泣く、イライラ…生理中の情緒不安定はどう対処する?病院や市販薬についても解説
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生理前や生理中に情緒不安定になったことはありませんか。生理中は、いつもは気にならないことが気になって仕方なかったり、なにもないのに猛烈にイライラしてしまったり、平静を保つことができないことが多くなります。では、生理中の情緒不安定はどうして起こるのでしょうか。その原因と対処法について解説します。

目次

  1. 生理前~生理中に情緒不安定になりやすい原因
  2. 生理前~生理中の情緒不安定、自分でできる対策は
    1. 眠る、休息をとるなどして脳を休める
    2. ゆっくり入浴して体を温める
    3. 眠れないときは寝る前にリラックスできる飲み物を飲む
    4. 彼氏や旦那など周囲の人に理解を得る
    5. 市販薬を試してみる
  3. 生理前~生理中の情緒不安定がひどいのはPMDDかも
    1. PMDDとは
    2. PMDDの症状・診断基準
  4. PMDDが疑われる場合
    1. PMDDは婦人科・産婦人科で治療できる
    2. PMDDの主な治療法
  5. まとめ

生理前~生理中に情緒不安定になりやすい原因

女性の体調は、女性ホルモンに影響を大きな影響を受けます。ですから、女性ホルモンのバランスが乱れると、心身に不調が現れやすくなります。

女性ホルモンには、卵胞ホルモンといわれる「エストロゲン」と黄体ホルモンといわれる「プロゲステロン」の2種類があり、普段はこれらがうまくバランスを取り合っています。 しかし、ストレスや不規則な生活など、何らかの原因で女性ホルモンのバランスが崩れると、イライラしたりわけもなく落ち込んだり、情緒不安定になりやすくなるのです。

また、生理前はプロゲステロンの分泌が多くなることで、体温上昇、むくみ、不眠などが起こりやすくなります。このような体の不調がストレスとなり、イライラや不安な気持ちを増幅させ、感情の起伏を激しくする一因になります。

生理前~生理中の情緒不安定、自分でできる対策は

生理前から生理中にかけて起こる情緒不安定は、対策をすれば改善できる場合があります。ここでは、自分でできる対策についてご紹介します。

眠る、休息をとるなどして脳を休める

生理前の情緒不安定を改善するには、まずはホルモンバランスを整えることです。特に睡眠は大切で、体を休めるだけでなく、脳をリラックスさせるためにも必要です。 脳がいつもフル回転していると、自律神経の働きや女性ホルモンの分泌に悪影響を与え、心身共にバランスを崩してしまいます。また、寝不足はストレスとなり、情緒不安定をひどくさせます。まずはしっかり眠ることが大切です。

ゆっくり入浴して体を温める

入浴して体を温めると血行が良くなり、自律神経のうち副交感神経が優位になって、心身ともにリラックスできるようになります。リラックスすることで呼吸や血圧が安定し、女性ホルモンのバランスも整いやすくなるため、情緒不安定からも解放されるでしょう。

眠れないときは寝る前にリラックスできる飲み物を飲む

生理前には、ホルモンの影響で不眠になることがあります。このとき、眠れないからと無理に寝ようとすると逆効果になるので、リラックスできる飲み物を飲んでみましょう。

おすすめは、白湯やノンカフェインのハーブティーなどです。少しずつ口に含み、ゆっくり飲むようにして、胃に負担をかけないように飲んでください。体を温めることでリラックスできるようになり、よく眠れるようになります。

彼氏や旦那など周囲の人に理解を得る

生理前になると毎回のように情緒不安定になってしまうという人は、あらかじめパートナーに伝えておきましょう。周囲に理解を求めておくことで、生理前の情緒不安定による不用意な衝突を防ぎ、さらにフォローしてもらえる可能性もあります。

市販薬を試してみる

生理前の情緒不安定は、市販薬によって改善することもできます。こういった市販薬には、血行を良くしたりホルモンバランスを整えたりする生薬が何種類も配合されています。生理前や生理中の心身の不調、更年期障害に伴う不快な症状などに効果があります。

生理前~生理中の情緒不安定がひどいのはPMDDかも

生理前から生理中にかけて、イライラや落ち込み、不安などの情緒不安定がひどいのは、もしかするとPMDDかもしれません。PMDDとは一体どのような症状なのでしょうか。次で詳しく解説します。

PMDDとは

PMDDとは、月経前不快気分障害のことで、名称は英語名の「Premenstrual Dysphoric Disorder」の単語の頭文字を組み合わせたものです。これは、生理前になると情緒不安定になったり不快な気分になったり、精神的な症状が強く現れる状態で、うつのような状態になる人もいます。

