コルセット
(画像=(※画像はイメージです/PIXTA))

自分の身体の悩みや症状を楽にするため、便利な道具に頼る人は少なくありません。しかし、それらの道具に頼り切ってしまうと、かえって身体が持つ本来の機能を衰えさせ、症状を悪化させたり、思わぬ弊害がでたりすることがあります。そのようなことにならないためにも、今回は注意すべき4つの道具をご紹介します。

目次

  1. 便利な道具と思っていたものが実は…
  2. 1.コルセット
    1. 毎日コルセットをしていた男性がぎっくり腰に…
    2. ドローインで「自前のコルセット」鍛える!
  3. 2.姿勢矯正下着
    1. 姿勢矯正下着で、呼吸ができないほど背中を痛めた女性
    2. 無理に背骨だけを延ばすのは背骨を傷める原因に
  4. 3.電気毛布
    1. 重度の冷え性で電気毛布を使っていた女性
    2. 道具に頼ると、自分で熱を作る力は衰える
  5. 4.着圧タイツ
    1. むくみや冷え性を改善させる「つま先立ち体操」
  6. 身体の機能を高め、根本から症状の改善を

便利な道具と思っていたものが実は…

私は、自分の体の機能を使わず道具に頼っていたために痛い目にあった人を過去に何人も診てきました。

道具は時には非常に便利なものですが、使い方を間違えるとむしろ体にとって不利益をもたらすことがあります。

では、いったいそれはどんな道具のことなのでしょうか。

1.コルセット

毎日コルセットをしていた男性がぎっくり腰に…

先日、ぎっくり腰の患者さんが急遽来院されました。

その患者さんは、痛みに耐えながらやっとの思いで歩いて来られ、顔は苦痛で歪んでいました。 腰には、コルセットを巻いていました。お話をお聞きすると、過去にも何回かぎっくり腰を経験していて、いつぎっくり腰になるかわからないから不安で毎日コルセットを腰に巻いているということでした。

その日はたまたまコルセットをはずしていたところ、前屈みになった瞬間にぎっくり腰になってしまったということでした。

毎日コルセットで腰を守っていたにもかかわらず、なぜこの人はぎっくり腰になってしまったのでしょうか。

コルセットは、自分の筋肉で骨を支えることが出来なくなってしまったときに筋肉をサポートしてくれる固定用具です。

今回のように、ぎっくり腰で筋肉が骨盤を支えることができなくなった状態のときに、臨時で使う分には何の問題もありません。しかし、この患者さんのようにぎっくり腰が改善した後も毎日のようにコルセットを使い続けるのは問題です。

ドローインで「自前のコルセット」鍛える!

人間の体の深い箇所には、骨盤を正常な位置で固定するためのインナーマッスルが備わっています。腹横筋という筋肉はその代表的な筋肉で「自前のコルセット」と呼ばれています。

せっかく腹横筋のように骨盤を安定させて姿勢を保つための筋肉があるのに、コルセットを毎日し続けることによって腹横筋を使わなくなってしまいます。それがずっと続くことによって腹横筋は弱化の一途をたどります。

そうなると、コルセットをしないと骨盤が不安定で頼りない体が出来上がってしまうのです。そうならないためにコルセットは緊急事態のときだけ使用するようにして、普段から「腹横筋」を鍛えるようにしましょう。

腹横筋を鍛えるためには、「ドローイン」というエクササイズがおすすめです。「ドローイン」は椅子に座って腹式呼吸を意識して、息をゆっくり15秒くらい吐きながらお腹をへこませ、その後息を吸いながらお腹を膨らませます。毎日20回を目安に継続してください。特に、息を吐いてお腹をへこませるときが重要になります。そのときに腹横筋を使うからです。

2.姿勢矯正下着

姿勢矯正下着で、呼吸ができないほど背中を痛めた女性

以前背中が痛くて呼吸もできないと言って、女性の患者さんが急遽来院されたことがあります。

話を聞くと、姿勢が悪いので矯正したいと思い、ここ2日間寝る時もずっと姿勢矯正下着をつけたままだったそうです。

そして3日目の朝起きてみると、背中がガチガチに硬くなって動かしても痛い、呼吸をしても痛い状態になっていたということでした。

無理に背骨だけを延ばすのは背骨を傷める原因に

ここで問題なのは、姿勢は無理やりよくするというものではないということです。また、この患者さんのように猫背を治したいという人は非常に多いのですが、猫背は背中が丸い状態で目立っていますが、背中を無理やり伸ばせば治るものではありません。

猫背を矯正するためには、肩甲骨を寄せる筋肉を使えるようにすることはもちろん、背骨とつながっている骨盤が起きていないといけません。骨盤が崩れているのに背骨だけ伸ばそうとすると背中を痛めてしまいます。骨盤を起こすためには先ほどの「腹横筋」を使える状態でないといけません。

