ストレス社会で増加している「男性の更年期障害(LOH症候群)」
(画像=(※画像はイメージです/PIXTA))

テストステロン(男性ホルモン)が急激に減少することで起こる男性の更年期障害(LOH症候群)。コロナ禍によるストレス等を背景に増加しているといいます。今回、東京国際クリニックの院長である高橋通氏が、LOH症候群に関する症状および治療、予防方法を解説します。

目次

  1. 40歳以上は要注意…更年期障害は男性も発症する
    1. 多彩な症状
  2. LOH症候群が発症する原因となるもの
  3. LOH症候群が疑われる場合には
    1. 治療について
    2. その他の疾患との関係
  4. 男性更年期障害の予防

40歳以上は要注意…更年期障害は男性も発症する

「最近どうも疲れやすい」「仕事に集中できない」「1日中だるい」「イライラすることが多い」「性欲がない」このような声を40歳代以上の男性からよく伺います。

これらは不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼ばれ、更年期障害の症状の特徴とぴったりと符合します。

従来は「更年期障害」と聞くと閉経前後の女性の疾患と思われがちでした。しかし最近では男性にも同様の更年期障害があることが少しずつ分かってきました。

早い方は40歳代から始まる様々な症状のある症候群です。

多彩な症状

テストステロン(男性ホルモン)が減少すると様々な症状が発現します。

この他にも不眠、肩こり、筋力低下、頻尿、筋肉痛などもあり、さらに女性の場合と同じく、ほてり、のぼせ、手足の冷え、多汗なども挙げられています。

また、テストステロン減少により全疾患での死亡率、心血管系疾患の死亡率、がんによる死亡率も高くなるという報告もあります。加えてテストステロンと転倒の相関を見た研究では、テストステロンの減少で転倒しやすくなると結論づけています。

LOH症候群が発症する原因となるもの

ヒトは様々なホルモンのバランスによって生きています。性ホルモンもまた然りです。

若い頃には十分にあった男性ホルモン(テストステロン)も加齢と共に徐々に減少していきます[図表1]。体内でテストステロンを作り出す機能も加齢と共に衰え、ホルモンバランスが崩れて様々な症状となって現れるのです。

[図表1]加齢によって減少するホルモン
(画像=[図表1]加齢によって減少するホルモン)

また、ストレスや環境からの影響も考えられます。

LOH症候群が疑われる場合には

まず、LOH症候群かどうかの検査を受ける必要がありますが、検査は容易です。問診票に答え、血液検査を受けるだけです。

血液検査ではホルモンを作り出す大元であるDHEA-sの値や男性ホルモンの一種であるテストステロン値、前立腺の状態を示すPSAなどの項目に沿って行われます。

治療について

治療はテストステロンの補充療法で行います。この療法は、血中の遊離テストステロン値が8.5pg/mL未満で症状を伴う場合には、まずお勧めします。

11.8pg/mL未満の方には、適用を検討します。

テストステロン製剤125㎎を筋肉注射で2~3週ごと、もしくは250㎎を3~4週間に1度投与します。

テストステロン製剤の副作用はニキビ、多血症などです。

さらに軟膏製剤もあり、これは顎の下や陰のうの裏などに塗布するという方法です。

ただし、以下の方にはこの補充療法は実施できません。

  • 前立腺がんの方
  • PSA2.0ng/mL以上の方
  • 前立腺肥大の方
  • 乳がんの方
  • 多血症の方
  • 重度の肝機能障害の方
  • うっ血性心不全の方
  • 重度の高血圧の方
  • 睡眠時無呼吸症候群の方

その他の疾患との関係

テストステロンはメタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、動脈硬化などと関連があるとの報告もあります。

糖尿病の方の約半数はED(勃起障害)がみられますし、70%の方には冠動脈病変もあると言われています。

男性更年期障害の予防

加齢と共に自然に減少するテストステロンの低下を予防することはなかなか困難ですが、ホルモンの母であるDHEA(※)の働きによってリスクを減らすことも可能です。DHEAはサプリメントで補うことができます。

※ 海外ではサプリメントとして市販されており、健康意識が高いビジネスエリートは積極的に摂取している。ただし、日本では医薬品の指定を受けているため、医療機関でなければ入手できない。

ED治療の薬効をより高め、血管を拡張する活力の素、アルギニンやシトルリンを含むエナジー系のサプリやコエンザイムQ10、亜鉛などのサプリメントもお勧めです。

生活習慣としてはお酒や油ものの多い食事を控えめにすることや、筋肉に負担をかけることでテストステロン量が増加することも証明されていますので、適度な筋肉トレーニングも大切です。

さらに、副交感神経が優位になる良質な睡眠も症状の改善と予防に繋がります。

高橋通(たかはしとおる)
医学博士/循環器科専門医/総合内科専門医/抗加齢医療専門医/人間ドック認定医/医師会認定産業医
1994年筑波大学医学専門学群卒業。1994年から2004年まで国立国際医療研究センター病院に勤務し、2008年東京大学大学院にて博士号を取得。2015年より東京国際クリニックの院長となる。生命の源である心臓、その循環器の専門医として、また、救命医療で培った経験を活かし、「命を守る」人間ドックを推進している。