あなたの目標達成を阻む「裏目的」との付き合い方
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やろうと決めたことができない、続かない真の理由は、無意識に持ってしまっている「裏目的」。裏目的とは何か?どうしたらこれとうまく付き合うことができるのか?日テレHR代表の大澤弘子さんが解説します。

目次

  1. やろうと決めたことができない真の目的は「裏目的」
  2. 目標達成を阻む「裏目的」とは?
  3. 裏目的は何のために生まれてくるのか
    1. 自分が信じていることを正しいと証明したい
    2. ダメな自分から目を背けたい
    3. 自分の安全を守りたい
  4. 裏目的とのつきあい方

やろうと決めたことができない真の目的は「裏目的」

「やろう」と決めたのに、途中で続けられなくなって自分で自分を「ダメだなあ」と思った経験はありませんか。

本当に「やろう」と思ったし、その気持ちに嘘はない。それなのに、どうして途中で「やっぱり向いてない」とか「自分には無理だ」とか「今じゃないかもしれない」などと思ってやめてしまうのだろう…。「わたしは本当に意志の弱い人間だ」「何ごとも為し得ない人間だ」とどんどん自己肯定感が下がっていく。

今回はそんな経験のある方、そこから抜け出したいと思っている方を応援します。実は、意志が強いかどうかは関係ありません。あなたの中に、あなたを「邪魔するもの」があるのです。犯人は、自分が無意識に持ってしまっている「裏目的」です。

目標達成を阻む「裏目的」とは?

コーチングの世界では、裏目的という言葉があります。これは、人が目標の達成に向かおうとするとき、また夢の実現に挑もうとするときに出てくる「無意識」レベルの存在です。厄介なことに、この裏目的は、あなたの「オモテの目的」の達成を邪魔してきます。

「やろう」と決めたのに途中で投げ出してしまったり、いつの間にか「どうでもよくなって」しまうときには、この裏目的が作用していることが多いと考えられます。

目標達成のためには、自分の中にある裏目的を、自分でしっかり知る・見る必要がありますね。裏目的を知ることが、邪魔を解消するための第一歩です。

裏目的は何のために生まれてくるのか

なぜ、無意識にこのような「裏目的」が生まれるのでしょうか。

裏目的は、実は「自分を守るため」に存在しています。オモテの目標を達成できないとき、その裏では、裏目的が無意識の自分の願いを実現させていることがあります。

裏目的の目的とは一体どう言うことなのでしょうか?裏目的が達成したいことは、一般的にはこのようなものです。

・自分が信じていることを正しいと証明したい
・ダメな自分から目を背けたい
・自分の安全を守りたい

具体的な例を挙げましょう。

自分が信じていることを正しいと証明したい

例えばあなたが、「自分は英語が苦手だ」という「思い込み」を持っているとしましょう。TOEICで○点を取ろうという目標を掲げてみましたが勉強が続きません。「本当に自分ってダメだなあ」と思ってしまうでしょう。でも、このとき実は、裏目的は目的を達成しているのです。「やっぱりわたしは英語が苦手だ」という裏証明に成功したわけです。

ダメな自分から目を背けたい

新入社員が社会人になったのを機に、「誰とでもオープンに関われる人間になるぞ」という目標を掲げて入社したとしましょう。成長できる自分、会社に貢献できる自分になるために、自ら立てた目標です。これがオモテの目的。自分の「意識レベル」の目的です。

ただ、実際は、引っ込み思案でオープンに関われない性格。自分の目的を達成しようと思うと困難にぶつかり、苦しいことも起きてきます。

その時「ダメな自分」=「いざとなるとオープンに関わっていけない自分」に直面して、自分自身に失望したくないという無意識が働くのです。そこで「やらない理由」「もっともらしい理由」を自分に与えるという働きが起こります。

