ストレス社会で増加している「男性の更年期障害(LOH症候群)」
(画像=(※画像はイメージです/PIXTA))

国立がん研究センターの集計によると、大腸がんは2019年のがんの部位別死亡者数において、男性で3位、女性では1位となっています。早期発見・早期治療のためには検査が重要です。大腸がんになりやすいかどうかのリスクがわかる「コリバクチン検査」について、消化器内科の専門医である宮崎郁子先生が解説します。

目次

  1. 全人口の2人に1人は「がん」で亡くなる現実
  2. 肥満、喫煙、遺伝…多岐にわたる「大腸がん」発生要因
  3. がんは何といっても早期発見・早期治療
    1. 【早期の大腸がんに見られる症状例】
  4. 大腸がんの検査とその種類は?
  5. 大腸がんの早期発見…「コリバクチン検査」の効果は?
  6. コリバクチン検査の方法と結果までの期間
  7. 「大腸がん」にならないため…気を付けたい6つのこと

全人口の2人に1人は「がん」で亡くなる現実

日本で2019年にがんで死亡したのは376,425人で、生涯でがんになる確率は男女とも全人口の2人に1人といわれています。

また、国立がん研究センターの2019年の集計によれば、がんの部位別死亡者数で大腸がんは男性では3位、女性では1位で、死亡につながるがんとして男女とも上位を占めています。

しかも大腸がんの罹患率は、この40年間で約7倍に増加しています。

消化器系のがんは男性の場合、40歳代の働き盛りの頃から多くなり、60歳以上になると肺がんや前立腺がんが増えてきます。一方、女性は、若い頃は、乳がんや子宮がんが多く、高齢者になるにしたがって消化器系のがんが増加傾向にあります。

肥満、喫煙、遺伝…多岐にわたる「大腸がん」発生要因

大腸がん発生の要因は、肥満気味、お酒をよく飲む、便秘気味、タバコを吸う、脂肪分の多い肉や赤みの多い肉、ハムなどの加工肉をよく食べる、運動不足、偏食などです。

また、親族にがんの人がいるとがんになりやすいという遺伝的な要因もあります。

がんは何といっても早期発見・早期治療

どの部位のがんでも早期に発見し、できるだけ早期に治療をすることが重要です。

特に大腸がんについては、ステージⅠ~Ⅲの段階では早期に発見し早期治療ができれば、5年生存率は約90%と高いことがわかっています。

しかし、大腸がんの早期には自覚症状がありません。「自覚症状がないから大丈夫」「健診で要精密検査になっているが、実際にがんになる人は少ないのでは?」「多忙だから精密検査は先送りしよう」などという考え方は大変危険であると言えます。

【早期の大腸がんに見られる症状例】

  • 便に血が混じる(血便・下血)
  • 下痢と便秘を繰り返す
  • 原因が不明の体重減少
  • 便が細い、便が残る感じがある
  • 腹痛・お腹が張る
  • 貧血

大腸がんの検査とその種類は?

従来からの大腸がんの検査には、便潜血検査や大腸内視鏡検査、大腸3D-CT検査などがあります。健康診断や人間ドックでは1次スクリーニングとして検便による潜血検査が行われています。

ただしこの便潜血検査では、がんであるかどうかを決定する感度が低く、がん病変の進行度などによっても結果に大きな差が生じています。

また、痔をお持ちの方が陽性になることも多く、これが精密検査を遠ざけて死亡率の増加につながっているともいわれています。

さらに便潜血検査で陽性の場合、大腸内視鏡検査や大腸3D-CT検査も2次スクリーニングとして有用ですが、それぞれの検査でメリットが異なります。

便潜血検査の結果をお伝えするタイミングで、どちらの検査を受けるべきか、医師と患者さんの間で相談して決めます。

大腸がんの早期発見…「コリバクチン検査」の効果は?

大腸がんになりやすいかどうかのリスクを調べる「コリバクチン検査」は、ネイチャー誌に論文も掲載されました。

胃がんは、ヘリコバクターピロリという菌に感染していると発症する可能性が高いといわれ除菌方法も確立されていますが、大腸でも同様にコリバクチンという遺伝性毒性物質を産生する一部の細菌が腸内にいて、大腸がん患者さんの実に約7割がこのコリバクチン産生菌に感染していることがわかりました。【図1参照】

死者数急増の「大腸がん」…早期発見につながる「コリバクチン検査」とは【専門医が解説】
[図表1]コリバクチン検査の様子

コリバクチン検査の方法と結果までの期間

コリバクチン検査は通常の便潜血検査と同様、ご自宅で便を採取するだけの簡単な検査です。

検査にあたり、受診される日の3日前までに採便してください。便潜血の検査も同時に行う場合は、コリバクチン検査の採便を先に行ってください。

また、検査前の食事制限や前日の飲酒制限もなく、女性の方は生理中でも検査可能です。

検査容器に採便していただきお持ちいただければ、約2週間後に結果をお知らせします。

なお、この検査は胃がんのピロリ菌感染の場合と異なり、結果が陰性でも生活習慣などの改善がみられない場合、半年から1年後に陽性に転じる可能性もありますので、定期的にお受けいただくといいと思います。

コリバクチン検査の結果、あなたの将来の大腸がんになるリスクがわかります。リスクが高い方は生活習慣を見直し、大腸がんに予防する行動につなげることができます。

「大腸がん」にならないため…気を付けたい6つのこと

  • 飲酒は控えめに
  • 適正体重を維持すること
  • 禁煙しましょう
  • 赤身肉は1週間で500g未満に(世界がん研究基金/米国がん研究協会)
  • 運動は歩行などの身体活動を1日60分。息がはずむ程度の運動を1週間に60分程度。
  • 食物繊維の摂取を。バランスのいい食生活を。

大腸がんの家族歴のある方やお肉中心の食生活の方、大腸がんをご心配される方には、このコリバクチン検査もぜひお勧めいたします。

コロナ禍で受診控えが続く現在、こうした新しい検査でご自身の疾患へのリスクを探ってみるのも新しい医療の在り方かもしれません。

宮崎郁子
宮崎郁子(みやざき・いくこ)
東京国際クリニック 副院長

2001年に東京医科大学医学部医学科を卒業後、同年より東京医科大学病院消化器内科に勤務。2006年より東京医科大学病院の内視鏡センター助教、牧野記念病院内科を経て、2015年より、東京国際クリニック(医科)の副院長に就任。自身の祖父や父親から学んだ「医療は医師のためにあるものではなく、患者様のためにあるべき」がモットー。

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