みぞおちに圧迫感があって息苦しいときの原因と対処法
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みぞおちに圧迫感があって息苦しいときは、さまざまな原因が考えられます。 ストレスや貧血による場合もありますが、胃や心臓の病気が隠れていることも多いため注意が必要です。 今回はみぞおちに圧迫感があるときの原因や対処法、病院を受診すべきケースについて解説します。

目次

  1. みぞおちに圧迫感があって息苦しいときの原因
    1. 急性胃炎:突然みぞおちが痛くなる
    2. 胃潰瘍:吐き気や胃もたれ、げっぷがある
    3. 機能性ディスペプシア:みぞおちに慢性的な痛み
    4. 十二指腸炎:みぞおちや背中が痛い
    5. 狭心症:みぞおちが締め付けられるように痛い
    6. 心筋梗塞:激しい胸の痛みが30分以上続く
    7. 胆嚢炎、胆管炎:みぞおちが痛い、嘔気を伴う
    8. 急性膵炎:みぞおちや背中が痛い
    9. ストレスによる自律神経の乱れ:便秘や頭痛を伴うことも多い
  2. みぞおちに圧迫感があって息苦しいときの対処法
  3. 病院を受診するべきケースとは
    1. 何科を受診すればいい?
  4. 症状が続く場合は医療機関の受診を

みぞおちに圧迫感があって息苦しいときの原因

みぞおちに圧迫感があって息苦しい場合、胃・心臓・肝臓・胆嚢・膵臓や自律神経の乱れが原因となっている可能性があります。 特に心臓、消化器系の臓器障害は命に関わる病気のため、十分に注意が必要です。

急性胃炎:突然みぞおちが痛くなる

突然みぞおちがキリキリと痛くなった場合、急性胃炎の可能性があります。 急性胃炎とは胃の粘膜が炎症を起こしてただれることで胃や消化器の症状を引き起こすことをいいます。

【症状】

  • みぞおちのキリキリした痛み
  • 胃の不快感・膨満感
  • 発熱
  • 吐き気
  • 胸焼け
  • 嘔吐
  • 吐血・下血

急性胃炎は急激に発症することが特徴で、みぞおちや胃の痛みのほか消化器の症状が現れます。 症状が軽ければ1~2日程度で治まりますが、炎症がひどい場合は嘔吐が長期間続いたり、吐血や下血を伴うこともあります 急性胃炎の原因は暴飲暴食やストレス、痛み止め薬の副作用、ピロリ菌の感染などが挙げられます。

胃潰瘍:吐き気や胃もたれ、げっぷがある

みぞおちの圧迫感や息苦しさだけでなく、吐き気や胃もたれなどの消化器症状を伴う場合は胃潰瘍の可能性がります。

胃潰瘍とは、自ら分泌した胃液の消化作用によって胃粘膜の一部が消失・欠損してしまう病気です。

【症状】

  • みぞおちの痛み
  • 胃もたれ
  • 酸味の強いげっぷ・口臭
  • 吐き気・嘔吐
  • 体重減少
  • 食欲不振
  • 吐血・下血
  • 立ちくらみ・動悸・息切れ
  • 黒い便(どろどろのターリー便)
  • 背中や腰の痛み

胃潰瘍になると食後にみぞおちの痛みを感じることが多く、食べ過ぎると長時間胃の不快感が続きます。

胃潰瘍の原因はピロリ菌感染や痛み止めや解熱剤の服用、ストレス、暴飲暴食、喫煙などが挙げられます。 消化管の機能は自律神経によって統制されているため、ストレスの影響を受けると胃酸が多量に分泌されてしまいます。

機能性ディスペプシア:みぞおちに慢性的な痛み

内視鏡で検査しても異常が見つからないものの、みぞおちの痛みや胃痛、胃もたれ、胃の膨満感などが慢性的に続く状態のことを「機能性ディスペプシア」といいます。

【症状】

  • みぞおちの痛み・灼熱感
  • 胃もたれ
  • 胃痛
  • 早期満腹感

機能性ディスペプシアの原因はストレス過多や暴飲暴食、運動不足、疲労過多などが挙げられます。

十二指腸炎:みぞおちや背中が痛い

みぞおちの痛みや圧迫感だけでなく背中が痛い場合、十二指腸炎の可能性があります。 十二指腸炎とは胃がピロリ菌などに感染することで胃酸が過剰分泌されて十二指腸粘膜を傷付けて炎症を起こす病気のことをいいます。

【症状】

  • みぞおちや上腹部の痛み・不快感
  • 背中の痛み
  • 吐き気

十二指腸は背中側にあるため、みぞおちだけでなく背中も痛むことがよくあります。 原因はピロリ菌の感染のほか、ストレスによる胃酸分泌過多やアルコールの摂取、痛み止めの薬の副作用などが挙げられます。

狭心症:みぞおちが締め付けられるように痛い

胸の中央からみぞおちにかけて、胸部全体が締め付けられるように痛い場合は狭心症の可能性があります。 狭心症とは、心筋に酸素や栄養素を送るための冠動脈が細くなることで血流が阻害され、一時的に酸素不足を起こす病気です。

【症状】

  • 胸・みぞおちの圧迫感・不快感
  • 胸痛
  • 肩・首・腕・あご・歯などの痛み・しびれ
  • 動悸・息苦しさ

狭心症の痛みは「しめつけられるよう」「押されるよう」「鈍痛」など人によりさまざまですが、多くの場合は我慢出来ないほど強い痛みではありません。 安静にすることで症状は治まることもありますが、軽減しない場合は心筋梗塞のおそれもあるため早急に救急車を呼んでください。

