なぜ「やりたいこと」が見つからないのか?夢や目標を再設定する方法
(画像=JYPIX.adobe.com)

「やりたいこと」や「夢」を聞かれて即答できる方は案外少ないもの。しかし、「夢なんてない」と胸を張って断言できる人もあまりいません。夢や目標は必要なのか?どうしたら「やりたいこと」が見つかるのか?日テレHRの代表を勤めながら、数多くのビジネスパーソンのお悩みを解決してきた大澤弘子さんが解説します。

目次

  1. これから先の方向性が分からない…という51歳さんのお悩み
  2. 夢が分からなくなる理由
    1. 満足している
    2. 気持ちを放置し続けた
    3. 役割を優先してきた
    4. 失敗が邪魔をする
  3. 夢の見つけ方
    1. 歩きながら探す
    2. 自分の感情を掘る
    3. 3つの中で書き出せたことが多かったものは何?
    4. 楽しいと感じたことの共通点はなんだろう?
    5. 優先順位
  4. 夢は「幸福に生きること」
    1. 夢は変わっていく

これから先の方向性が分からない…という51歳さんのお悩み

51歳の女性サラリーマンさんのご相談を受けました。これからの人生の方向性が分からない…とおっしゃいます。

思い返すと人生の目標とか叶えたい夢とか正直、これまでに持ったことがないかもしれません…。新卒で入社した企業で仕事をしてきました。もうすぐ人生折り返しだと思うと、「コレまで自分がやってきたことは何なのか」「これから先、何をして生きていくのか」「どうありたいのか」といったことを考えるようになりました。改めて真剣に考えると、実は何もないような気がしています。「夢は何ですか?」と聞かれても答えられません。子どもも育って生活の世話に時間を取られることも無くなってきて「やった、自由だー」と思う気持ちもあるのですが、「あれ?わたしはこれから何がやりたいのだろう…」と戸惑う気持ちの方が強いです。いい歳をして自分探しもなんですよね。どうしたらいいのでしょう。

お気持ち、なんだかとてもよくわかります。同世代です。「夢は何?」と聞かれて、みなさんは即答できますか?

わたしは「夢」がないなんてダメでしょ、というのは言い過ぎだなあと感じています。そもそも「夢」ってどの程度の何ですか?その定義も人によって色々なのではないでしょうか。

「●●になりたい」というものがなくても、大切にしたいもの、何をおいても守り抜きたいものであっても、それは十分「こう生きたい」という「夢」なのでは?と思います。

大人になるにつれ、行動する前に頭で思考することが増えてきます。気持ちが動いた次の瞬間に手が動いている、カラダが動いているという小さい頃とはちがいますね。当然です。

でも、純粋な気持ち、やってみたい!と思う情動が無くなったわけではありません。ただ、それも含めても「自分がどうしたいのか全然分からない」という人は、自分の中の純粋な情動を感じ取れなくなっているのかもしれません。

感じ取るアンテナが弱くなっているか、使わないように、見ないようにしてきた時間が長すぎて、アンテナと意識を繋ぐ回路が錆び付いているかもしれません。

夢が分からなくなる理由

まずは、なぜ自分の夢が自分でわからなくなってしまったのでしょうか。考えられる背景をまとめてみました。

満足している

「こんな人生にできたらいいな」と思ったことが、ある程度達成できている場合です。切望するようなヒリヒリとした情動がなくなったのは、満足しているからかもしれません。

気持ちを放置し続けた

忘れてしまっている「情動」はありませんか。長い時間「それは後回し!」として放置してきた気持ちが、心の奥底で封印されたままになっている場合があります。

目の前の仕事、後輩の育成、子どものお世話で忙しい…仕事でも私生活でも緊急かつ重要な案件が多くて、自分の未来へ向けて考えたり行動したりする時間を十分にとってこなかったとしたら、いつの間にか情動の方が諦めて、心の奥底に沈んでしまったとも考えられます。

でも、消えて無くなったわけではありません。思い出すと、意識の上に再び戻ってくることもあります。

役割を優先してきた

相談者さんのような方のお話を聞くと、多かれ少なかれ当てはまる方が多いのでは?と感じるのがこの理由です。「お母さん」であること、「部長」であること、「リーダー」であることなどを優先して、時間と心を使ってきたために、自分自身の声に耳を傾けてこなかったケースです。

失敗が邪魔をする

何か行動を起こしてみたときに、思ったように行かなかった経験が邪魔をしているケースです。「どうせ無理」「自分には向かない」という気持ちが、自ずと視界を曇らせているかもしれません。

