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最終更新日:2021年12月27日

「3回目のワクチン接種」は本当に必要か…抗体研究者が解説

こちらの記事の監修医師
熊本大学ヒトレトロウィルス学共同研究センター
郭悠

「3回目のワクチン接種」は本当に必要か…抗体研究者が解説

(画像=※画像はイメージです/PIXTA)

オミクロン株の出現により、世界中で再び新型コロナウイルスの新規感染者数が増加している現在。日本でも徐々に感染例が報告されています。こうしたなか、世界では「3回目のワクチン接種」が進んでいますが、そもそもオミクロン株に既存のワクチンは有効なのでしょうか。また、3回目の接種による副作用等、安全性も心配されます。今回、熊本大学ヒトレトロウィルス学共同研究センターでウイルス抗体を専門に研究している郭悠氏に、3回目のワクチン接種の必要性について話を伺います。

目次

  1. 「3回目のワクチン接種」は本当に必要なのか
  2. 3回目のワクチン接種…安全性は?
  3. ワクチンの追加接種は、どのような人に必要なのか?
    1. 高齢者以外では…医療従事者や妊婦、授乳婦が優先順位高い
  4. 優先順位が高くない人もワクチン接種は必要か
  5. 利用可能な手段を「最大限に使う」ことがもっとも重要

「3回目のワクチン接種」は本当に必要なのか

オミクロン株の出現により、アメリカでの新型コロナウィルス(COVID-19)新規感染者は1週間に72万5,750人に達しました(12月21日WHO発表)。日本でも羽田空港でオミクロン株感染例が13例報告されており、政府も政策に乗り出しています。

アメリカのCenters for Diseases Control and Prevention(CDC)は、COVID-19の新たな対策として、ファイザーまたはモデルナのワクチン接種後6ヵ月以上経過した18歳以上の人に対して3回目の追加接種を推奨しています。

ここでは3回目のワクチン接種について、カナダのOntario Ministry of Health and Long-Term Careが詳しいガイドラインを作成していますので、それをもとに説明したいと思います。

CDCは3回目のワクチン追加接種の根拠として、感染予防効果は時間とともに減弱すること、追加接種でデルタ株を含めた変異株への予防効果が増強すること、COVID-19の症状を抑えることなどを挙げています。

そこで、日本政府も現在ワクチン2回目と3回目の接種間隔を8ヵ月としているところ、アメリカと同じ6ヵ月にすべく、ワクチンの供給量を確保しようと動いています。

なお、カナダでは3ヵ月以上間隔を空ければワクチン接種可能としています。

現時点ではオミクロン株へのワクチンの効果は不明ですが、少なくともワクチン接種はデルタ株感染時に症状の抑制効果がみられていることから、CDCはワクチン効果を持続させる必要があることを根拠として挙げているのです。

3回目のワクチン接種…安全性は?

新型コロナウィルスではメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが承認されていますが、mRNAワクチンに特異的な副作用のひとつとして心筋炎や心膜炎が報告されています。

3回目の追加接種では1回目接種時に比べ心筋炎/心膜炎の発症頻度は高いものの、2回目接種と比べ低くなっています。

厚労省によると、この心筋炎/心膜炎の副作用発症率はそれぞれの年齢でファイザー社ワクチンは100万人あたり0.9~16.4人、モデルナ社ワクチンで100万人あたり1.0~87.6人と報告されており、他の感染症に対するワクチンと比べて特に高いわけではありません。

しかし、これら心筋炎/心膜炎は、中等症以下の発症ではありますが、10代20代の若者の発症率が高い傾向にあり注意が必要です。

また、2回目接種までに心筋炎/心膜炎を発症した人には、3回目接種は推奨されません。

ワクチンの追加接種は、どのような人に必要なのか?