狭心症の原因の多くが動脈硬化で、高血圧や肥満、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、ストレス過多、喫煙などのリスク要因があると発症しやすくなります。

心筋梗塞:激しい胸の痛みが30分以上続く

胸の中央からみぞおちの深い部分が激しく痛み、30分以上続く場合は心筋梗塞のおそれがあります。 心筋梗塞とは冠動脈の内側にコレステロールがたまり、完全に詰まってしまう病気です。 冠動脈が詰まると心臓に十分な酸素が供給できなくなり、激しい胸の痛みなどが現れます。 発症の原因は動脈硬化や脂質異常症、高血圧、喫煙、高尿酸血症などが挙げられます。

【症状】

  • 胸の締め付け感・押さえられるような圧迫感
  • 胸のむかつき
  • 呼吸困難・息苦しさ
  • 安静にしていても激しい胸痛がある
  • 背中・首・顎・腕の痛み
  • ひどい肩こりのような痛み
  • 冷や汗
  • 歯の痛みや口周辺の違和感
  • 脈が速くなる
  • 顔面蒼白
  • 嘔吐

多くの場合、心筋梗塞の痛みは死の恐怖を感じるほど強烈で、症状は短くても30分以上続くのが典型的です。心筋梗塞が疑われる症状を生じた際はすぐに救急車を呼び、早急に病院を受診してください。

ただ、人によっては吐き気や倦怠感などの症状があるだけで、知らない間に心筋梗塞にかかっていたという方もいます。(無症候性心筋梗塞) そのため、医療機関での定期的な健康診断や検査が重要です。

胆嚢炎、胆管炎:みぞおちが痛い、嘔気を伴う

胆管や胆嚢の胆汁の流れが滞ることで生じる病気です。主に胆石が原因となることが多いですが、胆管や胆嚢のがんなどで胆汁の流れが滞っていることもあり、眼球や皮膚が黄色に変化するような黄疸をきたすこともあり早めの病院受診が必要になります。

急性膵炎:みぞおちや背中が痛い

アルコール飲酒や胆石などが原因で膵臓の酵素が過剰に分泌されて生じる膵臓の炎症です。別名「おなかの火事」とも言われるほど激しい炎症を引き起こし、時には死に至ることもあるため注意が必要です。急激な大量飲酒は控えてください。

ストレスによる自律神経の乱れ:便秘や頭痛を伴うことも多い

過度のストレスを感じると自律神経の乱れが生じます。 すると過剰に分泌された胃酸が胃や十二指腸を傷つけてしまい、みぞおち周辺に痛みを引き起こします。 自律神経が乱れると、みぞおちの圧迫感や息苦しさのほかに以下のような症状も現れます。

【症状】

  • 便秘・下痢
  • 頭痛
  • 動悸
  • 体のだるさ
  • ほてり
  • しびれ

自律神経の乱れは精神的ストレスや身体的ストレスのほか不規則な生活や偏った食生活、睡眠不足、更年期障害などによって起こります。 ストレスを完全になくすことは難しいかもしれませんが、以下のような方法でできるだけ発散させることが大切です。

  • 疲れたときは無理をせず休み、十分な睡眠を取る
  • 適度に気分転換をする
  • 大切な人と時間を過ごす
  • 趣味を持つ

みぞおちに圧迫感があって息苦しいときの対処法

みぞおちに圧迫感があって息苦しいときは楽な体勢をとり、まずは安静にしましょう。 横になるなど、みぞおち周辺を温めることで症状が和らぐこともありますが、みぞおちには複数の臓器が存在しており上記で述べた以外にも多種多様な疾患が疑われるため、体調に変化があるようなら早めに医療機関を受診しましょう

病院を受診するべきケースとは

以下のような症状がある場合は重大な病気が隠れていることがあるため、すぐに医療機関を受診してください。

みぞおちの圧迫感や息苦しさが長時間続く

  • 痛みが徐々に悪化
  • 冷や汗
  • 吐き気・嘔吐
  • 発熱
  • けいれん
  • 意識障害

何科を受診すればいい?

みぞおちには複数の臓器が存在しており多種多様な疾患が疑われるため、日中であれば内科、夜間休日であれば救急を受診しましょう。 受診の際は痛みがある部位やタイミング、そのほかの症状などをくわしく医師に伝えましょう。

症状が続く場合は医療機関の受診を

みぞおちの圧迫感や息苦しさが続く場合は、放置せずに早めに医療機関を受診しましょう。 特に糖尿病の経過が長い方や高齢者の方は、狭心症や心筋梗塞などの致死的な疾患を起こしても気づかないことがあるため特に注意が必要です。

山田航希
山田航希
日本内科学会認定専門医
日本消化器病学会認定専門医
日本内視鏡学会認定専門医
日本肝臓学会認定専門医

自治医科大学卒業後に、沖縄県立中部病院にて内科初期後期研修終了。離島診療所勤務を経て消化器内科専修研修後、肝疾患の臨床分野で武蔵野赤十字病院、トロント大学総合病院多臓器移植科 肝臓移植内科でのクリニカルフェローシップを経て現在、沖縄県立中部病院の多忙な臨床現場で奮闘中。消化器、肝疾患での学会発表、執筆多数。
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