デュピクセントの副作用は?結膜炎や円形脱毛症など
(画像=Adobe Stock)

アトピー性皮膚炎や副鼻腔炎の治療薬として2018年より保険適用となったデュピクセントは、既存の治療方法では完治できなかった方にとっての新たな選択肢となりました。一方で、薬としては他の治療薬よりは少ないと言われていますが、副作用が起こる可能性があります。この記事では、デュピクセントを投与した際に起こる副作用について紹介します。

目次

  1. 副作用も起こる?デュピクセントの働き
  2. デュピクセントで起きやすい副作用は「注射部位反応」
    1. 注射部位反応とは
  3. デュピクセントの副作用は結膜炎も多い
    1. 結膜炎とは
    2. なぜデュピクセントで結膜炎が起こるのか
  4. その他の副作用(1)アナフィラキシー反応
    1. アナフィラキシー反応とは
    2. デュピクセントによるアナフィラキシー反応例
  5. その他の副作用(2)好酸球数の増加による副反応
    1. 好酸球数とは
    2. デュピクセントによる好酸球数の増加の反応例
  6. その他の副作用(3)因果関係が不明な副作用
  7. デュピクセントで副作用が起こったときは
  8. まとめ

副作用も起こる?デュピクセントの働き

デュピクセントとは、「IL-4」と「IL-13」というタンパク質を抑制する効果がある薬です。「IL-4」と「IL-13」は、人間が本来持っているバリア機能を低下させるため、刺激やストレスに弱くなり皮膚のかゆみ・痛み・ただれを起こします。

デュピクセントは2018年にアトピー性皮膚炎、2019年には気管支喘息、2020年に慢性副鼻腔炎の治療として保険適用されました。手術などの既存治療では完治できなかった方への治療法として注目されています。自宅にいながら自分で注射することも可能なので、通院回数を減らすことができます。ただし副作用もありますので、これから解説していきます。

デュピクセントで起きやすい副作用は「注射部位反応」

デュピクセントを注射すると副作用が出る可能性があります。デュピクセントを打って最も起こりやすい副作用は注射部位反応です。

注射部位反応とは

注射部位反応とは、皮下注射をした部位に次のような反応が現れることを指します。

  • 赤くなる
  • 腫れる
  • 熱くなる、火照る
  • 痒くなる
  • 痛くなる
  • 出血する

デュピクセントを打った箇所にこのような症状が現れた場合は、速やかに医師や看護師に伝えましょう。

デュピクセントの副作用は結膜炎も多い

デュピクセントの副作用として目に結膜炎が起こることもあります。

結膜炎とは

結膜炎とは、白目とまぶたの裏側を覆っている半透明な膜(結膜)が刺激や微生物感染などによって炎症を起こしている状態です。症状は結膜の充血・目やにがたくさん出る・まぶたの腫れ・かゆみなどです。

なぜデュピクセントで結膜炎が起こるのか

デュピクセントには目を守るバリアのムチンを減らして目が乾燥してしまう作用があるため、副作用として結膜炎になりやすいと言われています。ほとんどの場合、抗アレルギー作用のある点眼薬で改善しますが、痒みで目をかいてしまうと傷ついてしまうので注意してください。

その他の副作用(1)アナフィラキシー反応

デュピクセントによる副作用としてアナフィラキシー反応もまれに起こります。

アナフィラキシー反応とは

アナフィラキシー反応とは、アレルゲンなどの侵入により複数の臓器や全身にアレルギー症状が現れる過敏反応です。重篤な場合、命に関わることもあります。デュピクセントを初めて注射する場合は病院で医師によって投与され、アナフィラキシー反応が起こらないか様子を見ます。

デュピクセントによるアナフィラキシー反応例

デュピクセントによるアナフィラキシー反応の症状は次の通りです。

  • めまい
  • ふらつき
  • 立ちくらみ
  • だるさ
  • 意識の低下
  • 呼吸困難
  • 呼吸時に「ゼーゼー」と音がする
  • 腹痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 皮膚のかゆみ
  • 赤み
  • 腫れ
  • 全身の発疹
  • くちびるや舌が腫れる

一般的に薬を投与してすぐに現れる場合が多いです。

その他の副作用(2)好酸球数の増加による副反応

デュピクセントを投与した際の副作用として好酸球数が増加することがあります。

好酸球数とは

好酸球とは白血球の一種で、体を守る免疫反応を担っていますが、アレルギー反応の原因となることもあります。好酸球数はアレルギー疾患・寄生虫感染症・特定のがんによって増加することがあります。好酸球数は一般的には血液中の白血球のうち7%前後が正常値ですが、多少の増減では自覚症状が現れることはありません。

デュピクセントによる好酸球数の増加の反応例

デュピクセントを投与して好酸球数が過剰に増加すると、次のような反応が起こります。

  • 発熱
  • だるさ
  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • 呼吸時に「ゼーゼー」音がする
  • 血痰(血液の混じった痰)
  • 動悸
  • 息苦しさ
  • 発疹
  • むくみ
  • 手足のしびれ
  • 麻痺(動きが悪くなる)

その他の副作用(3)因果関係が不明な副作用

因果関係がまだ不明ですが、デュピクセントを投与したことによる副作用として円形脱毛症を発症することも報告されています。円形脱毛症は、ごく一部の患者様で発症することや改善された例があります。デュピクセントによってアトピー性皮膚炎の免疫反応のバランスが変わったことが原因として考えられます。

まだデュピクセントは保険適用となって日が浅い薬なので、因果関係が不明な副作用もありますが、あまり重篤な副作用の報告が少ない状況です。アトピー性皮膚炎のメカニズムに関連する部分にピンポイントに作用するため、他の薬と比べて副作用が少ないとされています。

デュピクセントで副作用が起こったときは

デュピクセントに関わらず薬を服用した場合は、副作用が起きることがあります。副作用は起きるかどうか、起きた時の症状の重さは個人差があります。薬の用法・容量を守らなかった場合や他の食べ物や薬との組み合わせが悪かった場合にも副作用が出ることがあります。

デュピクセントを投与し上記で挙げたような副作用が出た場合は、すぐに医師・看護師・薬剤師に相談してください。医師から指定された薬を副作用が出ているからといって自己判断で飲むことをやめてしまうと、治療している病気を悪化させてしまったり薬が効きにくくなってしまったりします。必ず医師の指示に従って薬を服用するようにしましょう。

まとめ

2018年に保険適用が承認されたデュピクセントは、既存の治療では完治できなかった患者様にとって画期的な治療薬です。一方で、注射部位反応や結膜炎などの副作用が起こる可能性もあります。デュピクセントを投与して副作用かもしれないと気付いたら、すみやかにかかりつけの医師に相談して、薬の量の調整や副作用の治療に取り組んでくださいね。

河合 徹先生
河合 徹
台湾生まれ、東京都板橋区出身。
台湾大学医学部卒業。
日本国医師免許および台湾医師免許のダブルライセンス。
東京大学医学部皮膚科助教(2017年〜2019年)。
皮膚科専門医・がん治療認定医・産業医。
2020年11月、板橋区に成増駅前かわい皮膚科
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