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(※画像はイメージです/PIXTA)

近年、大人になって「この世の中はとても生きづらい」と感じている人が増えています。メンタル面では、アダルトチルドレン(AC)と呼ばれる人たちの可能性があり、癒しや回復に向けての作業が行われています。

この記事ではカウンセラーの結城 恵美さんが、ACとは何か、ACの人の特徴にはどんな種類があるか、という点について解説いたします。

目次

  1. アダルトチルドレンとは?
  2. アダルトチルドレンの主な5つのパターン
    1. ACのパターン①:優等生
    2. ACのパターン②:問題児
    3. ACのパターン③:世話焼き
    4. ACのパターン④:ピエロ
    5. ACのパターン⑤:空気のような存在
  3. アダルトチルドレンの白黒思考とは?
    1. 白黒思考だと生きづらく感じる理由①
    2. 白黒思考だと生きづらく感じる理由②
    3. 白黒思考だと生きづらく感じる理由③
  4. まとめ

アダルトチルドレンとは?

一般には「アダルトチルドレン」(AC)と言われ、ACとはadult children of alcoholicsの略称です。

ACは「パーソナリティ障害」「認知症」「うつ病」のような診断名ではないため、伝統的な精神医学や心理学の世界では使われていません。つまり、ACは病気ではないということです。

しかしながら、世の中に一定数はいると言われており、社会で生きていくのが辛い、大変だと感じる人も少なくありません。

ACが指すものは昔と今で少し変わってきています。

・元々のACが指すもの アルコール依存症の親がいる家庭で育った子どもが、成長して大人になっても、人間関係が上手くいかない、社会ですごく生きづらい、そういった問題が発生していた人のこと

・今の社会でACが指すもの 今ではもう少し広義な意味で捉えられており、「アルコール依存症の親がいる家庭」のみならず、機能不全家族で育ち、それが原因で大人になってもトラウマを抱えている人たちのこと

アダルトチルドレンの主な5つのパターン

アダルトチルドレン(AC)は、「チルドレン」とついていますが、子どもというわけではありません。自己犠牲的に自分を大事にする力を養うことができていないまま大人になっている人たちのことです。ここからは具体的にACになりやすい特徴を探っていきます。

ACのパターン①:優等生

小さい頃から勉強ができたり、しっかりしてるねと言われたりして育ってきたタイプです。

「優等生でいると両親や他者から褒められた」という経験から、自分は優等生でいれば受け入れてもらえるんだという思考が強化されています。こういう方たちは高学歴や一流企業勤めなど、仕事で成功をしていると世間からは言われるタイプです。

ACのパターン②:問題児

優等生と真逆の問題児もACになりやすいパターンの一つです。かつては、優等生になろうとトライはしてみたけれども、結果が出ないと学んだ方たちです。

優等生ではないけれども、親や他者の注目を引くためにはどうするか。さまざまな問題を起こしてしまいます。不良になったり、暴力をふるったりする子もいるかもしれません。頻繁に嘘をつく、万引きをするといった問題行動を起こす場合もあります。

ACのパターン③:世話焼き

「○○ちゃん大丈夫?」や「○○ちゃん、▲▲いらない?」というように、他人のことに気が付いてしまう世話焼きタイプです。人の面倒を見ることで、周りの大人から「優しい人だね」とか「良い人だね」と言われるポジションを取ります。

このポジションは、他者から承認を得られやすいため、自分がやりたいかどうかは置いておいて、とにかく他人から承認を得るという目的でやっている場合が多いです。

ACのパターン④:ピエロ

必ず、クラスに一人はいたであろう、ピエロタイプもACになりやすいと言われています。おどけて、みんなを笑わせる面白いタイプの子どもです。「あなた面白い人だね」と他人から承認を得ます。

家庭でも家族を笑わせることで、「この子がいたら和むね」と親から承認を得られます。そもそも機能していない家族は空気が悪いので、そこでおもしろおかくしてトラブルをなかったことにするのを覚えてしまっているのです。

ACのパターン⑤:空気のような存在

空気のように自分の存在を隠して生きていくというパターンもあります。これは大人になってもいますが、「あの人、今日の飲み会来てたっけ?」「○○さん、今日出勤していたよね?」と思われる存在の人です。

全く自己主張をせず、空気のように息をひそめて生きています。他者から承認を得るというよりは「問題を起こさない」ということに注力するタイプです。

子ども時代に「自分が何か行動することで、すごく大きなトラブルが起こりそうだ」と過度な予測をしてしまったがために「息をひそめて生きていくのが得策なんだ」「これが自分の生きる道なんだ」と学習し、訓練されてしまう人たちです。

ACだと自覚し、生きづらさを感じている人はこの5つのパターンが混在し合っています。たとえば、長子だと弟や妹の面倒をみるので、自然と世話焼きになります。優等生でいよう、場を和ませるようにおちゃらけたことを言おうなど、子どもなりに考えて、優等生、世話好き、ピエロの要素が混在するパターンも考えられます。

このように、ACになる子どもの目的は、とにかく自己犠牲的に自分の欲求を覆い隠して、身を守りたいということです。機能していない家族、安心安全が得られないような家族の中でどのようなポジションを取れば、他人からの承認が得られ、自分がそこに存在できるのかということを常に考えています。命をかけてポジション取りをするので、訓練されてしまい、大人になってもその癖が抜けなくなってしまうのです。

アダルトチルドレンの白黒思考とは?

