左あばらの下が痛いときの症状と考えられる病気を解説
(画像=Adobe Stock)

「呼吸をすると左あばらの下が痛い」「肋骨がピリっと痛む」などの症状がある場合、病気が隠れているケースがあります。今回は左あばらの下が痛いときの症状や考えられる病気について解説します。病院を受診する目安についても合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 左側のあばらの下が痛いときの症状と原因
    1. 妊娠中に多い筋肉痛のような痛み:肋間神経痛
    2. くしゃみや咳、深呼吸で痛みが悪化:肋軟骨炎
  2. 左あばらの下の鈍痛が続くときに考えられる病気
    1. 尿路感染症:排尿痛や残尿感がある
    2. 急性膵炎:背中の痛みや吐き気がある
    3. 大腸がん:血便や便秘、下痢がある
    4. 脂肪腫・副乳・粉瘤:しこりがある
  3. ズキズキする左肋骨下の痛みは婦人科疾患の可能性も
    1. 子宮内膜症:生理のたびに痛みが悪化
  4. 病院を受診すべきケース
    1. 左あばらの下が痛いときは何科?
  5. 症状が続く場合は医療機関の受診を

左側のあばらの下が痛いときの症状と原因

左側のあばらの下が痛いとき、以下のような原因が考えられます。

妊娠中に多い筋肉痛のような痛み:肋間神経痛

左あばらの下が筋肉痛のように痛んだら、肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)の可能性があります。 肋間神経痛とは肋骨に沿っている肋間神経に鋭い痛みを感じる症状のことをいいます。妊娠中は体型変化や姿勢変化によって背中や内臓を保護する肋骨にも大きな負担がかかり、肋間神経痛が起こりやすくなります。

【症状】

  • 脇腹・背中・胸の前面・おへそ辺りの痛み
  • 息苦しい
  • 寝返りを打つと痛い
  • 体を真っ直ぐできない

痛みは数秒程度でおさまることもあれば、数分間続くときもあります。

くしゃみや咳、深呼吸で痛みが悪化:肋軟骨炎

肋軟骨炎(ろくなんこつえん)とは胸骨と肋骨の間にある「肋軟骨」の慢性的な炎症によって生じる病気です。 原因不明で発生するケースも多いですが、胸部の打撲や風邪などのウィルス感染症、ホルモンバランスの変化、繰り返し動作などが関連していることもあります。

【症状】

  • 左あばらの下の痛み
  • 左腕の痛み
  • 吐き気
  • 発汗

肋軟骨炎は安静時にあばらの痛みが発生することもありますが、くしゃみや深呼吸によって痛みが強くなるのが特徴です。

左あばらの下の鈍痛が続くときに考えられる病気

左あばらの下の鈍痛が長期間続くときは、重大な病気が隠れているケースがあるため注意が必要です。ここでは、考えられる病気について解説します。

尿路感染症:排尿痛や残尿感がある

尿路感染症とは大腸菌や尿の出口付近に住み着いている細菌感染によって尿路が炎症を起こす病気です。細菌が尿道の出口から侵入して膀胱に達すると膀胱炎を起こし、細菌がさらに上にのぼって腎盂に達して増殖すると腎盂腎炎を発症します。

【症状】

  • 膀胱炎:排尿痛・残尿感・頻尿・尿の濁り・血尿
  • 腎盂腎炎:肋骨脊柱角の痛み・腎臓部分の痛み・発熱・血尿

膀胱炎や腎盂腎炎の症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。

急性膵炎:背中の痛みや吐き気がある

左あばらの下がズキズキ痛む場合は、急性膵炎の可能性があります。急性膵炎とは消化を助ける膵液が滞留し、膵臓にダメージを与えて炎症を起こす病気です。

【症状】

  • 背中やみぞおち、腰の痛み
  • 37度~38度程度の発熱
  • 食欲不振・体重減少
  • 吐き気、嘔吐
  • 倦怠感
  • 腹部膨満感・下痢

急性膵炎は過度な飲酒や脂っこい食事、肥満などが原因で発症しますが、じっとしていられないほどの強い痛みが生じることがあります。 急性膵炎を放置すると免疫機能が低下して敗血症性ショックを併発するリスクが高まるため、早急に消化器内科を受診してください。

