副腎疲労の治療は「腸」から
(※写真はイメージです/PIXTA)

副腎疲労を引き起こす原因は様々です。前回は「カラダのストレス」という観点から、特に現代社会ならではの影響に着目して解説しました。「副腎疲労を知る」シリーズ第7回目は、副腎疲労を起こすカラダのストレスのうち、「体内ストレス」について見ていきましょう。

目次

  1. 副腎疲労に大きく影響する2つの「体内ストレス」
  2. <1.腸内環境の悪化>
    1. 副腎疲労の治療は「腸内環境の改善」がカギ
    2. 小麦や乳製品…腸内環境を「悪化させる食べ物」に要注意
    3. 穀物に含まれる「カビ」、白砂糖などの「糖類」にも要注意
  3. <2.慢性炎症>
    1. 風邪や歯周病も「炎症」の1つ
    2. 真の健康を取り戻すには「全身のケア」が必要

副腎疲労に大きく影響する2つの「体内ストレス」

カラダの中で起こる諸問題は、病名がつくほどではない小さな変化から、すでに病名がついているような大きな変化まで、すべて「体内のストレス」として副腎にも影響を与えます。

副腎疲労と関連性が強い「体内ストレス」として、ここでは

  1. 腸内環境の悪化
  2. 慢性炎症

を解説します。

<1.腸内環境の悪化>

副腎疲労の治療は「腸内環境の改善」がカギ

コロナ禍の長期化により、免疫力アップのために「腸活」、つまり腸内環境を良くしようという話がよく聞かれるようになりました。

腸内環境は近年、医学的にも研究が進んで注目されているテーマですので、「腸内環境を良くすることは大切」ということは、なんとなく知っているという方も多いかもしれませんね。

実際、腸内環境の悪化は副腎にも大きなダメージを与えます。「副腎疲労の治療は腸から始まる」と言われることもあるくらい、腸内環境の改善は、副腎疲労から回復するためのキーポイントの1つなのです。

小麦や乳製品…腸内環境を「悪化させる食べ物」に要注意

腸内環境を良くするためには、どうすればいいのでしょうか。

ヨーグルトがいい、オリゴ糖がいい、発酵食品がいい…と、「いい」と言われる食品を意識して摂る方は多いでしょう。

一方で、腸内環境を知らず知らずのうちに悪化させている食品については盲点となりがちで、まだあまり知られていない部分でもあります。

どんなに「いい」と言われる食品を摂っても、悪化させる要因が手つかずのままだと、腸内環境の改善は難しくなります。

腸内環境を悪化させるものは様々あり、中には、副腎疲労を起こす原因と重複しているものも少なくありません。

とりわけ注意していただきたい食品の代表は、小麦と乳製品です。

小麦に含まれる「グルテン」、乳製品に含まれる「カゼイン」が、腸内環境を悪化させる恐れがあります。

腸の粘膜を構成する細胞どうしは、通常はしっかりと密着しあい(タイトジャンクション)、カラダの中に有害なものを入れないようにするバリアの働きがあります。

しかし、グルテンやカゼインの影響で、細胞どうしのタイトジャンクションが壊れてしまい、本来はカラダに入ってほしくない有害物質や、分子量が大きい物質が侵入してくることがあります。この状態を「リーキーガット症候群」と呼びます。

「リーキー(leaky)」とは「漏れる」、「ガット(gut)」は「腸」という意味です。

本来、血中には入ってこないはずのものが侵入してくると、カラダは「異物」と認識し、炎症を起こすことで除去しようとします。体内で炎症が増えると、副腎は炎症を消そうとして頑張ります。リーキーガット症候群が改善されなければ炎症は慢性的に起こり続けるため、副腎は次第に疲弊していきます。

穀物に含まれる「カビ」、白砂糖などの「糖類」にも要注意

また、様々な食品、特に穀物などに含まれるカビによって、腸に炎症が起こる恐れもあります。

白砂糖などの糖分も注意が必要で、悪玉菌を優勢にし、腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。

便秘のある方は、基本的に腸内環境が悪化していると考えてください。本来は排泄されるべき便が腸内に停滞すると、便が発酵し、有害ガスなどを発生しやすくなって、腸内環境の悪化や炎症につながります。

ただし、一方で「便秘がない=腸内環境がいい」とも限りません。便秘がなくても、副腎疲労のような様々な不調がある場合は、実は腸内環境が悪化している可能性が高いため、リーキーガット症候群などを疑ってみる必要があります。

<2.慢性炎症>

風邪や歯周病も「炎症」の1つ

腸以外の臓器でも、慢性炎症があると、やはり副腎にとってストレスになります。

たとえば、繰り返す呼吸器感染症(風邪、気管支炎など)や、慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)、歯周病なども、見逃されやすい炎症です。

特に、口腔内の炎症である「歯周病」は、糖尿病や心筋梗塞のような循環器疾患など、全身疾患との関連性も注目されています。

真の健康を取り戻すには「全身のケア」が必要

一見、ひとつの臓器だけで起こっている炎症や病気のようであっても、その炎症を消すために、副腎を始めとする多くの臓器が関わっています。

炎症があることで副腎疲労が起こりやすくなり、副腎疲労があると炎症も治りにくくなるという悪循環に陥ります。

現代の医療では、病気を起こしている部分や臓器のみに注目して治療を施すのが主流ですが、炎症の慢性化が他の臓器(特に副腎)にもたらす影響も考慮して、体全体をケアすることが大切です。

その観点が抜けると、病気は治っているはずなのに、なぜか疲れやすさなどの不調が続く、ということが起こり得ます。

ここまで3回にわたって、「副腎疲労を引き起こす原因」をテーマにそれぞれ、心のストレス、カラダのストレスという観点で解説してきました。

副腎疲労には、自覚のあるストレスだけではなく、案外「自覚していないストレス」が大きく影響していることがあります。

副腎疲労の症状がいくつも当てはまる方は、まだ自覚していない心やカラダのストレスがあるかどうか、いま一度チェックしてみましょう。

良かれと思ってやっていたことや、好きでやっていたことが、実はカラダにとってはストレスだった…という場合があるかもしれません。

自分のカラダの不調を副腎疲労の観点から見直すことで、それまで「体質」や「性格」のせいと諦めていた諸症状に対して、改善方法が見えてくる可能性があります。

次回からは、副腎疲労のケアについてお伝えしていきます。

末光 智子
末光 智子(すえみつ・ともこ)
内科医。自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)