副腎疲労 腸のケア
(画像はイメージです/PIXTA)

前回の記事で、副腎ケアの第一歩として「腸のケア」が大事だと書きました。「副腎疲労を知る」第9回目の今回は、副腎疲労の回復に必用不可欠な「腸内環境の改善」の重要性と、腸のケアを妨げるキケンな食品についてみていきます。

目次

  1. 「腸活」で大事な「腸のケア」
  2. 腸内環境の実態
    1. 自分の体重のうち1kgが腸内細菌!
    2. 善玉:日和見:悪玉=2:7:1が理想のバランス
  3. 腸の炎症を抑えるために気をつけたい食品
    1. 炭水化物と牛乳の摂りすぎに注意!
    2. 「パンとコーヒー」…理想の朝食の落とし穴
    3. 腸の粘膜を守るための「グルテンフリー」という選択

「腸活」で大事な「腸のケア」

新型コロナの流行もあり、「腸活」を意識している方も多いことでしょう。

「腸活」は、食生活から生活習慣、考え方に至るまで、幅広く含めることができますが、ここでは特に、副腎への影響の大きさから「腸の炎症を抑えること」を中心にお伝えします。

腸内環境の実態

腸の炎症を抑えるためには、はじめに食生活の見直しが大切です。まず、腸内環境について、簡単に整理してみましょう。

「腸内細菌」という言葉は聞いたことがあると思います。腸を大きく分けると小腸と大腸がありますが、腸内細菌がいるのは主に大腸です。

以前は小腸は無菌状態、大腸にのみ腸内細菌が生息している、とされていましたが、研究が進み、最近では小腸にも少数の菌がいると言われています。

この腸内細菌は、ここ20年ほどで解析技術の発展により研究が一気に進み、それまで考えられてきた腸内細菌に対する認識をはるかに超えて、様々な役割、影響が私たち人体にあることがわかってきています。

自分の体重のうち1kgが腸内細菌!

あなたの腸の中にどのくらい、この腸内細菌がいるか知っていますか?なんと、およそ1000種類、100兆個もの細菌があなたの腸の中で生きています。重さにすると、約1kg。

自分の体重のうち1kgが腸内細菌、と考えると、その存在感に驚かれるのではないでしょうか。これほどの存在感を持つ腸内細菌は、互いに影響し合い、この細菌同士および、細菌と私たち生体とで、複雑な生態系を構築しています。

腸内で、びっしりと生息しているその様子が、顕微鏡などで観察すると植物の叢(くさむら)のようであるところから、「腸内細菌叢(そう)」「腸内フローラ」と呼ばれています。

これらの腸内細菌群、「腸内フローラ」は、単に腸内で生息しているというだけでなく、宿主である私たち人体に、免疫の調節、ビタミンの産生、病原菌の生着阻害などの、欠かせない生理作用をおよぼしています。この「腸内フローラ」自体を、「ひとつの臓器」とみなすことができるレベルです。

善玉:日和見:悪玉=2:7:1が理想のバランス

さて、この腸内フローラを構成する微生物は、大きく3つのグループに分かれます。人体に有益な働きをする、いわゆる「善玉菌」、増え過ぎると人体に有害な影響を及ぼすいわゆる「悪玉菌」、そして、案外知られていないのが、そのどちらにもなり得る、中間的な菌たち「日和見菌」ともいわれる菌です。

理想的なバランスとして、善玉菌:日和見菌:悪玉菌が2:7:1といわれます。日和見菌がどんな働きをするかは、この善玉菌と悪玉菌のバランスによります。

このバランスを保つカギとなるのは、腸の粘膜バリアです。通常、腸の粘膜バリアを構成する細胞と細胞の間はしっかり結合していて、必要なときだけ結合を緩めることで、腸に有害な物質や細菌が入らないよう、しっかり関門の働きをしてくれます。

腸の炎症を抑えるために気をつけたい食品

炭水化物と牛乳の摂りすぎに注意!

しかし、この細胞間の結合が必要でないときにも緩んでしまい、腸の粘膜バリアの機能が低下してしまうと、有害なものの侵入を許してしまいます。これが「副腎疲労を知る」シリーズ第7回目に書いた「リーキーガット症候群」です。そのときに、小麦の「グルテン」や牛乳の「カゼイン」がリーキーガット症候群を起こしやすい、と書きました。

多くの人が、パンやうどん、パスタ、ラーメンなどの麺類がお好きなことでしょう。これらの小麦製品に多く含まれる「グルテン」は、腸壁の結合部分の開閉をコントロールするゾヌリンという物質を放出させます。

グルテンの摂取が多いと、このゾヌリンが過剰に放出され、腸の細胞の結合は開きっぱなしになってしまい、関門としての適切な働きができなくなります。開きっぱなしになった隙間から有害な物質が体内に入り込むことで、それらから身を守るため免疫細胞が集まり腸の粘膜に炎症が起こります。

また、有害な菌を適切に排除できないため、腸内細菌のバランスも崩れます。

牛乳に含まれるカゼインとは、牛乳の中のタンパク質の約80%を占めるタンパク質です。カゼインにもいくつか種類がありますが、多くの牛乳に含まれA1βカゼインは体内で炎症を起こしやすいものです。

また、殺菌処理のための加熱の過程で、カゼインは変性し消化されにくくなります。こうしたカゼインを頻繁に摂ると、腸内を未消化なタンパク質が通過することで腸壁を損傷したり、さらに腸の炎症を起こしたりします。

「パンとコーヒー」…理想の朝食の落とし穴

毎日パンとカフェオレ、パンとコーヒー、という朝食を取る方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらは残念ながら知らず知らず、腸の炎症を悪化させ、あなたの副腎疲労の原因になっている可能性があります。

腸の粘膜を守るための「グルテンフリー」という選択

最近「グルテンフリー」という言葉をよく目にするようになりました。食物アレルギーに対しての表示、と考えている方もいらっしゃると思いますが、アレルギーだけでなく、「リーキーガット症候群」の対策としてグルテンフリーを意識する方が増えています。

グルテンフリーは、世界的テニスプレーヤーのひとり、ジョコビッチ選手がグルテンフリーで体調が整い、テニスのパフォーマンスが飛躍的にアップしたことでも有名になりました。 (参考:「ジョコビッチの生まれ変わる食事」扶桑社)

また、白砂糖をはじめとする精製した糖類、炭水化物も、悪玉菌のエサになって繁殖の原因になります。甘いお菓子やパンは、腸内環境を悪化させたり、血糖値の乱高下を引き起こしたりしやすいので、間食に何を食べるかも大切です。

腸の炎症を抑えるために、まず気をつけたい食品について解説しました。次回は腸の炎症を抑える「腸のケア」として、食品そのものだけでなく、食べ方や食生活以外の観点についても解説していきます。

末光 智子
末光 智子(すえみつ・ともこ)
内科医。自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)