さらにお尻をキュッと内側に締める筋肉を使うことでも、骨盤は起きてくるのです。

丸まった背中を道具に頼って無理やり伸ばそうとするのではなく、使うべき筋肉を使えるようにして根本的に姿勢を矯正していくことが大切になります。

3.電気毛布

重度の冷え性で電気毛布を使っていた女性

以前冷え性でお悩みの女性患者さんが来院されました。

この患者さんは、冷え性がきつく夜寝つくまでの間かなりの時間がかかるので、毎年12月から翌年4月くらいまでの間毎日電気毛布を使って寝ているということでした。

詳しく聞くと、電気毛布のみならず、靴下も履いて寝ていました。寝る時は寒くてたまらないということですが、寝ている途中で汗をかいて逆に冷えてしまい、途中でパジャマを変えたり、靴下を脱いだりすることもあるそうです。

道具に頼ると、自分で熱を作る力は衰える

体が冷えて眠れないからといって、電気毛布で温めて寝るというのは問題です。確かに一番簡単に温かくなれるかもしれませんが、道具を使って温めることで自分の体で熱を産生する機能は衰えます。

この患者さんには、電気毛布と靴下を履いて寝るのを止めていただきました。代わりに根本的に体を変えていくように提案しました。

その提案とは、「つま先立ち体操」「朝の15分ウォーキング」、「毎日の入浴」、「体を冷やす飲食物を控える」という4点です。これを実行したところ電気毛布や靴下を使わなくても入眠できるようになり、中途覚醒も無くなったということです。

4.着圧タイツ

寒くなってくると毎年のように、むくみのために着圧タイツを履くという患者さんが増えてきます。

着圧タイツを履くことで確かに足元からの静脈血を心臓に還すことが容易になり、むくみや冷えが改善されることがあります。

しかし、これも根本的改善ではありません。それが証拠に着圧タイツを履かなくなると元の木阿弥だからです。

静脈血を心臓に還しやすくするためには、ふくらはぎの筋肉を使ってうまく筋肉のポンプ作用を利用することが重要になります。

むくみや冷え性を改善させる「つま先立ち体操」

ふくらはぎの筋肉を強化するおすすめのエクササイズが、「つま先立ち体操」です。

「つま先立ち体操」の手順は以下の通りです。

①両足のかかとを合わせて立つ。つま先は広げて逆八の字になるようにする ②お尻の筋肉を内側にキュッと締める ③同時に左右の肩甲骨を寄せる ④これらの状態をキープしたまま、両足のかかとを離さずにつま先立ちをする ⑤つま先立ちをしたら、1~2秒静止し、それからゆっくりとかかとを下ろして着地する

毎日じっくりと30回を目安におこなうことで、ふくらはぎの筋肉を無理なく強化することができ、むくみや冷えが改善されます。また、そればかりでなく、体の重心の位置、姿勢、歩行も正しく改善できるようになります。

身体の機能を高め、根本から症状の改善を

簡単に症状や悩みを一時的に改善できる道具はあります。

しかし、これらはいずれも根本的な改善方法ではありません。一時的な楽を選ぶのではなく、根本的に問題点を改善するようにしましょう。そのためにもっと自分の体の機能を高めるように意識しましょう。

山田 真
山田 真(やまだ・まこと)
柔道整復師、はり師、きゅう師。まほろば鍼灸整骨院院長 美骨痩身サロンBELUNA代表。 1972年生まれ、神奈川県横浜市出身。明治大学商学部、明治東洋医学院専門学校柔整学科、森ノ宮医療学園専門学校鍼灸学科卒業。「幸せは健康の上に成り立つ」という信条の下、大学卒業後は健康関連事業で人の生活に貢献している明治乳業株式会社(現 株式会社明治)に入社。入社4年を経過した頃、自分の独自色を活かして人の健康に貢献できないかと考え、脱サラして柔道整復師の資格取得を目指す。7年間修業した後、2009年大阪府吹田市に、まほろば鍼灸整骨院を開院。開院後、施術回数は16万回を超えるが、足元から全身につなげていく施術をおこない、足指を正しく使えるように調整したところ、患者さんの様々な不調が劇的に改善。遠方からも評判を聞きつけて多数の患者さんが来院。現在、来院する患者さんは筋肉の痛みだけではなく、内臓の不調、アトピー、頭痛、耳鳴り、めまい、姿勢矯正、産後骨盤矯正、発達障害、慢性疲労、自律神経失調症など多岐にわたる。2021年4月に『「足指」の力 体の不調がスッと消える3分つま先立ち体操』を出版。 まほろば鍼灸整骨院Facebook