自分の言葉が伝わりにくい人と対話するコツ
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話がどうにも伝わらない経験をすると、自分の伝え方を反省する方もいらっしゃいますが、実はこれは誰にでもあること。日テレHR代表/プロデューサーの大澤弘子さんがすすめるちょっとしたコツを覚えることで、劇的に改善するかもしれません。

目次

  1. 話が伝わりにくい人に対処する方法
  2. 伝わりにくい理由
    1. 相手の年齢や知識に寄り添って、用いる論理や言語を選択すること
    2. 相手の興味関心があることから話をはじめる
    3. 相手にとっても「関係があること」として話す
  3. 伝わらない相手と話すときの一手
    1. 「呼吸」を合わせる
    2. 話を一旦「リセット」する

話が伝わりにくい人に対処する方法

新入社員の女性サラリーマンさんからSOSをもらいました。

入社してから一生懸命にやってきました。配属された部署に1人、どうにも意思疎通がうまくいかない先輩がいます。意地悪をされたりということはないのですが、他の人と同じように伝えても、「なぜそう理解されてしまうのか」分からないことを言われたりします。その方から質問されると「また失敗したか?!」と自分で焦ってしまって、しどろもどろになっていきます。伝わりやすくするためには自分が成長しなくてはと思うのですが、他の方には伝わっているようで、何を改善したら良いのか分からなくて・・・。

同じ言葉を使って伝えているつもりでも、その場にいた他の方には伝わっているのに、どうにも真意が伝わりにくい相手というのは、たしかにいますよね。サラリーマンはもちろん、学生さんでも地域コミュニティの中でのコミュニケーションでも、実は、聞いてみると、そんな相手が誰にでもいるものです。

まず、誰にでも起こることと思ってください。「自分の言い方が悪い」「自分の話が下手なせいだ」など、自分を責めないで頂きたい。改善しようとするあまりに「自分のダメなところ」を探してフォーカスし続けると、自己肯定感が削られてしまうので、やめた方がいいです。ちゃんと伝わっている人もいるので「あなたのせい」ではありません。

伝わりにくい理由

「伝えたい」ことが相手に「伝わる」ためには、主に3つの要素が必要です。

  • (1)伝えたい!気持ちを強く持つこと
  • (2)わかりやすい論理と言語で発信すること
  • (3)「相手の気持ちが開くアプローチ」を実践すること

周囲にいた他の人にはあなたが伝えたいことが伝わっているとすると、(1)と(2)は少なくとも問題ない程度にはできていると考えられます。論理的にも問題なく、言語的にも問題ないということですね。では、何が理由で「伝わらない人」が出てきてしまうのでしょう?

(3)について考えてみましょう。「相手の気持ちが開くアプローチ」というのはどういうことなのでしょうか。さまざまな要素がありますが、シンプルにまとめるとこんな感じになります。

相手の年齢や知識に寄り添って、用いる論理や言語を選択すること

子どもに伝えるときと、高齢者に伝えるときとでは、話すスピードや使う言葉が変わってきますね。

相手の興味関心があることから話をはじめる

「目的は?」ということがいつも先頭に来る人には、最初に「目的」を伝える。ゆったりと気持ちを聞くのが好きな人には、まずは近況を聞く雑談から入る。「今から話すことの目的はこれ」と端的に言い放つと、恐怖や不安、圧迫などのストレスを与えてしまうこともあります。

相手にとっても「関係があること」として話す

話し手がやりたいこと、なそうとしていることがあるのは素晴らしいことですが、聞く側にとって関係がない話は相手の耳に届きません。だって、関係ないから。

人に伝えるためには「協力を得たい」「助言が欲しい」「人を紹介してほしい」などその人に伝える目的があるはずです。それを相手が聞き入れてくれた先にどんな未来が待っているのか、相手に関係する部分が皆無の話には、人は耳が開きません。

冒頭の相談者さんのケースでは、一人の先輩にだけ、いつも「伝わらない」のだそうです。そこから想定できることは次のようなことになります。

  • 聴き手の先輩の気持ちが閉じている可能性
  • 相談者さんの話を、相談者さんが聞きたくないと感じている可能性

などです。どちらにしても「聴き手の方のコンディション」が関わっていますね。正解が見つからなくて当然です。

こんなとき、わたしが実践していることがあります。簡単なことです。でも意外と効果があるので、お伝えしてみます。よかったら試してみてください。

伝わらない相手と話すときの一手

まず前提です。できる限り、相手に対して苦手意識を持たないこと。言葉に出さずとも、人の思考は一定の周波数を伴って、近くにいる人に伝わります。機嫌の悪い人が会議室に入ってきた途端、それまで活発に議論していた空気が停滞するような経験はありませんか?これはイライラした周波数が近くの人の感情に影響を与えている最たる例です。

うまく伝わらない経験が多い相手であっても、自分からその経験にフォーカスしては逆効果。「今回もうまく伝わらないかもしれない」と思って話すと、確実に「伝わらない度」が上がります。とはいえ、何回も伝わらない経験をしていると、こちらも人間、どうしても腰が引けるし、気持ちも前向きになれませんよね。よくわかります。

「呼吸」を合わせる

ここで一手です。相手と「呼吸」を合わせてみてください。

人間は生身の生き物です。特に、呼吸のスピードや深さはダイレクトにメンタリティに影響を与えます。先輩の呼吸に合わせたスピード、深さで、自分自身も呼吸するようにしてみてください。姿勢も合わせられたらぜひ合わせていきましょう。ゆったり座っているなら自分もそうする。足を組んでいたら自分もさりげなく同じポーズにしてみるなどです。

話を一旦「リセット」する

話の途中でうまくいかなくなって、そこから改めて呼吸を合わせるのが難しい場合は、一旦、リセットできると有効です。一度、これまでの流れを断ち切るのです。

具体的には、「ちょっと空気悪いですねー、換気しますねー」などと言って、席を立って窓やドアを開けにいく。新しい温度の空気が流入することで、それまでの呼吸の流れを断ち切り、リセットすることができます。他に、「1分だけ待ってください!デスクにXXXを置いてきてしまいました!」と、自分が一旦、部屋を出ることも有効です。

他者と協力して何かを成し遂げるとき、綱引きでも、バレーボールでも、リレーのバトン渡しでも、オーケストラでも「息を合わせる」ことはとても重要です。

相手のリズムに同期して、その呼吸で話すと、スピードも流れも、相手にとって抵抗なく受け入れやすいものになり、自然と耳も開きます。早口の人は、ゆっくり話す人にイラっときますし、ゆっくり話す人にとっては、早口でまくしたてられると、圧迫感を感じたり不安が醸成されたりして、最後まで話に集中して聞けなくなってしまいます。

相手が無理なく意識せずに刻んでいる呼吸のリズムを観察して、できるだけ同期させるイメージで近づくと、あなたの言葉が相手に入りやすくなりますよ。とてもシンプルなことですが、ぜひ一度、試してみてください。

大澤 弘子
大澤 弘子(おおさわ・ひろこ)
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。
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