アダルトチルドレン(AC)の人たちはなぜ、社会で生きづらさを感じるのでしょうか。そこには「白黒思考」と呼ばれる思考パターンが大きく関係しています。

世の中は白黒だけでは判断が付けられないグレーなことがたくさんあります。しかし、ACの人によく見られる思考パターンでは、物事はすべて白か黒の二択で、現実世界にグレーなことがある、ということすら考えられません。考えられないのですから、もちろん受け入れることもできずに、社会は生きづらいと感じてしまうのです。

白黒思考だと生きづらく感じる理由①

世の中にはグレーな部分がたくさんあり、白黒で判断できないことが多いためです。正論ばかりを並べても解決しない問題もあります。答えが出ないようなこと、微妙にこういう感じかなといった感情が伴うこと、この時はこうだけどこの時は違うよねと場合に応じて対応しなければならないことなど、世の中は白と黒とで割り切れるようにはできていません。

その時々でさまざまな選択をしてもよいのが人間世界です。白黒思考が強い方は現実に即していない白か黒しかない世界、つまり現実ではなく、ファンタジーの世界で生きていると言えます。

たとえば、コロナ禍でのマスク警察などはわかりやすい例です。マスクをしていない人を見ると例外なく厳しく取り締まる人たちは、「いかなるときもマスクをしていないのはいけないことだ。マスクをすべきだ。」という考えに囚われていると言えるでしょう。

もちろん、コロナ禍でマスクをすることは大切なことですし、正しい判断ではあります。しかし、もしかしたら真夏、炎天下で暑いから一時的にマスクを外しているのかもしれません。赤ちゃんや子どもは大人よりも体温が高いので、マスクをずっとつけていると呼吸が苦しくなる場合もあるかもしれません。そういった、マスクを付けていない理由やグレーな部分を想像できずに、「すべきマスクをしていないのは良くない」「守るべきルールを守っていない」と非難するマスク警察の人たちは白黒思考の方です。

白黒思考では、グレーな部分が考えられないため、世の中の仕組みと合わず、生きづらく感じてしまいます。

白黒思考だと生きづらく感じる理由②

2番目の理由は、白黒思考の方は、外部のルールや指針に従いすぎて疲れてしまうためです。

白黒思考の人は、自分の行動判断をその思考だけで判断し、外部のルールや指針が最も大切だと思う傾向があります。

外部のルールを優先すると、自分という人間をどんどん蔑ろにしてしまいます。たとえば、疲れているからもうちょっと休みたいな、仕事中だけどちょっとさぼってしまおうかな、といった感覚になる時がありますよね。そのとき、白黒思考の人は、「仕事をするべきだ」というルールを重んじて、そのまま仕事を続けてしまいます。もちろん、これは悪いことではありません。しかし、自分の中では「感情」と「思考」の間で綱引きが起こってしまいます。このようなことを繰り返していると、気づかないうちにうつ病などになっていることがあるのです。

白黒思考だと生きづらく感じる理由③

白黒思考の人は、他人を責めるような気持ちを持つことが多く、他罰傾向にあります。世の中のことにストレスを感じやすく、生きづらいと思ってしまいます。

白黒思考の人は、自分が白か黒かのどちらかというルールを守って生きていくというようなタイプなので、他者がそれを守らない場面を見た時にストレスを感じてしまいます。「自分は疲れているのに休まずやっている。なぜあの人は休んではいけない時に簡単に休むんだ」、「自分はルールを守っているのに、なぜあの人は守らないんだ」といったように、自分の中にストレスがたくさん溜まっている状態です。そのような状態で心に余裕がないため、他人を責めてしまいます。責める方も責められる方もお互いに嫌な気持ちになり、人間関係が悪くなっていくという事態が起こります。

社会で生活する上で、人間関係は切っても切り離せないものです。ACの人は感情よりもルールや規範を優先しがちです。そういった白黒思考で、他人を批判する傾向にあるため、世の中では人間関係をうまく築けず、生きづらく感じてしまうのです。

まとめ

アダルトチルドレン(AC)の主な特徴を5つ挙げましたが、大まかなものです。すべてのACの方がこの5つのパターンに当てはまるわけでもありません。この記事を読んで、自分はもしかしたら、ACかなと感じた人は、ACチェックリストでさらに詳しく調べてみるとよいでしょう。

ACの方は白黒思考を持っている傾向があります。規則を重んじる考え方は、世の中の秩序を保つためには必要ですから、間違っているというわけではありません。しかし、感情を無視して、白黒思考通りに動こうとするとしんどくなってしまいます。人間は感情があるから人間らしく生きられます。時には自分の感情に耳を傾けることも大切にしましょう。

そうはいっても、なかなかすぐに思考を変えるのは難しいので、まずは白黒思考の生きづらさについて、知識として知っておくだけでもいいでしょう。知識があれば、意識が変わるので、ぜひ参考にしてみてください。

結城恵美
結城 恵美(ゆうき・えみ)
両親との関係不和などにより大学生の時19歳で摂食障害を発症。21歳で大学病院の精神科に入院。過食嘔吐を繰り返しながらも大学を卒業し、神戸大学の助手として勤務。その間も自殺未遂を繰り返す。しかし、精神科で出会ったカウンセラーの導きで、やっと軌道修正。現在は、心理学、NLP、コーチング、瞑想、マインドフルネスなどを学び、自己の経験から沢山の方々の生きづらさに対峙しアドバイスを行っている。
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