グルグルと同じことを悩んでしまう頭をリセットする「SKS法」
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すっと考えているのに良い案が思い浮かばない・・・こんな時のあなたは「考えている」のでなく「同じことを悩んでいる」のかもしれません。悩みごとがグルグルと頭を駆け巡る状態が続いている時は「SKS法」を試してみることがおすすめ。その方法を、日テレHR代表の大澤弘子さんが解説します。

目次

  1. 同じことを考えていても仕方ない!
  2. 「考える」と「悩む」はちがう
  3. プロコーチが使う方法「SKS」
    1. 「その他」「可能」「選択」とは何か?
  4. 頭を一度リセットすれば、次の行動が変わる

同じことを考えていても仕方ない!

気になることがあって、頭の中がそのことでいっぱいになってしまう経験はありませんか。今、考えてもどうにもならないことであるのに、どうしても頭の中をそのことが大きく占めてしまって抜け出せない。気がつくと、同じことを何度も繰り返しグルグル思い返しているだけ。

「いま考えても仕方がないから考えるのをやめよう」と思ってみても、気になって、気がつくとまた考えてしまっている。自分でそのグルグルから抜けたいと思っても、なかなか抜けられないときは、頭がうまく機能していない時です。パソコン画面でもグルグルと「処理中」のマークが回っている状態のようなものですね。

今回は、こんな時に有効は方法を1つお伝えします。プロコーチが使う手法の一つで、同じところをグルグルしてしまう頭を一旦リセットして再起動する効果があります。

「考える」と「悩む」はちがう

自分では「考えている」つもりでも、あれこれ思っているだけなのは「悩んでいる」状態です。解決に向けて「考える」状態とは異なります。思考が同じところをグルグルしてしまう原因を作っているのは「感情」です。何らかの恐れや嫌悪、避けて通りたいこと、触れたくないことなど、潜在意識のレベルを含めて何らかの「思い込み」が作用していることがあります。

良い策が浮かんでも、次の瞬間「それって無理だよね」とか「わたし一人でできることじゃないし」という気持ちになってしまい、せっかく浮かんだアイディアを次の瞬間には闇に葬ってしまうため、同じ考えがグルグルしてしまうのです。厄介なことにこれは「無意識」に起きてしまいます。

「無意識」を意識の力で止めたり変えたりすることはなかなか難しいことです。これをオフにするにはちょっとしたコツがあります。

プロコーチが使う方法「SKS」

わたしが所属する日本青少年育成協会の教育コーチングで使われている様々な手法の中に「SKS」という方法があります。楽しい気分でできる手軽な方法です。凝り固まって狭い範囲をグルグルまわっているだけの思考を一旦止めて、リセット。狭苦しい思考に新しい風を入れる効果があります。

「SKS」は、実は横文字ではなく日本語です。「その他」「可能」「選択」の頭文字(ローマ字)ですね。

「その他」「可能」「選択」とは何か?

例えば、小学生の娘がなかなか朝、起きなくて毎朝ストレスを感じているお母さんの例をあげましょう。

お母さんとしては、一生懸命に起こします。でも、起こしてもらっている娘は眠気もあって逆ギレ。お母さんに感謝するどころか、不機嫌の極みです。

子育て中のみなさんに似たような経験はあるのではないでしょうか。お母さんも人間、さすがに毎日コレでは腹も立ちますよね。これまでお母さんは、決めた時間に起こしても起きない場合は、

・罰としてゲームを取り上げる
・夜、1時間早くベッドに入らせる
・けたたましい音を立てる目覚まし時計を買う

などいろんなことを試してきたと言います。一度は「そんなに起きないなら、もう遅刻すればいい!」と「起こさない」選択肢をとったこともあるそうです。結果、娘さんの方から「遅刻はしたくない」から「起こしてほしい」と懇願されて受け入れたこともあるそうです。それなのに「起きない朝」は残念ながら変わらなかったそうです。

