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最終更新日:2022年11月6日

花粉症がきっかけで果物アレルギーに?花粉症が誘発するリスクと症状を解説

こちらの記事の監修医師
アルバアレルギークリニック
続木 康伸(つづき・やすのぶ)

(画像=stock adobe.com)

花粉症が原因となって、果物アレルギーや野菜アレルギーが引き起こされることがあります。これは花粉・食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)と呼ばれており、近年増加しています。国や地域の植生や食文化などによって異なるリスクや、食べられなくなる食物の種類、注意すべき症状などについて解説します。

花粉症と果物アレルギー・野菜アレルギーの関係

果物アレルギーや野菜アレルギーは、花粉症が引き金となって発症するケースが多くあります。単純な表現でその仕組みを説明すると、

花粉のアレルギー成分:A、B、C、D
果物のアレルギー成分:C、D、E、F

このように、花粉と果物・野菜が持っているアレルギーを起こす成分が一部同じ構造をしているため、花粉症を患っている人の体は、同じ成分を持つ果物・野菜をアレルギー物質だと認識してしまうことがあります。これが、花粉症から果物アレルギーや野菜アレルギーが引き起こされる仕組みで、花粉・食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome:PFAS)と呼ばれています。

地域によっても異なる花粉症と果物アレルギーのリスク

花粉症の原因植物は、国はもとより地域でも大きく異なります。地域によって、飛散する花粉の種類が異なるからです。私のクリニックがある北海道では、花粉症の主な原因はシラカバです。次いでイネ科、ヨモギの花粉症が続き、近年は5~6月に飛ぶブナ・コナラの花粉症が急激に増加している印象があります。

一方で、北海道以外の地域ではスギやヒノキの花粉症が中心です。

花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)の原因となる花粉は、シラカバが圧倒的です。シラカバ花粉症の患者の約30~50%が、花粉・食物アレルギー症候群を発症すると報告されています。次いでハンノキが約30%、ヨモギが約40%、イネ科が約20%、スギが10%と続きます。

シラカバは北海道に数多く生息し、東北の一部、中部地方にも生息しています。北海道では、シラカバ花粉症が原因で花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)を引き起こし、リンゴや桃などの果物アレルギーになる患者数が多いということになります。一方で、東京や大阪などのスギやヒノキの花粉症が中心の地域では、その患者数は少なくなります。

世界的な花粉症患者の増加とともに、果物アレルギーも増加している

花粉症は世界中で年々増えています。日本も例外ではありません。

地球温暖化により、ヨーロッパではブタクサが、日本ではイネ科、キク科の花粉が増加しています。特にイネ科はまだ患者数が少ないものの、重症化する傾向にある印象です。

今後はますますイネ科、キク科花粉に関連した果物・野菜アレルギーが増えてくると私は思っています。

シラカバ花粉症による果物アレルギー患者の北海道の状況

このような現状は、私のクリニックが北海道にあることにも由来しています。

北海道の花粉症は東京や大阪のスギ花粉症と違い、その年によって200倍も花粉の飛散量に差があります。多くの人は、風が強い日など、たまにしか眼や鼻のかゆみが出ません。自分が花粉症であることに気が付きにくいのです。果物アレルギーや野菜アレルギーが引き起こされるまでになって初めて、「言われてみれば、毎年この時期に目や鼻が……」と自覚を持つ方がほとんどです。

このため、スギに比べてシラカバ花粉症の発症年齢は結果的に高くなります。

数年前までは、私の患者さんで花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)を起こす方の平均年齢は、小児で11歳、成人が37歳でした。印象としては、早ければ5歳で、概ね小学校高学年~17歳くらいまでに、果物アレルギーや野菜アレルギーが引き起こされています。年齢の高さの上限はなく、90歳代でなってしまう方もいます。しかし、発症年齢は低下傾向にあると感じています。

花粉症から引き起こされやすい果物アレルギーの種類

すべての果物・野菜がアレルギーの原因になります。しかし、シラカバに関連したバラ科の果物の割合は特に高く、50%を占めます。野菜は花粉症が原因で引き起こされる割合が30%程度と低く、比較的珍しい部類に入ります。代表的なものを紹介します。

