食後の動悸はなにが原因?考えられる病気や予防法を紹介
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食後の動悸が心配で、病院に行こうかどうか迷ってはいませんか?食後の動悸が一時的な場合は、問題はない可能性が高いです。その一方で、継続や繰り返しが見られる場合は、病気の可能性もあるため注意しましょう。本記事では、食後の動悸で考えられる病気をお伝えします。相談する病院の診療科や予防法も紹介しますので、参考にしてください。

目次

  1. 食後に動悸が起こるのはなぜ?
    1. 動悸とは
    2. 自律神経による影響で食後に動悸がする
    3. 病気の可能性がある食後の動悸
  2. 食後の動悸や息苦しさの原因となる病気
    1. 不整脈
    2. 食後低血圧
    3. 自律神経失調症
    4. 糖尿病
    5. 食物アレルギー
    6. バセドウ病
  3. 食後の動悸は何科を受診すればいい?
  4. 食後の動悸の予防法

食後に動悸が起こるのはなぜ?

ここでは食後に動悸が起こる理由を解説します。自律神経の影響や病気の可能性について説明しますので、参考にしてください。

動悸とは

動悸とは、ドキドキと心臓の拍動を自覚できる状態を指し、速くなったり、乱れたりするのを感じます。心臓の働きは、自律神経の影響を受けています。そのため、外部からの刺激や緊張などにより交感神経が優位になると、それが心臓に作用して動悸がすることがあるのです。

交感神経は人を活動的にさせる神経であり、休ませる働きの副交感神経とバランスを取りながら、身体の機能を維持しています。心臓に対しては、心拍数や血流を増やすように作用することが多いです。

このように心臓の拍動数や血圧の変動は自律神経を介した生理的な反応でもあるため、健康な人でも飲酒やカフェインの摂取、喫煙、緊張、ストレスなどの影響で交感神経が刺激され動悸がします。その一方で、心臓、甲状腺、貧血、発熱時など病気を抱えた場合も動悸を感じますので注意しましょう。

自律神経による影響で食後に動悸がする

自律神経の影響により食後に動悸がしたり、息苦しさを感じたりすることがあります。体内に取り入れた食物を消化するために、自律神経の作用で胃腸に血液が集中するからです。

胃腸に血液が集中する時に、脳などの臓器にも血液を送り続ける必要があるため、普段より心臓からの血流が促進される結果、増えた心臓の拍動を、動悸として感じることがあるのです。  また、食事は自律神経にも影響を与え、食後の不整脈、つまり動悸につながる場合があります。これらの影響は食事量の違いによっても変わります。

動悸が一時的であれば、衣服をゆるめて、呼吸を整えると動悸や息苦しさが落ち着きます。しかし、次に紹介するような動悸を、食後に感じる場合は注意が必要です。

病気の可能性がある食後の動悸

病気の可能性がある食後の動悸は、次のような症状に見舞われます。

食後の息苦しさが繰り返し起こる 吐き気を感じる 胸が痛い 特定の食べ物で動悸や息苦しさを感じる 食後にめまいやふらつき、転倒などの症状が現れる

以上の症状が現れる場合は、病気の可能性があるため病院を受診することをおすすめします。病気の中には、心臓病や糖尿病などの重篤な病気も含まれます。次に、食後の動悸や息苦しさの原因となる病気を具体的に説明します。

食後の動悸や息苦しさの原因となる病気

ここで紹介する次の病気の場合は、自分で対処が難しいため病院の受診をおすすめします。

  • 不整脈
  • 食後低血圧
  • 自律神経失調症
  • 糖尿病
  • 食物アレルギー
  • バセドウ病

いずれも、食後に動悸や息苦しさが現れる可能性のある病気です。各疾患について詳しくお伝えします。

不整脈

不整脈は脈の打ち方が乱れた状態で、自覚することもしない場合もあります。動悸の原因として不整脈はよくみられ、原因となる他の心臓病が存在する可能性や命に関わる場合もあるため、一度は病院を受診した方がよいでしょう。

不整脈はケースにより動いた時、緊張した時、横になった時に起こることもあります。他の心臓病としては狭心症や心筋症などがあり、心臓へ血液を送る冠動脈や全身に血液を送る心臓の機能が衰えた状態です。最悪の場合は、死に至るケースもあるため注意が必要です。 稀に何かを食べたり飲んだりすると動悸がしたり、めまいがする時があります。嚥下性不整脈、嚥下性心停止と言われ、食物が食道を降りていくときに、心房性期外収縮や心房細動という不整脈や心停止が生じてしまうことがあります。嚥下時に、心臓の真後ろにある食道が心房を押すことや、食道に存在する自律神経が強い反射を起こすこと等が原因と考えられています。

