒にプロセスを楽しみながら成長していける。最先端の脳科学では、こうした子どもの家庭教育のあり方が理想とされているのです。

ときには、子ども部屋や教室から離れて、五感に刺激を与えてくれる大自然の中で、図鑑を片手に一緒に昆虫や花などを探していく。こうしたプロセスを重視したコミュニケーションを、日ごろからしていきましょう。

結果だけでなくプロセスを心から楽しむ「ゆとり」を持ちましょう

最後に、子ども教育はプロセスが大切、ということについて触れていきましたが、「子どもが集中しているときは、十分やり切った」という達成感を持たせることも非常に重要です。

砂場で遊びはじめたら、すぐに叱らず、まず本人が達成感で満たされるのを待ちましょう。ときにティッシュペーパーでいたずらをしたら、本人が全部出し切った後で、いいことと悪いことを教える、というのも教育の一つです(紙はもったいないかもしれませんが)。

ここに上げたのはあくまで一つの例ですが、「知的好奇心」を育むというのは、大人自身の満足ではなく、子どもたちが直に触れたり、考えたりする目線で考えてあげることが非常に重要なのです。

子どもは結構大人の表情を見ているものです。大人も一緒になって楽しんでいるとこを見れば、安心して積極的に学ぼうと興味を持ち始めます。逆に大人が厳しい顔をしたり、嫌々やっていることが伝わると、子どもは委縮して、自信を失っていきます。

脳科学にはに「ミラーニューロン」という考え方があります。他者の表情を見て、心が同じように反応してしまう神経細胞のこです。共感細胞ともいわれています。

子どもは真似て学ぶ、これはあながち間違いではありません。子ども教育は、最初のあなたのコミュニケーションの段階ですべて決まってくるわけです。

そのためにも、大人みずからが好奇心を持ち、結果だけでなくプロセスを心から楽しむ「ゆとり」を持つことが大切になるのです。

平松類先生
上岡 正明(かみおか・まさあき)
株式会社フロンティアコンサルティング代表取締役
MBA(情報学博士前期課程)修了
18年19年多摩大学客員講師
これまで上場企業や外資系企業を中心に800社以上の広報PR支援、新規事業構築、外資系企業の国内外PRや海外プロモーションのコンサルティング、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。
大学院にてMBA(情報学博士前期課程)修了。論文等を発表しながら多摩大学、成蹊大学、帝塚山大学などで客員講師等をとつめる。脳科学とヒトの行動心理に基づく研究セミナーは人気を博し、常に2カ月先まで満員。また、投資家としても活躍。
上梓したビジネス書は累計13冊。中国、台湾でも翻訳本が出版されて55万部となる。「日経ヴェリタス」をはじめ「週刊ダイヤモンド」「東洋経済オンライン」「プレジデントオンライン」や関西テレビ局に取材される。約14万人のチャンネル登録者を誇るビジネス系の人気ユーチューバーでもある。
所属学会として日本行動心理学学会、日本社会心理学学会、日本行動経済学会、一般社団日本心理行動分析学会、一般社団法人小児心身医学会、日本神経心理学学会の各会員。(入学順)

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