最終更新日:2021年12月26日
終わらないウィズ・コロナ…徹底したい「危機管理」の基本

こちらの記事の監修医師
古本 尚樹

新型コロナウイルスのパンデミックからおよそ2年が経とうとする現在。国内では新規感染者数に落ち着きがみられるものの、世界では「オミクロン株」が流行するなど、依然予断を許さない状況が続いています。こうしたなか、医学博士でありながら防災・危機管理アドバイザーとして活動する古本尚樹氏が、まだ終わらないウィズ・コロナ時代に、徹底したい「危機管理」の基本を紹介します。
目次
新型コロナウイルス感染がおよぼす多面的な影響
現在(2021年12月16日)、日本での新型コロナウイルスの感染者数は少なくなっているが、次の第6波への警戒が続いている。海外では感染者が増加している。
また変異株であるオミクロン株の影響が明確でないなかで、デルタ株含め、国内での感染拡大が危惧される。
この新型コロナウイルスは、感染した場合はもちろん、感染しなくても感染対策による独特の生活スタイルや雇用での影響等により、私達の健康に直接的にも間接的にも影響をおよぼしている。
新型コロナウイルスの「直接的な」健康への影響
感染から潜伏期間後、発熱、鼻水、喉の痛み、せきなどの呼吸器症状や、嗅覚異常や味覚異常等が発症。また、肺炎が悪化して酸素投与や人工呼吸管理が必要になることがあり、高齢者や基礎疾患、成人病などがある人、また妊娠後期の人で重症化のリスクがある。
なお、発症後7日間くらいは、他者への感染可能性がある。特に、発症直前や直後がもっともウイルス排出量が多く、感染のリスクが高まることが考えられている。
また、治療や療養が終わっても一部の症状が長引くことがあり、後遺症に苦しむケースもある。
具体的には、肺機能の異常、筋力低下や息苦しさ、疲労感、倦怠感、息苦しさ、睡眠障害、思考力や集中力の低下、脱毛、筋力低下、頭痛、嗅覚味覚障害、嗅覚障害や味覚障害が挙げられる。
おおむねこれらの後遺症は中等症以上の患者にみられる。
新型コロナウイルスの「間接的な」健康への影響
コロナウイルスによる影響で、私達はたびたび行動制限にかかっている。従来とは異なる環境にいるわけだ。
これによりストレス社会にもなっている。運動不足にもなりやすい。ストレスがたまるとストレスホルモンが増えて、血糖値上昇につながるので要注意である。
また、失業者の増大や企業雇用の減少もストレスに拍車をかけている。女性の自殺者の割合が増加している(※)。DV(ドメスティックバイオレンス)のように在宅機会の増加は、在宅での暴力にも関与が疑われる。すなわち間接的に健康への影響が家庭にも多く影響していよう。
※2021年11月2日付日経新聞『働く女性の自殺が増加 21年版白書、コロナ禍も影響』
また、在宅ワークは自宅での単独生活を余儀なくしている。パソコンを利用した作業時間の多さも、結果としてメンタル面への影響が示唆される。パソコンを多く活用する機会が増えるとメンタル面での影響が少なくないという指摘がある。
また、自宅での在宅ワークは、集団社会で仕事をしていたころと比べて人間関係の欠如をうながし、孤立感を生じさせる。基本、間接的な影響はメンタル面から発生することが多いといえよう。
今後も当分ウィズコロナの状態が続くとみられるなか、先行き不透明な状況に加えて、度重なる緊急事態宣言による行動制限、経済活動の停滞、コミュニティの変容など、社会は多くの不安要素を抱えている。
危機管理には「公的な機関」から周辺情報を収集
ストレスのかかる環境が当分続くと見込まれるこの状況では、体調への配慮やストレス発散法の確立など、「自らの健康は自ら守る」という姿勢が重要だ。では、常に正確な情報を享受し、「自らの健康を守る」ためにはどうすればよいか。
それは、これまでの動き、特に国際的な流れを読むことである。自治体等の周辺情報に加えて海外での動向にも注視することで、ある程度対策を取ることが可能となるだろう。
従来から進めている「三密」の回避や、手洗い、またワクチンの接種等に加え、近隣特にアジアやロシア等の感染の兆候をより敏感にキャッチすることが重要だ。
こうした地域で感染拡大や変異株流行等の兆候がある場合、日本にも「波」が来る可能性があることを警戒しておく必要がある。
変異株の特徴で感染力が強い場合が多く、ひとたび海外からこうした変異株が入ってきた場合は、日本での拡大が予想される。
しかし、個人のレベルで慌てる必要はない。重要なのは、従来通りの衛生対策を粛々と継続することである。
また、万が一の感染時に備えて、最寄りの医療機関について自治体の情報をもとに確認しておくことだ。
危機管理で重要な「ワクチン」に関する正しい認識
危機管理面でいえば、このコロナ対策に付随して関連した予防策の中心、すなわちワクチンについての知識もよく把握しておくことが重要だ。すなわち正確な情報についての知識のもと、接種することが重要だ。
コロナウイルス対策の重要なカギを握っているワクチン。国内では今後3回目のブースター接種に向けた動きが加速している。ただし、ワクチンは基本的に罹患を防ぐものではない。重症化を防ぐものだ。
また、ワクチン接種による副作用の報告も出ている。具体的には、接種部の反応(痛み、赤み、腫れ、など)、全身の反応(疲労、頭痛、筋肉痛、など)である。特に、頭痛や発熱、だるさ、痛み、悪寒といった症状が多い。
3回目のワクチン接種では、重症化は少ないという米国での結果がある。しかし、厚生労働省によれば、頻度は稀だが副作用として、胸の痛みや息切れが出るなどの症状が現れる心筋炎の発生が報告されていることもあり、注意が必要である。
多く認められるのは10~20代の男性で、接種後4日程度までの間で起こっているという。そしてワクチン接種後、まれに「アナフィラキシー」という急激で比較的重いアレルギー反応がおこることもある。
日本では、発症したとしても投薬や経過観察で全員回復したと報告されている。アナフィラキシーの多くは接種後15~30分以内に生じる。接種後は会場で最低15分は安静に待機し体の反応に注意すべきである。
こうした知識は、政府(厚生労働省等)や自治体のホームページ等からも入手ができるので、積極的に情報、ただし公的な機関からの正確な情報を、享受することが大切である。
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こちらの記事の監修医師
古本 尚樹
防災・危機管理アドバイザー(博士[医学])
昭和43年5月3日生まれ。北海道在住。北海道大学大学院医学研究科社会医学専攻地域家庭医療学講座プライマリ・ケア医学分野(医療システム学)博士課程修了。博士【医学】
防災・危機管理アドバイザーとして、新型コロナウイルス対策に取り組む傍ら、企業等でのBCP(業務継続計画)や危機管理担当顧問を務めている。
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