「もう何をしたらいいのか分かりません。毎朝、嫌な気分になってストレスです」と悩んでいらっしゃいました。

たかが「起きる」こと。でもお母さんにとっては、「遅刻したくない」という娘さんを応援したい。一方でできることは全部試してみたけどうまくいかない。できることがもうない!という行き詰まりを感じている状態です。

本を読んだりWebで知識を得たりした結果、「栄養バランスが悪くて起きられないのではないか」「自分の育て方がまちがっていたのではないか」と悩みは深刻になってきたところで、わたしがお話を聞く機会がありました。

こんなとき、SKSを使うことがあります。「その他の可能な選択」という名前の通り、やり方はシンプル。コーチが率先して、「その他の方法」をどんどんあげていくのです。例えばこんな感じです。

「その他の可能な選択」には、どんなことがあるだろうか?

この一点に絞って、短い時間で考えます。この時「できる」か「できない」か、「常識的かどうか」は脇におきます。とにかく解決するために取れる方法を、片っ端からあげていくのです。

・水をぶっかける
・耳元で鍋を叩く
・子ども部屋を閉鎖して食卓の横に布団を敷いて寝かせる
・キスして起こす
・起きたら賞金を払う
・警察を呼ぶ
・寝姿をスマホで撮ってアップする
・ベッドが落ちるようにする
・お寺に修行に出す
・退学を進める
・再び膝づめで「どうしたいのか」を話し合う

お母さんは、最初は「それはないでしょ」と思ったり苦笑されたりしますが、アイディアを出すことに集中します。そのうちコーチと一緒にぶっ飛んだ案を思いついたりして、自分で言って、思わず笑ったりされてきます。これが頭のリセットです。

狭い中でグルグルする考えに新しい風を入れることにつながります。頭がちがう刺激を受けたことによって活動を取り戻すのです。

常識的にできること、やったけどダメな経験、娘を心配する気持ち、遅刻はよくないという固定観念の縛り、子どもの生活習慣に親は責任があるという思考などにがんじがらめになって、思考が一定の範囲を彷徨ってしまうのを、突拍子もないこともOKというフレームを新たに与えることでリセットするのです。

頭を一度リセットすれば、次の行動が変わる

「そもそも本当に起こさなくてはならないのか」、「遅刻の経験も成長の過程ではアリではないか」といった風に、根底にある「思い込み」を改めて客観視することができます。

たくさんアイデアを並べたら、そこで改めて選択すれば良いのです。そしてその実行方法について具体的に考え、日常のアクションに落とし込んでいきます。

SKSは、凝り固まった常識や自分の中の無意識の思い込みを緩めるのに効果を発揮します。コーチがナビゲートして行いますが、これは、セルフコーチングとして自分でも活用できる頭のリセット方法です。

思考が、グルグルと同じところを回ってしまっているなあと感じたら、一度、別の人格になりきってみましょう。そこで別人格の自分で「アイデアを出すことに集中」する3分間を作ってみましょう。

付箋に書いて、思いつくままのアイデアを次々と壁やノートに貼り付けていくのです。常識で良い悪いは考えない。実際にそれはできるかできないかも考えない。どんどん数を出すことに集中することがコツです。徐々に「楽しい」気分になれたら、頭がグルグルの停滞状態から解放された証拠です。

本来、思いつくはずのアイディアが認識できたり、そもそも「本当に必要なことか」を客観的に捉え直すことができたりします。その結果、意外な策を思いついたら実行してみるのもよし、もう一度、娘さんと対話してみるのもよし、と前向きな気持ちになれたりします。

思い詰めて自分の育て方が悪かったなどと自己否定や後悔の念に陥っても、決して良い方向には向いません。セルフSKSで頭をリセットすると、課題の本質がちがって見えてきたりするものです。ぜひ一度、試してみてください。

大澤 弘子
大澤 弘子(おおさわ・ひろこ)
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。
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