月経前に不快な症状が現れるものとしてもうひとつ、PMS(月経前症候群)がありますが、PMSはだるさや眠さなど体の不快な症状が主であることに対し、PMDDはこころの症状が主です。そのため、PMDDは、精神疾患のひとつだと考えられています。

PMDDの症状・診断基準

PMDDの主な症状は、以下です。

  • 日常生活に支障をきたすほど情緒不安定になる
  • 不安感がある
  • 常にひどい緊張感がある
  • 怒りっぽく、攻撃的になる
  • あらゆることに興味がなくなる
  • 外出が億劫で引きこもりがちになる
  • 集中できない
  • 過眠、不眠など睡眠障害がある
  • 自殺願望がある
  • 乳房の張りやむくみなど身体症状がある

上記に当てはまるものが複数あれば、PMDDの可能性があります。

生理前になると、女性ホルモンの影響によって、落ち込みや不安などが起こることはよくあります。軽ければ問題ないのですが、感情をコントロールできずに生活に支障をきたしてしまうほどになれば要注意が必要です。理性で感情や行動を制御できないほどになれば、病院にかかったほうが良いでしょう。

PMDDが疑われる場合

生理前の情緒不安定がひどく、少しでもつらいと感じている人は、PMDDの可能性があります。自分がつらいだけでなく周りにも迷惑をかけてしまうほどであれば、なおさら、症状を疑ったほうが良いでしょう。

PMDDは、実は多くの人に症状が現れているといわれます。しかし、多くの人は症状を自覚しておらず、生理前の心身の不調を「こんなものだ」とスルーしてしまっています。 PMS(月経前症候群)の症状のひとつだと考えられていましたが、生理前の情緒不安定がうつ状態になるほどひどくなる人もいることがわかり、近年では、PMDDは精神疾患の一つと考えられています。 症状を改善するためには専門医の診察が必要で、治療は投薬やカウンセリングによって行われます。

PMDDは婦人科・産婦人科で治療できる

PMDDはPMSと同じく、女性ホルモンのアンバランスによって起こる症状です。そのため、婦人科や産婦人科で治療することができます。中には、PMSやPMDDの症状に悩む人のための専門外来を設けているクリニックもあります。

ただ、PMDDは精神疾患だと考えられているため、精神科・心療内科で治療が行われることもあります。また、症状によっては、 婦人科・産婦人科と精神科・心療内科が連携して治療を行うこともあります。

はじめにどの科にかかろうか悩んだときは、自分の心身に現れている症状を見極め、それによって選んでください。PMDDによる精神的な症状の他に、PMSによる体の不調も現れているなら婦人科・産婦人科へ、精神的な症状が主であれば精神科・心療内科にかかりましょう。

PMDDの主な治療法

PMDDは、症状が比較的軽い場合は、情緒不安定に対して精神安定剤、身体的な症状に対しては利尿剤や鎮痛剤などが処方されます。また、女性ホルモンのバランスを整えるために、漢方薬が処方されることもあります。

症状が重い場合は、抗うつ薬が投与されます。抗うつ剤は、排卵後生理が始まるまでの期間のみ投与する場合と、連続して投与する場合の2パターンあり、症状の現れ方によって違います。

PMDDを改善するためには、投薬による治療だけでなく、生活習慣に気をつけることも大切です。そのためクリニックでは、生活習慣や食事など、日常生活に対するアドバイスをしてくれることもあります。

まとめ

女性は誰しも、生理と長く付き合っていかなくてはいけません。だからこそ、生理前や生理中を少しでも快適に過ごしたいものです。生理前や生理中に情緒不安定になるのは、多くの場合、女性ホルモンの乱れが原因です。日常生活に支障をきたすほどつらい症状に悩まされているなら、ぜひ専門医に診てもらいましょう。

池上 芳美
池上 芳美
【経歴】
◯平成元年
日本大学医学部卒業、日本大学医学部産婦人科学教室入局
山梨県立中央病院、横須賀市立市民病院、川口市立医療センター、社会保険横浜中央病院、その他大学関連出張病院にて研修・勤務
◯平成11年より6年間、福岡県在住
IVF詠田クリニック、愛成会東野産婦人科、福岡市中央保健所、非常勤勤務
◯平成20年4月
池上レディースクリニック開業
◯平成23年10月
「医療法人社団 なずな会」設立

所属・資格等
◯日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医
◯母体保護法指定医
◯日本抗加齢学会専門医
◯日本医師会認定産業医
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