・また失敗するよ
・新人のくせに生意気だと思われるよ
・最初は黙って様子を見ないとね

というような思いです。これが、オモテ目的の達成を妨げます。

これは、不安が作り出す、自分への「一見、言い訳に見えないもっともらしい」理由となります。このような正当な理由がある、「だから」やらないのである、と正当化して、出来ない自分を直視しなくて済むように目をそらせているのです。

自分の安全を守りたい

わたしたちの脳は、危機に敏感です。自分が安全にいられるように無意識に反応することは、生存するための重要な機能でもあり、長い生物としての歴史の中で鍛えられ強化されてきたと考えられます。

例えば、研修で、「質問のある人、手をあげてください」と言われた時、さっと手を挙げて率直な思いをぶつけたいと思っていても、それが出来ないときは、あなたの内面で無意識の「裏目的」が働いている可能性があります。

もし、手を挙げて質問すると、

・くだらない質問をする人間だなあ
・あいつ、何、張り切っているんだ?
・質問したら時間が延びるだろ

こんな風に、周囲の人から思われるかもしれません。このような恐れが、オモテ目的の達成を妨げます。「悪く思われるリスクに自分を晒すことを回避する」という「裏目的」を達成するために、結局、質問することをやめてしまうのですね。

こんな3つの裏目的の目的が達せられるとき、「オモテの目的」は後回しになってしまいます。

裏目的とのつきあい方

裏目的は、オモテの目的を達成することを邪魔します。そのための行動を「起こさせない」ように働きます。では、この「裏目的」とどうつきあえば、オモテの目的の邪魔をせず、オモテ目的を達成できるのでしょうか。

まず「裏目的」が自分に存在していることを知る、感じる、そしてその存在を「認める」ことが重要です。その上で、

「そっか…わたしはこんなふうに怖がっているんだな」
「僕は、実はこんなことに懸念があるんだな…」

とやさしい気持ちで受け止めてあげてください。

「裏目的」を発見!したら、それを即座に消し去ろうと思わなくてOKです。簡単には消えません。無理矢理に追い出そうとしたり、無視しようとしたりすると、心や体に大きなストレスがかかります。そしてオモテの目的に注入できるエネルギーが落ちてしまいます。無理に消そうと意思で向かってもうまく行かないのです。

裏目的の存在を知り、それを認めた上で、次のように、自分に聞いてあげてください。

自分はこの裏目的を「どうしたいのかな?」と。

裏目的を消したい、抜けたいと思うなら、裏目的が生じている根っこを辿っていきましょう。「裏目的」を消すためには、その発生の根っこにある「不安」や「避けたい」気持ちの原因を突き止めることが必要です。

その不安は、「何を避けたくて」生まれているのでしょうか。そこには、意識の上では忘れていたような幼い頃の出来事があったり、自分が大事にしたい価値観や人生観のようなものがあったりします。

・しゃしゃり出るような人間が嫌いだ
・積極的でイキイキしている人間には本当はなりたくない

などが見えてくることもあります。自分が思う「なりたい姿」とかけ離れていたとしても、自分の本当の気持ちを素直に受け止めてみましょう。そして、

・質問することと、しゃしゃり出ることは必ずしも一致しない
・積極的でイキイキしている人が全員キライとは限らない

というように、根っこから「思い込み」を書き換えることができるかどうか、自分と対話をしてみてください。

この根っこにある思い込みが書き換えられると(=これまでそう思っていたけど、よく考えたら必ずしもそうとは言い切れない、と思い改めることができると)、「裏目的」が緩んできます。

この作業は、最初は一人では難しいかもしれません。信頼できる友人や、コーチやカウンセラーの手を借りるのも有効だと思います。

「裏目的」が威勢よく活動していると、成長の機会につながる行動が阻害され、願う自分に向かうチャンスを逃しやすいです。もったいない。

「いつもこうなる、、、」という不本意な自分に気づいたときは、「やらなかったこと」で、「達成しないこと」で、わたしは何を得ているのだろうか、と考えてみると思考に変化が生まれてきますよ。

大澤 弘子
大澤 弘子(おおさわ・ひろこ)
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。
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