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最終更新日:2022年7月20日

「第7波」真夏の新型コロナ感染拡大!どう対応すべきか?【総合診療医が解説】

こちらの記事の監修医師
聖マリアンナ医科大学
片山 皓太

※画像はイメージです/PIXTA

新型コロナの感染拡大が止まらず、全国の感染者数は過去最高を記録しています。原稿執筆現在(2022年7月11日)、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増加しているというニュースをよく耳にするようになりました。「新型コロナ第7波」に対して私たちはどう対応すればよいのか、総合診療医が解説します。

第7波では、どんな変異株が流行するのか?

第7波が到来すれば、オミクロン株の変異株のうち「BA.4」と「BA.5」が流行の中心となると言われています。東京都では「BA.5」の占める割合が6月上旬は0.8%だったのに対して、6月下旬には25.1%となっており、急激に拡がっています1)。

オミクロン株には「BA.1」から「BA.5」の5種類があることが知られています。このうち第6波で流行の中心となったのは「BA.1」と「BA.2」でした。

「BA.4」と「BA.5」の大きな特徴は免疫逃避といわれています。

免疫逃避とは、過去の感染やワクチンによって得られた免疫の効果がなくなることを指します。新型コロナウイルスワクチンの3回接種(2回接種に加えて追加接種)前後で、新型コロナウイルスの武漢株とオミクロン株に対する中和抗体を調べた研究があります2)。中和抗体はワクチン接種で体内に作られる抗体で、新型コロナウイルスのスパイクタンパクに結合してヒト細胞へのウイルスの侵入を防いでくれるものです。

この研究によると3回接種後の中和抗体は、武漢株での抗体産生量を100%とした場合、オミクロン株の「BA.1」と「BA.2」では約14~16%、「BA.4」と「BA.5」では約5%程度しか産生されないとされています。

一方で、「BA.4」や「BA.5」がこれまで流行した新型コロナウイルスの変異株と比較して重症化しやすいという報告はありません。原稿執筆時点での認識としては、第7波で中心となりうる「BA.4」と「BA.5」は感染力が高いものの、重症化率は低いと考えてよいでしょう。

新型コロナウイルスのワクチンは効果があるのか?

ワクチンの3回接種と新型コロナウイルスへの既感染が、「BA.1」及び「BA.2」に対して有症状の新型コロナ感染症の予防になるという海外からの報告があります。この報告では、既感染群、コロナワクチンを2回接種した群、2回接種かつ既感染した群、3回接種群と3回接種かつ既感染した群の5群にわけて、「BA.1」及び「BA.2」への感染予防効果を検討しています。

感染予防効果は、3回接種後に感染した群では70~80%、2回接種かつ既感染した群と3回接種した群では50~60%でしたが、2回接種した群には予防効果がみられませんでした。

なお、重症化の予防効果は全ての群で70%以上でした。このことから、「BA.1」「BA.2」に対して3回接種は一定の感染予防効果と高い重症化予防効果があると言えます。加えて、新型コロナウイルスに感染した人でもワクチン接種が有益であることが示されています。

世界各国のコロナ対策は大きく二つに分かれる

日本の新型コロナウイルスへの対応戦略は感染抑制でした。これは感染者数を抑制し、重症者や死亡者数を一定程度以下に抑制するという戦略です。世界各国の戦略をみてみると大きく二つに分かれます。

ひとつは中国がとった封じ込め戦略。感染者がゼロになるよう徹底的に都市封鎖などの感染対策をとっています。もうひとつはスウェーデンがとった被害抑制です。これは強力な感染対策は設けず感染者数の増加は許容し、重症者への対応に重点を置いた政策でした。日本は、被害抑制よりも封じ込めに近い立場でこれまで微調整を続けてきました。

一方で、新型コロナウイルス感染症の流行が始まって2年半が経ち、私たちも疲弊しています。経済も停滞しており、今後、長期的には行動制限を緩和していかざる得ない状況です。これからは、微調整から重症者への対応に軸足を移す時期なのでしょう。しかし、感染者が増えれば、重症者と死亡者数が増えてしまいます。私たちは、高齢者や免疫抑制状態の方など重症化リスクの高い方を守りながら、新型コロナウイルスとうまく付き合っていく必要があります。

ワクチン3回接種と基本的な感染対策が重要

私たちが個人レベルでできることは、これまでと同様、ワクチン接種と感染対策です。オミクロン株に対するワクチンの効果は減弱しているとはいえ、重症化を防ぐ効果はワクチンの3回接種で期待できます。これは今後の流行の中心となるであろう「BA.4」や「BA.5」にも当てはまるでしょう。

また、ワクチンの3回目接種の副反応は、概ね2回目接種と同じといわれています。一方で、ワクチン接種だけでは「BA.4」と「BA.5」の流行を止めることはできません。ワクチンの3回接種に加えて「マスクの着用」や「手洗い」「3密(密接・密集・密閉)の回避」「換気」など、新型コロナウイルス感染症の流行当初からの2年半で身に着けた基本的な感染対策を続けましょう。

ワクチンを3回接種して、感染対策もしていたのに感染してしまったら、それは「たまたま運が悪かった」のです。自分を責めず、他人を気遣うことができれば、差別のない居心地のよいやさしい社会になるはずです。

読者の皆様も、ワクチンの3回接種と感染対策へのご協力をお願いします。

●参考文献:
1) 東京都. (第91回)東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和4年6月30日). https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1021348/1021799.html, (最終閲覧2022年7月11日)
2) Hachmann NP, Miller J, Collier A-rY, Ventura JD, Yu J, Rowe M, et al. Neutralization Escape by SARS-CoV-2 Omicron Subvariants BA.2.12.1, BA.4, and BA.5. N Engl J Med. 2022;387(1):86-8.
3) Altarawneh HN, Chemaitelly H, Ayoub HH, Tang P, Hasan MR, Yassine HM, et al. Effects of Previous Infection and Vaccination on Symptomatic Omicron Infections. N Engl J Med. 2022;387(1):21-34.

こちらの記事の監修医師

聖マリアンナ医科大学

片山 皓太

聖マリアンナ医科大学 内科学 総合診療内科 助教