まず、高齢者施設に入所されているような方は基礎疾患を持っており、免疫機能が落ちている可能性が高いです。また、ワクチンで誘導された免疫反応が長く続かないことが報告されており、感染した場合の重症化リスクがあることから、ワクチンの接種が望まれます。

また、年齢とともにCOVID-19に罹った場合の重症化率、入院率や死亡率が高くなることが報告されていることから、50歳以上の方はワクチンを接種しておくべきでしょう。

なお、ワクチンの予防効果の持続期間も年齢とともに短くなる傾向にありますが、重症化の抑制効果は継続的にみられるとする報告が多いです。

高齢者以外では…医療従事者や妊婦、授乳婦が優先順位高い

医療従事者はワクチン効果を保っておく必要があります。また、オミクロン株は感染率が高い可能性が指摘されており、COVID-19患者が急増した場合に医療が崩壊しないためにも医療従事者のリスク対策は重要です。

ワクチン追加接種の臨床試験でも妊婦や授乳婦の方々は除外されており、安全性に関するデータはありません。

しかし、ガイドラインの項目には入っていませんが、妊婦さんや授乳婦さんはCOVID-19の高リスク群であることはパンデミックの初期から指摘されており、追加接種の優先度は高いと考えられます。

優先順位が高くない人もワクチン接種は必要か

新型コロナウィルスのパンデミックでmRNAワクチンは異例の早さで臨床応用され、一定のCOVID-19予防・治療効果を示しています。しかし、全人類にワクチンの需要が益々高まるなか、需要が追いつかないのが現状です。

一部の製薬会社の生産能力に依存していることが要因であることから、今後国産ワクチンの実用化が期待されます。

また、これまでのワクチンでは、ワクチン接種後に抗体価を測定し、効果不十分の場合に追加投与というスケジュールでした。

しかし、新型コロナウィルスではワクチン効果が持続しないため、全例接種となり需要が高くなってしまいます。

現状ではリスクの高い人から優先的に投与するしかありません。ただし、年齢による差はあるものの、ワクチン効果は全年齢で低下していくことが報告されているため、より多くの人が追加接種することが大切だと考えます。

利用可能な手段を「最大限に使う」ことがもっとも重要

北米での例を元に、新型コロナウィルスのワクチン追加接種について説明しました。まとめると以下のようになります。

  • 現時点ではオミクロン株に対する既存のmRNAワクチンの効果は不明。
  • 心筋炎/心膜炎の副作用は2回目接種より高くはならない。
  • 追加接種によりワクチン効果を維持させることができる。
  • 高齢者施設入所中の方、50歳以上の方、医療従事者が優先接種対象と考えられるが、妊婦・授乳婦の方々も高リスクとして考慮されるべき。
  • 供給面から優先順位は必要だが、多くの人が追加接種を受けることが望ましい。

今後もオミクロン株に代わる変異株が出現する可能性があり、引き続きワクチンと治療薬の2本立てでの開発を継続することが重要だと考えます。

そして、「3回目のワクチン接種」は本当に必要か…の答えは「YES」です。現状では利用可能な手段を最大限に使うことが最重要です。

将来的には治療・予防策が今以上に充実し、個々の症例に合わせ治療選択できるようになり、この長いパンデミックの出口がみえることを願います。

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こちらの記事の監修医師

熊本大学ヒトレトロウィルス学共同研究センター

郭悠

熊本大学ヒトレトロウィルス学共同研究センター 臨床レトロウィルス学分野 特任助教
近畿大学医学部卒業、熊本大学大学院 エイズ制圧のためのトランスレーショナル研究者育成コース卒業。初期研修終了後、HIV・膠原病診療に携わり、HIVの抗体研究で医学博士を取得。その後、ワクチン開発を目指したHIV・新型コロナウィルスの中和抗体研究をしながら現在に至る。また、一般内科医として診療にあたり臨床での現状やニーズを意識しながら、臨床応用を目標とした免疫学、ウィルス学研究を心掛けている。「難しいことを難しく言うのは簡単だが、難しいことを簡単に言うのは難しい。」がモットー。

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