不整脈は、高齢者に起こることの多い症状ですが、ストレスを抱えている人やしっかり眠れていない人は、若年層でも発症することがあります。

食後低血圧

食後低血圧は、食後にめまいやふらつきを感じる点が特徴です。自律神経の働きが正常に機能せずに、血液の流れが調整しづらい高齢者に起こりやすいです。高血圧の治療で服用している降圧薬が原因の場合もあるので、医師に相談して薬の量を調整してもらいましょう。

糖尿病やパーキンソン病などの病気が原因であることもあり、脳卒中や心筋梗塞の引き金になるとの指摘もあります。症状の重症化を防ぐためにも、病院を受診して治療を受けることも大切です。

自律神経失調症

自律神経は内臓の働きを調整しているため、乱れた状態が続くと食後の動悸や息苦しさにつながります。

自律神経の乱れの原因は、ストレスや疲労の蓄積であることが多く、自律神経失調症になることもあります。自律神経失調症は動悸以外にも、不眠や便秘、下痢、倦怠感などさまざまな症状を伴う点も特徴です。

動悸以外のさまざまな症状に悩まされている場合は、自律神経失調症の可能性もありますが、他の病気との鑑別も必要なため、自己判断せずに病院の診断を受けることが重要です。

糖尿病

糖尿病では、食事による血糖値の変動幅が大きいとその落差で低血糖症状のような動悸を感じることがあります。また、空腹時は血糖値が正常であるにもかかわらず、食後に血糖値が急上昇して異常な値を示すケースがあるのです(境界型糖尿病や隠れ糖尿病)。食後の血糖値の急上昇は、血糖値スパイクとも呼ばれており、食後に急上昇した血糖値がインシュリンの分泌過剰により急下降して、低血糖になることがあります。

健康診断で空腹時血糖値のみでHbA1Cや尿糖を測定していない場合は糖尿病を見逃されることもあるため、注意が必要です。パンや麺類、白米などの炭水化物の取り過ぎにも注意しましょう。

食物アレルギー

食物アレルギーとは、特定の食物を摂取した際に免疫が過剰に反応して、動悸や吐き気、呼吸困難、かゆみなどの症状が現れることです。

以前は問題なく食べられた食物でも、ある日突然に発症する場合もあります。疲労がたまっていたり、体調が優れなかったりして発症する傾向にあります。

重篤化して、アナフィラキシー(蕁麻疹、息切れ、ショックなど)に陥ると命に関わるため、すぐに救急車を呼ぶようにしましょう。

バセドウ病

バセドウ病とは、甲状腺機能の亢進により、新陳代謝が過度に活発になる状態です。激しい動悸や息切れなどを感じ、平時でもジョギングをしたときのような状態になります。

新陳代謝が活発になるため、日頃からしっかりと食事を摂取しても、体重が減ることが多いです。男性よりも女性に発症しやすい自己免疫疾患で、3割くらいの人に目が突出する症状が見られる点も特徴です。

食後の動悸は何科を受診すればいい?

食後に動悸がする場合は、まずは循環器内科を受診するとよいでしょう。動悸は放置して良い場合から命に関わるケースまで様々なので動悸が気になる場合には心エコーやホルター心電図を施行するのが良いでしょう。

その一方で、自律神経失調症や心の病などが原因で食後の動悸が起こることもあります。循環器内科で原因が分からない場合は、他の病気の可能性を考慮して、心療内科や精神科を受診してください。

食後の動悸の予防法

食後の動悸の予防法は次のとおりです。

食べ過ぎないこと 特に空腹時のドカ食いは注意 ゆっくり食べること 3食食べて空腹が長時間持続する状態をなくす 野菜からゆっくり良く噛んで食べる 食後にしっかりと休憩をとること

食後の動悸は予防が可能ですが、動悸が繰り返されたり、続いたりする場合は、病院を受診して医師に相談してください。

伊藤重範
伊藤重範
所属 医療法人三九会 三九朗病院 循環器内科
専門領域 循環器病学 心臓病・生活習慣病への運動療法 心血管病へのカテーテル治療 

名古屋市立大学医学部卒 医学博士
名古屋市立大学第一内科、豊橋ハートセンター、名古屋市立東部医療センター等で循環器疾患の診療と研究に従事。その間、米国ワシントンホスピタルセンターへ心臓カテーテル治療研究のため留学。

資格等
日本内科学会 総合内科専門医
日本循環器学会 専門医
日本心臓病学会 正会員(FJCC)
日本心血管インターベンション治療学会名誉専門医
日本心臓リハビリテーション学会 指導士
日本医師会認定 健康スポーツ医 産業医