副腎ケア 薬
(画像=画像はイメージです/PIXTA)

前回は、「副腎ケア(腸のケア)」において重要な「咀嚼」について解説しました。「副腎疲労を知る」第11回の今回は、「すぐに薬を使用する」ことが腸に与える恐ろしい影響について詳しくみていきます。

目次

  1. 「腸のケア」をするときに注意したい「薬の飲み方」
  2. 1.抗生物質(抗菌薬)
    1. 抗生物質は腸に影響を与える
    2. むやみに抗生物質に頼らず原因をチェック
  3. 2.解熱鎮痛剤
  4. 3.胃腸薬

「腸のケア」をするときに注意したい「薬の飲み方」

腸にダメージを与える日常の習慣のうち、今回取り上げるのは、薬についてです。特に気をつけたい3つの薬剤について取り上げます。

その3つとは、

  1. 抗生物質(抗菌薬)
  2. 解熱鎮痛剤
  3. 胃腸薬

です。

1.抗生物質(抗菌薬)

抗生物質とは、微生物(特に細菌)感染の治療薬です。病原体の細菌を殺したり、その増殖を抑えたりする薬剤のことです。中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎、膀胱炎、外傷など、様々な部位に起こる細菌感染に対して処方されます。正確には抗菌薬と呼びます。

この抗生物質(抗菌薬)は、もちろん治療薬として大切ですが、現代の医療のなかでは過剰投与になっている場合が残念ながら少なくありません。

たとえば、風邪(感冒、急性上気道炎)は、細菌感染ではなくウイルス感染ですので、抗生物質は効きません。ウイルス感染である風邪が治っていくのは、自分のカラダの免疫の力のおかげです。

抗生物質は腸に影響を与える

しかし、なかには「予防的に」や「念のため」と、風邪であっても抗生物質(抗菌薬)を処方されてしまうことがあります。

抗生物質(抗菌薬)が使われることで、腸内細菌は当然影響を受けます。治療したいターゲットが肺炎を起こしている細菌であったとしても、都合よく肺にいる細菌にだけに効くわけではありません。

投与された抗生物質(抗菌薬)は全身に巡りますので、当然他の場所にいる細菌にも作用します。そうすると、善玉菌も死滅し場合によっては回復しないこともあります。

本当に必要なときにはもちろん必要ですが、風邪のような、「本来は抗生物質(抗菌薬)が必要でない」場合には、安易に抗生物質(抗菌薬)を使わないことが大切です。これは、腸内細菌を守るうえでも、本当に効いてほしいときに効かせるためにも大切なことです。

細菌たちも生き延びるために必死です。抗生物質(抗菌薬)が投与されても、この抗生物質(抗菌薬)のなかでも生きられるように、細菌たちは遺伝子コードを変えていきます。こうして、抗生物質(抗菌薬)が効きにくくなってしまいます(いわゆる耐性菌の出現)。

抗生物質(抗菌薬)の治療は「感染症の根本治療」といわれますが、中耳炎、扁桃炎、気管支炎、副鼻腔炎、膀胱炎など頻繁に抗生物質(抗菌薬)が必要な場合は、さらに根本の、免疫力が低下している等「感染を起こしやすいカラダ」の要因があるはずです。

むやみに抗生物質に頼らず原因をチェック

自分の免疫力が低下している原因がなにか、確かめることが必要でしょう。これまでに解説してきたような「副腎疲労」や「リーキーガット症候群」も免疫力が低下する要因の1つです。

むやみに抗生物質(抗菌薬)に頼ってしまうと、抗生物質(抗菌薬)の使用→腸内環境の悪化→副腎疲労→免疫力の低下→感染しやすいカラダになる→抗生物質(抗菌薬)をたびたび使用……と、悪循環に陥ってしまう危険性があります。

2.解熱鎮痛剤

解熱鎮痛剤は、いわゆる「痛み止め」として多くの人が使用しています。最近では低年齢化も進み、10代の中高生でも、慢性の頭痛や生理痛に対して痛み止めの内服が普通になっている現状があります。

特によく使われる痛み止めは、NSAIDs(通称「エヌセイド」。Non-SteroidalAnti-InflammatoryDrugsの略。正式名称は「非ステロイド性抗炎症薬」)で、高い鎮痛効果、速やかな効果発現を有します。

しかし、この痛み止めで無視できないのは、胃腸に対する作用です(他に注意が必要な副作用として、腎障害などもあります)。

医療機関で痛み止めを処方されるときに、「胃を荒らすことがあるので胃薬と一緒に飲んで下さい」と、胃薬を痛み止めとセットで処方されたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、痛み止めによる胃腸粘膜障害が高確率で起こるためです。

以前は胃や十二指腸への影響(医・十二指腸潰瘍など)がメインといわれていましたが、最近では検査技術の進歩により、胃・十二指腸ばかりではなく、小腸〜大腸の粘膜障害も報告が増えています。軽症のものも含めると、半数以上で内視鏡的な粘膜変化が見られるとの報告もあるくらいです。

こうして、痛み止めは消化管粘膜に影響を与えることで、ダイレクトに「リーキーガット症候群」につながっていきます。

副腎疲労があると、痛み止めが必要な状況(慢性頭痛や生理痛など)も起こりやすくなるため、抗生物質(抗菌薬)のところにも書いたような悪循環に陥ることになります。

3.胃腸薬

胃腸薬にもいろんな種類があります。リーキーガット症候群になる危険性からいうと、胃酸分泌抑制薬(制酸薬ともいわれます)には注意が必要です。

胃酸分泌抑制薬は、ドラッグストアで購入できる医薬品のなかでも代表的なもので、「強力に胃酸を抑える」などの文句をよく見ることでしょう。

そうした影響もあり、「胃酸」はよくないものという印象をもたれがちですが、前回解説したように、消化の過程では食物がしっかり胃酸と触れ合うことがとても大切です。

胃酸は消化のうえでも、また体内に入ってくる有害な微生物を死滅させるうえでも、重要な働きを担っています。日常的に胃酸を抑えていると、消化不良を起こし、リーキーガット症候群を引き起こしやすくなります。

【まとめ】

以上、日常的によく使われる薬剤で、腸のケアの観点から特に注意して頂きたい薬剤について、解説しました。

ドラッグストアで購入できる医薬品が増え、こうした薬が日常的に自己判断でも使われています。しかし、薬はその効果を発揮するために、たいていなにかの働きを犠牲にします。

簡単に手に入るから、簡単に使っていい訳ではありません。薬はほとんどの場合、根本治療にはならないこと、薬をむやみに使うことで陥る悪循環のワナがあることを、ぜひ知っておきましょう。

末光 智子
末光 智子(すえみつ・ともこ)
内科医。自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)