夢の見つけ方

歩きながら探す

頭で考えて「これだ!」と納得の解に辿り着くことは、ほぼないと言っても過言ではありません。「歩きながら探すと見つかりやすいかも」というような楽な気持ちで、ちょっと心が惹かれること、ちょっと興味を持っていることに対して、小さな行動を起こしてみるのがオススメです。

やってみて「ピンとこないなあ」と思ったら、引き返せばOK。何がどう未来に繋がるかなんて、人間に的確に予測することはできません。ちょっと行ってみたサークルで思わぬ出会いがあったり、友人に誘われて参加したコミュニティで人生が変わる人もいます。 だから「行動」してみましょう。

そしてその場で自分がどう感じるか、どんな風に思ったか、それはなぜだろうと自分自身と楽しく対話をしてみてください。「ああ、また続かなかった」「何をやってもダメだなあ」などと思わず、自分が感じたままを自分で受け入れて面白がりながら自分を観察してください。縛られない気持ちで楽しむことが、自分を知る大事な材料になります。

自分の感情を掘る

忙しい毎日を送ってきた人ほど、自分の感情に目を向ける時間を持たない癖がついています。この3つをやってみてください。

・Q1:最近、悲しかったことは?
・Q2:最近、楽しかった(うれしかった)ことは?
・Q3:最近、腹がたったことは?

3つの中でも一番、考えやすいクエスチョンからで構いません。パッと思い当たることがない場合は、手帳や電子カレンダーを見返しながら思い出してみてもいいです。

書いてみると、いろんな自分が見えてきます。

3つの中で書き出せたことが多かったものは何?

ときどき自分に質問をしてみて、週に1回でいいので簡単にメモを残しておくことをオススメします。慣れてきたら3日に一回、2日に一回、毎日寝る前にとなるとより良いです。半年たったあたりで、一度、見返してみるときっと感じることがありまよ。

わたしの場合、直近の3ヶ月を振り返ると、楽しかった(嬉しかった)ことが6つ、腹がたったことが5つ、悲しかったことは2つでした。

結構、楽しいことに恵まれていたんだなと、自分で感じ取れます。

楽しいと感じたことの共通点はなんだろう?

次に、楽しかった(嬉しかった)ことをよく見直して、何か共通するものはないか、どんなことがあると自分はHAPPYに感じるのだろうと、メモを俯瞰しながら考えてみてください。

このあたりは一人でやると難しいと感じる方もいるかもしれません。そんなときは、信頼できる友人や家族、またプロのカウンセラーやコーチを1時間お願いして、書き出したものを見せて共通点を引き出すための「壁打ち相手」になってもらうのも有効です。

あなたがHAPPYを感じるときは、どんな価値観が満たされたときですか。

優先順位

「HAPPYに感じることは何だろう」と整理した結果、複数の要素が出てくることもあるでしょう。わたしもそうでした。その中で、一番欲しいのはどれか、次にあったらいいと思うものは何か。自分が求めている大事なものの順位を明確にしておくと、判断するときに「自分らしく」「後悔の少ない」決断を短い時間で下すことができるようになってきます。

夢は「幸福に生きること」

乱暴な言い方かもしれませんが、自分がHAPPYだと感じられる時間を過ごせたら、そしてそれを続けられたら、人生を楽しく生きることになると思います。

そのために絶対に必要なことは、自分がどんなことでHAPPYに感じるのか、それを自分で知ることです。

過去の経験から引き出すことがまずひとつのアプローチ。でも、それだけではないかもしれませんよね。まだ経験していないけど、めちゃくちゃHAPPYに感じることがあるかもしれません。それを見つけるには、考えていても始まりません。行動です。やってみていつも自分の気持ちを丁寧に感じる癖をつけましょう。

夢は変わっていく

楽しいこと、幸福を感じることは変わっていってOKです。いろんな経験をしていろんな感情を持っているわたしたちは、歳月を重ねるごとに、心地よいと思うことが変わる方がむしろ自然です。

相談者さんは、51歳からの自分探しなんて、、、と思われていましたが、大人には大人の自分探しがあって良いとわたしは思っています。

自分の感情が動いたら、それをキャッチしましょう。幼い子どもにできて大人にできないことはないでしょう。もし出来ない要因があるとしたら、それは「思い込み」です。

これまでのあなたの経験則は武器にもなるし、新しい一歩を「邪魔する壁」にもなります。自分のHAPPYを見つけるのは、自分にしかできません。自分の感覚を大事にすることから始まるのです。自分の本心を聞いてみてください。

大澤 弘子
大澤 弘子(おおさわ・ひろこ)
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。
Facebook 日テレHR