(画像=PIXTA)

病院で行った血液検査や画像検査の結果、カルテのデータは誰のもの? なぜ患者自身でいつでも簡単に確認することができないの? そう不思議に思ったことはないでしょうか。ここでは、誰しも気になったことがあるだろう素朴な疑問についてお答えしていきたいと思います。

病院で「自分の検査データが欲しい」と言ったら、どうなる?

読者の皆さんは病院で検査をした際にデータが欲しいと思ったことがあるでしょうか。

たとえ欲しいと思って医師に相談してみたところで、病院としてはそういった要望に対して対応していないと断られるか、仮に画像のデータをもらうことができたとしても、恐らくCDやDVDなどのディスクメディアを渡されることになるでしょう。最近はMacノートブックなどを筆頭にCD/DVDドライブがついていないノートパソコンが主流になっていてますから、押し入れから外付け式のドライブを持ってこないと実際に見ることすらままならないというのが現状です。

「自分のカルテや画像のデータは自分自身のものなのに、自由に見られないっておかしくない?」と思われるかもしれません。

そもそも医療のデータは誰のもの?

個人の医療データが誰のものかということを議論していくうえでは、リスボン宣言という患者の権利について述べたものが参考になります。そこでは、患者はいい医療を受けるために自分の医療に関するデータを確認できて、自分のデータを自由に自分で選んだ人に見てもらう権利があると謳っています。

重要なのは、データが病院のものなのか、患者のものなのかという話ではなく、患者本人の意志で誰に見せて、誰に見せないのかをコントロールできるということです。実際問題、法的な話をするとモノなど実体のあるものと違い、データというのは所有権を考えることが難しいようです。

とはいえ、データを患者が自由に簡単に扱えているかというと前述の通り、データをメディアでもらうまでに一苦労するし、それを見るのも難しい、画像を見たところで説明が事細かに書いてあるわけでもないからわからないというのが現実です。また、医療機関を選ぶという点においても、“お医者様”の目を気にしてなかなか言い出せないという方も多いでしょう。

実は「医療データにアクセスしやすくする取り組み」が進んでいる

現状を解決するには、いかに患者が医療情報にアクセスしやすく、誰に見てもらえるかも決めやすくするかということが医療者サイドの課題でしょう。

私自身、エムネスという会社で医師という立場からこうした課題に日々取り組んでおります。

エムネスは“身体の状況をありのままに正確にリアルタイムに伝えて世界中の医師や医療従事者が連携して、患者のために理想の医療を提供できるようにすること”をミッションとしており、現在は医療者向けメインではありますが、医療支援クラウドサービス「LOOKREC(ルックレック)」で、医療画像がいつでもどこでも閲覧できる環境を提供しております。

患者向けには、あるクリニックにおいて実験的に、希望する患者さんが自らの検査画像をスマートフォンやパソコンでいつでも確認できるようなサービスを提供しており、好評を得ています。

LOOKRECはスポーツ選手が身体を管理するというところでも親和性があり、西武ライオンズさんをはじめとして多くの野球球団やサッカークラブで選手の身体の管理に活用していただいております。

また、米国のメジャーリーグに挑戦する野球選手が、現地の球団に自らの身体の状況(たとえば肘のMRI画像など)を開示するために活用されたこともございます。従来だとDVDを複数枚送らなければならないのが、より簡単な形で提供できたということで医療データをクラウドで公開できることの大きな効果を証明している例だと思います。

今現在、こんなにもスマートフォン、パソコンに情報が氾濫している世の中ですが、患者本人の医療の情報は病院に閉じており、簡単にアクセスできなくなっております。

そんな現状を打破するために、医療データへ自由に、なおかつ安全にアクセスできて、見せたい人に見てもらえて、意見をもらえてよりよい医療を受けられる…そんな世の中が患者のためになるということを、医療サイドも患者サイドもお互いに理解することが重要だと思います。

嶋田裕記先生
嶋田 裕記(しまだ・ゆうき)
株式会社エムネスMPS(メディカルプロフェッショナルサービス)/脳神経外科医/福島医科大学放射線健康管理学講座大学院生