(画像=(※画像はイメージです/PIXTA))

花粉症とは花粉を吸い込んだりすることでくしゃみ、鼻水、鼻づまり等の症状を引き起こすアレルギー疾患です。花粉症はさまざまな花粉で発症しますが、その代表的なものが春のスギ花粉症です。人によっては頭が重い・ボーっとする、倦怠感等といった症状がでます。こんなつらい花粉症の予防、治療法を解説します。

目次

  1. 日本で花粉症といえばスギの花粉症
  2. スギやヒノキの花粉は都心部まで飛んでいく
  3. 具体的な治療はどんな方法があるのか
    1. ①薬の服用
    2. ②舌下免疫療法
    3. ③レーザー手術

日本で花粉症といえばスギの花粉症

急にくしゃみ鼻水が止まらなくなったり、目が痒くなったりすることはありませんか? もしかするとそれは花粉症かもしれません。

花粉症とは花粉が原因で生じるアレルギー疾患の一つです。症状はくしゃみ・鼻水・鼻づまり、人によっては目・喉・耳の中・皮膚が痒くなったりもします。花粉症と呼ばれるくらいなので、症状が一番悪化するのは花粉が飛んでいる時期。春のスギ、初夏にはヒノキや稲、秋にはブタクサやヨモギなど時期に応じて症状がでるという特徴があります。

さまざまな花粉の中でもやはり日本において圧倒的な花粉症といえば、スギの花粉症です。その理由はスギの植林。国の政策によって明治時期からたくさんのスギが植えられてきたという歴史があります。しかし実は関西ではスギよりもヒノキの花粉のほうが多く、スギの花粉量は東京の10分の1だといわれています。

また北海道の大部分や沖縄ではスギの花粉は飛んでいません。ですから、スギ花粉の時期だけは北海道に移住されるという患者さんもいらっしゃいます。ただ北海道には、シラカバの花粉が飛んでいます。このように地域によっても花粉の種類はさまざまです。

スギ花粉が飛ぶ時期(主に2月~3月末)になると、花粉症に関する情報がメディアで多数放映されていますが、そんなときにくしゃみや鼻水がでて「今年も花粉症がやってきたか」と来院される患者さんがたくさんいらっしゃいます。

今では花粉症は国民病といわれており、3人に1人が花粉症という時代です。私が医師になった20年前頃には、花粉症は大人の病気だといわれていました。子どもは感作(過敏反応)しないといいわれていたのです。

しかし、最近だと3歳4歳くらいの子どもの患者さんもいらっしゃり、なかにはなかなか眠れない、鼻をかきむしって鼻血がでている子もいます。花粉症は生死に関わる病気ではないですが、症状が悪化すると「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)=生活の質」がすごく下がってしまいます。またなかには花粉が気管に入りこみ喘息症状を起こす人もいらっしゃいます。そうならないためにもなんからの対策が必要になってきます。

スギやヒノキの花粉は都心部まで飛んでいく

では、どういった対策が必要なのか? 花粉症の原因となる、花粉を除去することが必要です。最近では花粉の侵入を防ぐために作られた高密着マスクや、プロテクト眼鏡が販売されています。そういったグッズを利用してとにかく体内に侵入させないことが重要です。

スギやヒノキの花粉は種子が軽いことが特徴です。したがって少し風が吹くだけで都会の中心部まで花粉が飛んできてしまうのです。ゆえに完全に防ぐことは難しいとされています。窓を開ければ入ってくるし、厄介な存在です。

予防という点でいうと、花粉やハウスダストの捕集をうたっている空気清浄機もありますが、花粉症は花粉が鼻や喉に入った瞬間に反応するので、その前に全てを捕集する必要があります。それと同じで、よく「花粉症には鼻うがいが効くのですか?」という質問を受けますが、花粉を洗い流すという発想はあまり意味をなしません。花粉が入った瞬間に反応するので、そのあとに洗い流しても反応は残ってしまうのです。

また、シーツ・カーペット・畳など、そうしたキメの細かい素材に花粉が入り込むので、こまめな清掃が必要です。衣類もフリースのような素材は避け、ナイロンのような花粉が入り込まない素材を選ぶのがポイントです。

最近では国が花粉をほとんどださない「少花粉スギ」や、花粉を全く出さない「無花粉スギ」といった新たな品種のスギの開発を進めていると聞きますが、まだしばらくは今の状態が続くことでしょう。

