妊活さんのための秋の養生法
(※画像はイメージです/PIXTA)

秋は1年の中でも過ごしやすい季節のように思えますが、薬剤師/中医健康養生士の森川彰子氏は、秋は夏の暑さでエネルギーを消耗しているほか、秋雨前線到来による不安定な気候、寒暖差や乾燥を迎える季節でもあるため、油断できない季節だといいます。「季節の変わり目」として体調を崩しやすいこの季節、中国の伝統医学から「妊活さん」の正しい秋の過ごし方を見ていきましょう。

目次

  1. 「中医学」(中国の伝統医学)の養生法とは
    1. 中国の最古の医学書「黄帝内経」に記された秋の対処法
  2. 妊活さんが実践すべき「秋の養生法」
  3. 秋に多い「2つのトラブル」への予防法
    1. =秋風邪の予防=
    2. =乾燥トラブル対策=
  4. まとめ

「中医学」(中国の伝統医学)の養生法とは

中医学(中国の伝統医学)では、「人間の体は自然界との密接な関係を持っていて、体内のすべての部分が自然や宇宙とつながり、統一され、全体として成り立っている」という考え方があります。

自然界に変化がおきると人間はその影響を受け、変化に適応しようとします。適応できなくなった時には不具合が発生して、健康を損なうという考えです。

中国の最古の医学書「黄帝内経」に記された秋の対処法

2000年以上も前に誕生した中国最古の医学書「黄帝内経」には「昔の人は百歳を超えても衰えはなかった」という書き出しで始まり、古人が自然界の変化や病気にどのように対応したのかが書き記されています。そこには、

「秋は『収斂(しゅうれん)』の季節であり、万物が成熟して収穫される季節である。徐々に空からは強い風が吹き、台地には粛清とした気配が漂う。この季節には、鶏の寝起きのように、早く寝て早く起きることであり、心を安らかにして、悔やまず精神を落ち着かせて、秋の気が身体を損なうことのないようにし、やたらと動きまわって、肺を冷やさないようにする。これが秋の季節に調和した養生法である。もし、養生法に逆らって、精神を動揺させたり、秋の冷えにあたり肺を冷やしたりすると肺を損傷したり、冬になって下痢をする。」

と述べられています。

妊活さんが実践すべき「秋の養生法」

体を構成し、生命活動を行う基本物質として、「気(エネルギー)」「血(血液と血液が運ぶ栄養、ホルモンなど)」「水(血液以外の水分)」があります。

このうち、「気」は陽で「血」と「水」は陰に分類されます。

秋は夏までの盛んだった陽の気から陰の気へ入れ替わる過渡期です。陽の勢いが強かった夏には小さくなって出番を待っていた陰がバトンタッチを受けて走り始める時期にあたります。したがって、「陰」をしっかり養わなければなりません。

妊活さんの生理周期で考えると卵を育てる期間である、つまり基礎体温でいう低温期に「陰」が大事な働きをします。したがって、秋にしっかりと陰を養うことは、質の良い卵を育てる意味からも大事です。

春や夏より就寝時間を早めにし、睡眠時間を確保しましょう。日照時間が短くなってくる秋には、夕方からは活動を控えて、陰の時間を増やしていきましょう。夜遅くまで仕事をしたり、テレビを観たりして起きていると、陽が亢進(こうしん)状態のままで、陰を養うことができません。

西洋医学で考えると、交感神経が優位な状態が続くことになります。交感神経と副交感神経のバランスが崩れるとホルモン分泌にも影響が出てしまいます。

また、秋は乾燥する季節です。秋によく活動する「肺」は潤いを好み、乾燥を嫌います。乾燥により「肺」がダメージを受けると免疫力も低下し、空咳や風邪や喘息などの呼吸器系疾患や肌荒れ、便秘などが現れやすくなります。

秋はすがすがしく爽やかな季節ですが、一方では美しく紅葉した葉はやがて落ちて枯れていきます。わたしたちは物寂しさを感じ、情緒の不安定や感傷的になりやすい季節です。

情緒の不安定な状態は自律神経を乱し、ホルモン分泌を乱すことにつながります。卵の発育がうまくいかなかったり、排卵障害や高温期が十分に保てなくなります。悲しみ過ぎると肺気を消耗し免疫力も下がってしまいます。

秋に多い「2つのトラブル」への予防法

トラブル1:寒暖差による秋風邪(食欲不振・だるさ・冷え)

トラブル2:乾燥によるトラブル(肌・呼吸系)

=秋風邪の予防=

・皮膚呼吸を活発にして風邪を発散させましょう。

・乾燥が原因の粘膜の炎症を潤してあげましょう。

・お腹を温めたり、スタミナをつけて免疫力をアップさせましょう。

~おすすめ食材~

白ネギ、葛粉、生姜、梨、大根、うなぎ、山芋、にんにく、ゆり根

=乾燥トラブル対策=

・肺の機能を活性化しましょう。

・肺の潤いアップして機能低下を防ぎましょう。

~おすすめ食材~

キノコ類、果物類、種子類、白きくらげ、舞茸、しめじ、梨、ぶどう、桃、いちじく、りんご、ぎんなん、落花生、アーモンド、栗、胡桃

■食材の効能 ひとくちメモ       

・舞茸、松茸、椎茸、しめじなどきのこ類は肺を潤し、また含まれるβーグルカンはがん予防に働きます。食物繊維も豊富で腸内環境を改善してくれます。

・潤いUPなら白きくらげ、エリンギが一番!

・エリンギには葉酸も含まれています。妊活さんにはいいですね。

・柿と蟹はどちらも寒性食材。食べ合わせNG!体を冷やしすぎるので注意してくださいね。

・補気力の高さは何といっても桃。体を温める性質の数少ない果物一つ。

・いちじくは浣腸でおなじみ!肺も大腸もケア。お通じがよく出ます。だから食べ過ぎには注意してくださいね。

・りんごは下痢にも便秘にもどうぞ!

・ナッツ類は油が豊富で便秘解消。ミネラルも豊富で妊活さんのおやつにはおすすめ。酸化しやすいので冷蔵庫で保管してくださいね。

まとめ

秋の夜長と言いますが、夏の疲れをとるためにも、秋は意識して体を休める時期といえます。

今では年中おいしい食べ物が手に入りますが、昔は実りの秋にしっかりと食べて、食物の少なくなる冬に備えて体に栄養を蓄えていました。

冬に備えて「陰」をしっかり養うことは、妊活においても大事であることがお解りいただけたかと思います。陰を養うことで、血も養われます。

日頃からの「睡眠」「心穏やかに過ごす」とともに、肺を潤し陰を養う「食事」にも気をつけてくださいね。

森川彰子
森川彰子(もりかわ・あきこ)
薬剤師、中医健康養生士、子宝カウンセラー、和学®薬膳博士。病院・調剤薬局での実務歴30年以上の薬剤師。整形外科医院で、対症療法を行ってもまたすぐに痛みを訴えて来院する腰痛・ひざ痛の高齢者たちのレントゲン写真に写るボロボロの骨を見て予防の大切さを痛感。他にも、症状が出てから薬が処方される医療では健康で充実した人生を守りきれないと感じる。予防という概念がまだ世間になかった20年前に、手探りでアロマやサプリメントなどを手始めに病気にならない生活と身体づくりを学ぶうち、中医学(中国伝統医学)と出会う。その後、漢方薬店での相談業務を通じて、子どもを授かりたいと切実に望むご夫婦に寄り添える伴走者でありたいと、薬学・中医学・薬膳などの知識も活かして授かりやすい身体づくりの指導とカウンセリングをスタートし、現在に至る。
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