(画像=PIXTA)

施術をしていると患者さんから様々な質問を受けます。日常生活の過ごし方や、体の使い方など多岐にわたります。その中でも特に多くの方から受ける質問をピックアップしてご紹介していきたいと思います。今回は、膝に関する質問です。

目次

  1. 50代の女性に多い膝痛
  2. 膝痛を引き起こす「足の使い方」
  3. 就寝時にも起こる膝痛
  4. 膝痛を起こさないためには?
  5. 膝痛予防で気を付けたい「履物」

50代の女性に多い膝痛

膝といえば、50代以降の女性の方に痛みが出ることが多い箇所です。当院でも膝痛の患者さんは、男性に比べて圧倒的に女性のほうが多いです。

それらの女性患者さんが口をそろえて言うのは、「立つ瞬間が痛い」とか「歩き始めて数歩が痛い」といったことです。

つまり、歩き始めて数歩は膝が痛いけれども、しばらくすると痛みがなくなり痛みを忘れてしまうということです。

こういった動き始めが痛いことを「初動時痛」といい、これは膝痛の特徴でもあります。

「なぜ膝は動き始めが痛いのですか?」

これが膝痛の患者さんからよく受ける質問です。

これには普段の「体の使い方」が大きく関与しています。

膝の使い方ではなく「体の使い方」と書いたのは、実は膝痛が起こるのは膝の使い方が悪いのではなく、体の他の箇所の使い方が悪いからです。

膝痛を引き起こす「足の使い方」

体の他の箇所とは、ズバリ「足」です。

体は各所でつながっているため、動くときにその箇所が単体で動くことは少なく、各所が連なって動きます。

実は、「足」の使い方によってそこからつながる体の動きはまったく変わります。

歩行するとき、まず踵(かかと)と足の外側が地面に着地します。本来であれば、その後に足の親指まで踏みしめて後ろに蹴って歩くのが理想なのですが、多くの人は親指まで踏みしめずに足の外側と踵しか接地しないで歩いているのです。

そうなると親指は浮いて反り返るため、足は外側に傾いていきます。そして重心も外側に傾きます。

足もとがこのような状態だと下腿部(膝下から足首までの箇所)は、外旋していきます。つまり、外側に回旋しながらたわんでいくのです。

足もとから下腿部が外側に傾いていくと、バランスを保つために膝から上の大腿部は内側に回旋しようとします。

こうなると、膝を境にして膝から下は外に回旋し、膝から上は内に回旋するので膝関節は捻れた状態になります。

膝関節は本来曲げる、伸ばすという動作しかできません。膝を捻る動きは、実は足と股関節の動きによって起こる連動なのです。

つまり、「捻る」という本来膝ができない動きを足と股関節によって強いられることになります。

膝が捻れている状態でずっと座っていると、膝は捻れた状態で固まります。この捻れて固まった状態からいきなり動くと痛みが出るのです。

就寝時にも起こる膝痛

膝痛は就寝時にも起こります。

「寝ているときに痛みが起きるの?」と不思議に思うかもしれませんが、実は就寝時に膝が痛くなる人は意外に多いのです。

寝ているときにずっと同じ体勢の人はほとんどいません。多くの人は寝ている間に何回か寝返りをします。

膝が捻れている人が、暫く同じ体勢で寝ている間に固まってしまい、寝返りをして膝が動かされた瞬間に痛みが出るのです。

また、寝ている間に膝に痛みが出る要因は他にもあります。

膝関節は冷えによっても痛みが出ます。

夏は暑いため冷房をかけて寝る人も多く、中には布団をかけないで寝る人もいます。

そのため膝は寝ている間に冷やされ、寝返りをうったときや、トイレに行くために起きて立ち上がった瞬間に痛みが出るのです。

膝痛を起こさないためには?

では、膝に痛みを出さないようにするためにはどうしたらよいのでしょうか。

まず膝が捻れた状態にならないようにすることが重要です。

そのために、「足」の使い方に注意しましょう。

膝から下の箇所が外側に崩れていくと、膝から上の箇所で内側に戻そうとするので膝に捻れが生じます。そうならないために、まずは膝から下の箇所が外側に崩れていかないようにする必要があります。

そのためには、歩くときに足の親指までしっかりと踏みしめて後ろに蹴って歩くことが重要になります。

足の親指まで踏みしめて歩かないと、下腿部が外旋した状態で固まっていきます。そうなると、下腿部を内旋する時に使う筋肉は使わなくなるので次第に弱化していきます。

足の親指までしっかりと踏みしめることで、下腿部は内旋します。

そうなると下腿部を外旋させる筋肉も内旋する筋肉も使うことになり、筋肉の使い方にムラがなくなります。

それゆえ、膝から上の大腿部が膝を内側に戻す必要がなくなり膝に捻れが起きにくくなるのです。

膝痛予防で気を付けたい「履物」

また、「足指」を踏みしめて後ろに蹴って歩くためには、「履物」も重要になってきます。

ヒールが高い靴やパンプスに代表される先細りの靴、またサンダル系の靴などは足指を正しく使いにくい靴なのでなるべく履くことを控えましょう。

また、意外と盲点なのが室内で履くスリッパです。

スリッパは脱げないように足の指を反り上げて、スリッパの中で足指を引っ掛けて歩きがちです。そうなると足指は使わなくなり足指を踏みしめるための筋肉は弱化していきます。

室内ではスリッパをなるべく控え、5本指ソックスを履くようにしましょう。

もし、室内でスリッパを履きたい場合は、なるべく踵まで覆われたもので脱げにくいスリッパを選び「足指」まで踏みしめて歩くように意識しましょう。

以上のように、膝に痛みを出さないようにするためには膝に捻れが生じないようにする必要があります。そのために「足指」、特に「足の親指」まで踏みしめるような歩き方をしていきましょう。

山田 真
山田 真(やまだ・まこと)
柔道整復師、はり師、きゅう師。まほろば鍼灸整骨院院長 美骨痩身サロンBELUNA代表。
1972年生まれ、神奈川県横浜市出身。明治大学商学部、明治東洋医学院専門学校柔整学科、森ノ宮医療学園専門学校鍼灸学科卒業。「幸せは健康の上に成り立つ」という信条の下、大学卒業後は健康関連事業で人の生活に貢献している明治乳業株式会社(現 株式会社明治)に入社。入社4年を経過した頃、自分の独自色を活かして人の健康に貢献できないかと考え、脱サラして柔道整復師の資格取得を目指す。7年間修業した後、2009年大阪府吹田市に、まほろば鍼灸整骨院を開院。開院後、施術回数は16万回を超えるが、足元から全身につなげていく施術をおこない、足指を正しく使えるように調整したところ、患者さんの様々な不調が劇的に改善。遠方からも評判を聞きつけて多数の患者さんが来院。現在、来院する患者さんは筋肉の痛みだけではなく、内臓の不調、アトピー、頭痛、耳鳴り、めまい、姿勢矯正、産後骨盤矯正、発達障害、慢性疲労、自律神経失調症など多岐にわたる。2021年4月に『「足指」の力 体の不調がスッと消える3分つま先立ち体操』を出版。 まほろば鍼灸整骨院Facebook