大腸がん:血便や便秘、下痢がある

左あばらの下が痛いだけでなく、便秘や下痢を繰り返していたり血便が出たりする場合は大腸がんの可能性があります。 大腸がんは大腸の正常な粘膜から発生する場合と腺腫(良性のポリープ)ががん化する場合があり、症状は以下のとおりです。

【症状】

  • あばらの下の痛み・腹痛
  • 血便・下血
  • 便秘・下痢
  • 便が細くなる
  • 腹部のしこり
  • 体重減少
  • 腸閉塞(腹部が張り、吐き気や嘔吐が起こる)
  • 便が残る感じ
  • 貧血

大腸がんは早期のうちは症状がほとんどないため、知らず知らずのうちに進行していることがあります。しかし早期発見できれば内視鏡治療で治癒できるため、定期的な検査をおすすめします。

脂肪腫・副乳・粉瘤:しこりがある

左あばらの下にしこりがある場合は、脂肪腫や福乳、粉瘤の可能性があります。

名称 しこりの原因 しこりの特徴
脂肪腫 脂肪細胞が異常に増殖してできる良性腫瘍 ・滑らかで柔らかい
・こぶのような見た目
・触ると硬い
副乳 人間の進化の過程で残った乳房の痕跡
(授乳期や生理中の女性に発症しやすいが、男性にできることもある)
・ほくろ程度のできもののような小さなしこり
・痛みや腫れ、分泌物が出ることがある
粉瘤 皮膚の下に袋状の嚢腫ができ、皮膚から剥げ落ちるはずの角質や皮脂が袋の中にたまることでできる ・少し盛り上がっている
・中央にある黒い点を強く押すと臭くてドロドロした膿が出てくることがある

いずれも自然に治ることはないため、脂肪腫や粉瘤は皮膚科、副乳は婦人科で治療を受けましょう。特に副乳は乳がんを発症することもあるため、放置せず早めの受診をおすすめします。

ズキズキする左肋骨下の痛みは婦人科疾患の可能性も

左肋骨下がズキズキと痛む場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患が隠れている可能性もあります。

子宮内膜症:生理のたびに痛みが悪化

子宮内膜症とは、何らかの原因で子宮内膜が本来あるべき子宮内以外の場所に発生・発育してしまう病気です。 20~30代の女性に多くみられ、30~34歳でピークを迎えますが、加齢により女性ホルモン分泌が減少するとおさまります。

【症状】

  • 下腹部痛・左肋骨下の痛み
  • 月経痛
  • 腰痛
  • 排便痛
  • 性交痛
  • 不妊

子宮内膜症は治療後も再発することが多いため、長期にわたる経過観察が必要です。

病院を受診すべきケース

左あばらの下が一時的に痛くなっても、繰り返さない場合は一旦様子を見てみましょう。 しかし、以下のような症状がある場合は内臓の炎症が悪化している恐れがあるため、早急に医療機関を受診してください。

  • 左あばらの下の痛みが続く・繰り返す
  • じっとしていられないほど痛みを感じる
  • 背中の激痛を伴う
  • 発熱や息苦しさなど、ほかの症状もある

左あばらの下が痛いときは何科?

左あばらの下が痛いときは原因によって専門科目が異なりますが、原因不明の場合は近くの内科を受診することをおすすめします。体の異常がある場合は、医療機関でくわしく検査をしてもらえます。

症状が続く場合は医療機関の受診を

左あばらの下が一時的ですぐ治まる場合は様子を見て問題ありませんが、症状が続いたり発熱や息苦しさなどがある場合は医療機関を受診しましょう。 あばらの下が痛くなった時期やくわしい症状などをメモしておき、受診の際に伝えるとスムーズに診察が進みます。

川本徹
川本徹
略歴
1987年 筑波大学医学専門学群 卒業
1993年 筑波大学大学院医学研究科修了
1996年 筑波大学臨床医学系外科(消化器外科)講師
2003年 米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター客員講師
2008年 東京女子医科大学消化器病センター外科非常勤講師
2010年 みなと芝クリニック 院長
2013年 東邦大学医学部客員講師
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