具体的な治療はどんな方法があるのか

では、花粉症の治療法について紹介します。

①薬の服用

従来は病院で医師の処方がないと手に入らなかった薬が、今では薬局で買えるようになってきています。例えば、アレグラやフルナーゼ点鼻薬。時間が経って安全性が確保されたという認識の薬は薬局で販売されるようになってきているので、手軽に手に入れることができます。

一般的によく使われる飲み薬は抗ヒスタミン薬。それとともによく併用されるのが、ロイコトリエン拮抗薬といわれるキプレスやオノンです。抗ヒスタミン薬は主にくしゃみや鼻水に効き、ロイコトリエン拮抗薬は主に鼻づまりに効くと考えてください。

点鼻薬では、ステロイドが入っているものが一般的です。薬局ではよく血管収縮剤が入っている点鼻薬が販売されており、非常に即効性はありますが、使い過ぎるとだんだん効き目が弱くなり、結果慢性的な鼻炎を引き起こすことがあります。これを薬剤性鼻炎といいます。

それに比べステロイド系の点鼻薬であれば継続して使用することができます。ステロイドと聞くと副作用が強いとか、依存性が強いというイメージがあるかもしれませんが、もともとは体内にある成分ですし、量がすごく多いわけではないので、体内に入るのは微量なので、安心して使用いただいて良いと思います。

また漢方薬も意外と即効性があるといわれており、小青竜湯(ショウセイリュウトウ)・越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)・五虎湯(ゴコトウ)を頓服でだすことがよくあります。

②舌下免疫療法

スギ花粉限定ですが、根本的に治したいという人のために舌下免疫療法という治療法があります。舌下免疫療法とは、舌の下にアレルゲンとなるスギ花粉のエキスを抽出した薬を置き、1分放置してその後飲み込むという方法です。

2014年から保険診療の対象になり、近年では小学校低学年くらいのお子さんでも取り入れているくらい簡単に行える治療法です。アレルギーの原因となるものを体に入れることでアレルギーを完治させるという現状唯一の方法です。ただ大きな欠点があり、少なくても3年間は毎日舌の下に薬を含まなければ根付きません。ご自身での継続的な治療が難しいという人にはおすすめできない方法になります。

しかしこの内服薬ができる前は皮下注射を行うために毎日に近いくらい通院してもらっていました。それに比べ内服薬に代わってからは4週間に1回ほどの通院ですむので、以前よりはハードルが下がったのではないでしょうか。

継続期間は少なくても3年間と説明しましたが、実施1年目から効果を感じるという人は多くいらっしゃいます。ただこの治療法はスギ花粉が飛んでいる時期からは始めることができません。スギ花粉がピークを迎える前年の夏頃から開始する必要があるのでお気をつけください。

③レーザー手術

外科的な治療法では、レーザー手術というものがあります。鼻の粘膜にレーザーを直接照射してレーザーの熱で粘膜組織を変質させ、鼻のアレルギーを起こす場を減らし、また、鼻粘膜のアレルギー反応を鈍くしようという治療です。

これも昔からある保険診療の治療法ですが、大きな欠点といえば、手術を行ってから2年くらい経つと鼻の中が手術をする前の状態に戻ってしまうので、それとともに効果もなくなってしまうということです。ケガをしたときに若い人ほど傷の治りが早いのと同じで、鼻の中の治りも早くなります。

その分レーザー手術の持続期間、効果も弱いと考えていただければと思います。その他、嗅覚障害の心配はありません。鼻血もそんなに大きなリスクにはなりません。しかし、抗凝固剤を飲んでいる人は医師に相談してもらう必要があります。

このように、花粉症の治療に関してはどんどん選択の幅が広がってきています。まずはご自身の花粉症のレベルがどれくらいかという程度を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。血液検査で7段階に分けて調べることができるので、花粉症でお困りの人は、治療法含めて総合的に医師に相談してみてください。

梅岡 比俊
梅岡 比俊(うめおか・ひとし)
医療法人梅華会、医療法人社団 梅華会 理事長。医師、開業医コミュニティ(M.A.F主宰)
奈良県立医科大学を卒業後、勤務医を経て、2008年に兵庫県西宮市に梅岡耳鼻咽喉科クリニックを開設。2011年に医療法人社団梅華会を設立。現在、阪神地区に耳鼻姻喉科4院、小児科2院、東京都内に消化器内科のグループ医院を経営する。2016年に開業医がより良いクリニック運営を行うための学びの場としてM.A.F(医療活性化連盟)を発足する。著書に『クリニック人財育成18メソッド』(医学通信社)など。