〈花粉症と関連して起こりやすい果物アレルギー〉

バラ科・・・リンゴ、モモ、ナシ、サクランボ、プラム、ウメ、イチゴなど
イネ科・・・メロン(野菜)、スイカ(野菜)、ブドウ、カキ、ライチ

ウメやイチゴの果物アレルギーは珍しいですが、イチゴは近年増えている印象です。
バラ科以外の果物では頻度は少なくなりますが、イネ科の花粉症と関連して起こりやすいアレルギーもあります。

〈野菜など他の食品のアレルギー〉

代表例・・・大豆
ほか野菜・・・レタス、サツマイモ、ニンジン、セロリ、ズッキーニ、ナス、ニンニク
スパイス・・・クミン、コリアンダー

野菜であれば、圧倒的に多いのは大豆です。しかし、あまり一般になじみのないアレルギーもあります。スパイスで多いのはクミンやコリアンダーです。居住国や地域で、果物アレルギーや野菜アレルギーを起こしやすい食べ物も大きく異なるという点に注意が必要です。

人ごとに異なる果物アレルギーの症状。国や環境にも左右される

ほとんどの果物アレルギー、野菜アレルギーが「口の中がかゆい」程度で済む一方で、果物や野菜の種類、個人の重症度や環境によっては、その限りではありません。

例えば、フランスに居住している私の妹は、花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)のために、フランスでは食べられる野菜が限られています。果物はさほどでもありませんが、ルッコラやポロネギで強い腹痛を繰り返します。

このような軽度で済まない例は、リンゴ、モモ、ナシのようなポピュラーな果物アレルギーも同様で、当然アナフィラキシーを起こすリスクはあります。「ナシのアレルギーで気管支喘息の大発作を起こし、救急搬送される」などの事態も起こり得ます。

通説は通らない!アレルギーの症状と原因はケースバイケース

しかし、どちらかといえば、皆さんが聞いたことのない野菜アレルギーの方がひどくなる傾向があります。

ニンジンやセリによる鼻出血、ニンニクでの喘息発作、クミン・コリアンダーも高い頻度でアナフィラキシーを起こすなど、いろいろと例が挙げられます。キャベツで全身に蕁麻疹が出たり、サツマイモで痙攣したりすることもあります。

また、通説となっている「果物アレルギーや野菜アレルギーがあっても、加熱すれば食べられる」というのは、あくまでも「多くの人がそうである」というだけに過ぎません。

アレルギー成分は、加熱してもゼロにはならないと考えます。リンゴやモモを加熱しても、食べられない人は食べられません。また、大豆やネギ、ジャガイモアレルギーでは、アレルギー成分は加熱しても変化しないため、全く食べられません。

次回は、このような花粉症由来の食物アレルギーの症状や、アナフィラキシーのリスクについて解説します。

参考文献

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・ Ferna´ndez-Rivas M, Benito C, Gonza´ lez-Mancebo E, et.al :Allergies to fruits and vegetables. Pediatr Allergy Immunol 2008; 19, P675–681.
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・杉山剛、斎藤圭一、齋藤翔:日小ア誌 2012; 26: 251-257
・H. Teranishi, etal. Aerobiologia (2006) 22:91–95.
・佐藤広行、他. 日本花粉学会会誌. 64(1); 1-5, 2018.
・本田耕平.アレルギー・免疫 24(3):14-19, 2017.
・武内伸治.道衛研所報 63: 9-13, 2013.

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こちらの記事の監修医師

アルバアレルギークリニック

続木 康伸(つづき・やすのぶ)

岩手医科大学歯学部卒業後に、岩手医科大学医学部卒業
札幌徳洲会病院アレルギー科医長、北海道教育庁健康保健体育局アレルギー疾患教育担当などを歴任
2017年に札幌徳洲会病院アレルギー科医長に就任
2020年にアルバアレルギークリニックを開院

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