(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢化に伴い、年々、認知症の患者さんが増えています。2025年には65歳以上の5人に1人が発症すると予測されており、認知症は非常に身近な病気となりました。しかし、実際にどのような症状が現れるのかは意外と知られていないようです。誰もが発症しうる病気だからこそ知ってほしい、正しい知識を解説します。

目次

  1. 認知症の症状と言えば「物忘れ」だが…
  2. 認知症の代表的な症状は3つ
    1. ①記憶障害 ~忘れっぽくなる、覚えていられない
    2. ②見当識障害 ~「自分自身」や「今いる場所」がわからない
    3. ③実行機能障害 ~日常生活の「一連の動作」ができなくなる
    4. 様々な「能力」の低下や、うつ症状なども…
  3. 高齢者医療の医師として伝えたいこと

認知症の症状と言えば「物忘れ」だが…

皆さんは「認知症」と聞いて、どのような症状を思い浮かべますか? 「忘れっぽくなる」「覚えていられない」「同じことを繰り返す」などを思い浮かべると思います。

実は認知症の症状には、「物忘れ」以外にも、様々な症状があるのです。

申し遅れました、私は高齢者向けクリニック「東京むさしのクリニック」で院長をしております、内科医の橋本将吉と申します。普段はクリニックで患者さんと関わりながら、YouTubeの「ドクターハッシー」チャンネルで健康情報の発信をしております。

また、私が代表を務める株式会社リーフェでは、医学生のための個別指導塾「医学生道場」の運営を行なっております。

本稿では認知症の症状について、私のクリニックでの実体験を交えながら、詳しくお話しさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

認知症の代表的な症状は3つ

認知症の代表的な症状には大きく分けて3つあります。

①記憶障害 ~忘れっぽくなる、覚えていられない

まず、認知症の症状の1つ目は記憶障害です。

「ゴミの回収日がわからなくなってしまう」、「鍵をどこにしまったかわからなくなってしまう」などの症状が記憶障害に当たります。認知症と聞いたら、多くの人が思い浮かべるのではないでしょうか。

では、どうしてこのような症状が起きてしまうのでしょうか? それは、脳がダメージを受けてしまうことが原因として挙げられます。

認知症は、脳のどこにダメージを受けたかによって、現れる症状が変わってきます。

脳には、本能に近い部分で海馬という場所があります。海馬は、記憶に関する機能を司っている部分です。この海馬がダメージを受けることによって、記憶障害が現れます。

認知症は「脳がダメージを受けている状態」と認識していただければ良いと思います。

ちなみに、私は訪問診療を行なっているのですが、そこでお会いする患者さんの中にも「先生、はじめまして。これからどうぞよろしくお願いします」と毎回言ってくれる患者さんがいらっしゃいます。

これも、認知症の記憶障害が起きているということなのです。

②見当識障害 ~「自分自身」や「今いる場所」がわからない

認知症の症状の2つ目は見当識障害です。これは「自分が誰かわからなくなってしまう、ここがどこだかわからなくなってしまう」症状で、たとえば「今ここは家にいるな」「あ、今ここは病院なんだな」という場所の感覚がわからなくなってしまう状態のことを言います。

余談ですが、救急現場などでも医師たちが「ここがどこだかわかりますか?」と聞くのは、この見当識が障害されていないかを確認するためです。

③実行機能障害 ~日常生活の「一連の動作」ができなくなる

では、認知症の症状の3つ目は何があるでしょうか? それは実行機能障害です。

実行機能とは、情報を一時的に記憶しながら、それを使って作業をする機能、思考や行動のことを言います。

わかりづらいと思いますので、例を使ってお話しします。

たとえば「青信号から赤信号に変わったときにブレーキを踏む」、「ご飯を食べる際に右手にお箸を持ち、左手にお茶碗を持ち、口に米を運ぶ」。これらの動きをすべて実行機能と言います。

この、行動や判断を司る部分がダメージを受けてしまうと、実行機能障害として現れてきます。

ちなみに認知症の患者さんの中には、先述の記憶障害はないけれども、実行機能障害はあるという方もいらっしゃいます。

様々な「能力」の低下や、うつ症状なども…

これまで3つの症状についてお話ししてきました。

認知症の症状には、上記以外にも、物取られ妄想、理解力の低下、計算能力障害などもあります。

また、認知症の症状は、記憶障害だけでなく、判断能力の低下や理解力の低下などの様々な能力の低下が重なってきます。

そして、それだけではなく、精神的に落ち込んでしまう「うつ症状」も見受けられます。

たとえば「何をやっていても面白く感じない」「やる気がなくなって何もできない」など、生きがいや、やる気がなくなってしまいます。

認知症の患者さんに向けて「さっきも言ったじゃない」「また忘れちゃったの?」などの声をかけている方も見かけますが、これらの言葉によってさらに精神的に落ち込んでしまう患者さんも多くいらっしゃいます。

高齢者医療の医師として伝えたいこと

私は普段認知症の患者さんと多く接しているのですが、認知症の患者さんには、周囲の理解・協力が必要不可欠だと感じています。

実の息子の名前がわからなくなってしまった、今までの思い出を忘れてしまったなど、認知症の患者さんと関わっていると苦しい、辛い出来事も多くあるかと思います。

しかし、知識をつけることで、自分の気持ちを整理することができたり、寄り添ったりすることもできるようになるかと思います。

認知症の動画をはじめ、YouTubeで健康情報に関する動画を随時配信していますので、ぜひ一度ご覧いただけたら嬉しく思います。

一緒に知識をつけて、乗り越えていきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

橋本将吉先生
橋本 将吉(はしもと・まさよし)
東京むさしのクリニック 院長/内科・総合診療医/株式会社リーフェ 代表取締役/医学生のための個別指導塾「医学生道場」運営
1986年生まれ。杏林大学医学部医学科卒。医療の明るい未来の為に医学生の教育が重要であるとの信念のもと、2011年、医学生に特化した個別指導塾「医学生道場」を立ち上げる。健康リテラシーの底上げのため、YouTuberとして病気や症状の原因や治療法、健康法やダイエット法などの情報を発信している。
著書に『ドクターハッシー流 すぐ元気MAXになれる61の科学的法則』(KADOKAWA)、『医師が教える薬のトリセツ』( 自由国民社)、『ドクターハッシーの「不調の味方」』(主婦の友社)がある。
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