「気持ちのレコーディング」は、感情をコントロールできる人への第一歩
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怒りやイライラなどの自分の感情に振り回されないようにするには、感情の変化を予測できるようになることが第一。そのために役立つ「レコーディング」について、日テレHR代表の大澤弘子さんが解説します。

目次

  1. 感情をコントロールできるようになりたい!
  2. 気分をレコーディングする
    1. 短くてOK。とにかく書き出す・録音する
    2. レコーディングのポイント
  3. 自分のイライラが予測できるようになる
    1. 予測できれば対処できる

感情をコントロールできるようになりたい!

日々オンラインをベースに仕事をしているサラリーマンさんからコーチングを受けたいと相談をいただきました。

雑談したりする時間、会議の間の隙間時間がなくなって余裕がないせいなのか、結構、些細なことでイラッとくることが多い自分に気づいています。1つひとつは大したことではないのですが、一番困るのはイライラしている「自分に振り回されてしまう」ことです。

チームの成果に影響するからと相手にしっかり伝えるほどの重大事でもなく、ただ自分がイラッとしてしまうだけなので、結局は誰にも言わずに自分の心の中で抑えています。ただ、抑えていてもイライラは確実に存在しているので、なんとも言えないストレスが溜まってしまいます。

そもそも自分で自分の感情をコントロールできるようになりたいです。生産性も落ちるし気分は悪いし、誰も得しない感じがします。どうしたら自分の感情に振り回されないでいられるでしょう?

・・・実に率直に、このような気持ちを打ち明けてくださいました。皆さんは似たような思いをされたことはありますか。わたしも一人のサラリーマンとして相談者さんの気持ちはとても良くわかります。実際、全く同じような経験があります。

些細なことでイライラしていると、忙しい仲間に「どうしたのかな」「機嫌悪いのかな」と余計な心配をさせてしまったり、「気分屋だなあ」と悪く思われてしまうこともあります。どちらも本意ではありませんよね。そして、何より自分が疲れてしまいます。

こんな時は、気持ちのレコーディングがオススメです。

気分をレコーディングする

自分の感情をコントロールするのは、簡単そうに見えて実は難しいことです。 感情に意識がフォーカスしているときは、相対的に論理思考や冷静さに向く意識が少なくなっています。また「イラっ」とした気持ちに執着すると、その感情がどんどん増幅されてしまうこともあります。

「イラッとする」
「いつもアイツはこういう態度をとる」
「アイツはなんでこうなんだろう」
「本当に腹が立つ」

といった具合に、他者への批判や不満がどんどんエスカレートしていくのです。これは解決になりませんし、何より心が不健康。この状態が続くと、あなたの実力でできるパフォーマンスも発揮できなくなってきます。イライラが邪魔をして集中してパワーを出すことができなくなるからです。

かといって、ネガティブな苛立ちや怒りを、そのまま無視して心の底に沈めてしまうのも良くありません。不法投棄のように負の感情はいつかあなた自身を蝕んでしまいます。

ではどうすれば良いのか?ここから抜け出すため、感情そのものに執着せず、自分を「客観視」できるように、短い時間で「視座をあげる」方法があります。

レコーディング(=記録すること)です。レコーディングすることで、そのときの感情を自然と客観的に見ることができます。

短くてOK。とにかく書き出す・録音する

具体的に行ってほしいのは、とにかく「書き出すこと」です。何があったか、どう感じたか、それはなぜだと思うか。この3点を短い文章で書いてみましょう。書くことが苦手でストレスになるという人は、携帯電話などの録音機能を使って、言葉にして録音してみても構いません。やりやすい方法でOKです。

書く場合は、ノートに書いたり携帯のメモ機能を使ったりしても構いません。文章を書くまではちょっと面倒だという人は、既に使っているカレンダーアプリや、手帳の隅っこを活用して、表情のマークを書き込むことから始めてみても構いません。徐々に文章にできるようになると、自分の客観視がしやすくなります。時間は1分以内で構いません。誰に見せる文章でもなく自分が見るだけのものです。思いつくまま書いてしまいましょう。

わたしは、アプリを活用しています。類似のものが多数リリースされていますが、わたしが使っているのはmoodaというアプリです。iPhoneでもMacでもiPadでも入力できて同期できるので、Macユーザーにはとても楽です。他にも「気分日記」とか「気持ちメモ」などさまざまなものがあるので、直感的に書きやすいと感じるものでOKです。

レコーディングのポイント

気持ちのレコーディング、そのポイントは3つあります。

(1)何があったか(事実)
(2)どう感じたか(感情)
(3)その感情はなぜ起きたと思うか(思考)

長時間かけて書いていると恨みつらみが増幅してしまいます。1分程度でザザざっと吐き出してしまいましょう。

自分のイライラが予測できるようになる

感情を記録し始めて、はじめのうちは、「これ、何の意味があるんだろ?」と思うかもしれません。わたしもそうでした(笑)。でも、それでOKです。

実は、このレコーディングが1週間、1ヶ月と貯まっていったあと、改めて見直してみるのです。その時、意外なことに気づきます。「あ、水曜にイラっとすることが多い」とか、月の上旬、中旬、下旬でどんな変化があるかとか、「この会議の後にいつもメモを書いているぞ」とか。自分の傾向がおもしろいほど見えてくるのです。

そこに何らかの法則性や特徴が見出せたら、その理由も考えてみましょう。「なぜ水曜にイライラが多いのか?」「なぜこの会議の後に感情がネガティブになるのか?」といった具合です。

もしかしたら、どうしても好きになれない他人の言動がある自分を発見したり、家族の予定に引きづられやすい曜日が特定できたりするかもしれません。わかると「予測」が立てられるようになりますよね。

予測できれば対処できる

予測していたことが起きると、そうではないときに比べて、人は冷静さを保つことができます。「あ、やっぱりね」と。感情が不本意に乱れることも減ってきますよ。そしてレコーディングによって、自分で自分の理解を深めることができます。セルフカウンセリングになるのです。

「好き」「嫌い」をはじめとして自分の感情は、自分の本心をキャッチする材料になります。体系的に見直すことができるようになると、自己理解が深まりセルフマネジメントの力がアップします。メタ認知、大人の自己理解ですね。

自分を知ることなくして、自分らしく生きることはできません。本心からの願いを自分でキャッチするためにも、内面に目を向けるきっかけになると思います。

大澤 弘子
大澤 弘子(おおさわ・ひろこ)
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。
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