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最終更新日:2021年8月31日

【簡単解説】尿酸値とは?健康診断で「尿酸値が高い」と言われる前に

こちらの記事の監修医師
榊原記念病院
木村 眞樹子

年に一回の健康診断の血液検査で「尿酸値」について指摘を受けた、という方もいるのではないでしょうか。今まで気にしたことはなかった、そもそも尿酸値ってなに?という方に、今回は「尿酸値とは?」を簡単に、わかりやすく解説しています。正しい尿酸値の知識を身につけて、その先にある痛風や生活習慣病といった病気を回避しましょう。

尿酸値とは?

尿酸値とは、血液中に含まれる尿酸の濃度のことです。尿酸値は「高尿酸血症」の診断基準のひとつとなるため、健康診断では尿酸値についての項目があります。

尿酸は、肝臓でプリン体を分解したときに作られる物質のことです。体内にあるプリン体の85%〜90%は細胞の代謝や増殖などのサポートや、筋肉や脳を動かすエネルギーになります。残り10%〜15%はプリン体を含む食べ物を食べることで体内に摂取されます。

体内で作られた尿酸の約80%は腎臓でろ過され、尿に溶け出し、体外に排出します。残り20%は便や汗などとともに排出されます。そのため体内の尿酸値は一定に保たれます。

尿酸値の基準値は7.0mg/dL

通常、体内では尿酸が作られる量と排出される量のバランスが取れているため尿酸値は一定で基準範囲内におさまっています。

 男性女性
基準範囲3.4〜7.0mg/dL2.4〜7.0mg/dL

しかし、尿酸が作られる量と排出される量のバランスが崩れると、尿酸が血液中に溶けきれる量7.0mg/dLの限界を超え、高尿酸血症と診断されます。

尿酸値が高くなる4つの原因

食べ過ぎ・飲み過ぎによって肥満傾向がある

尿酸値が高い人には肥満傾向が見られます。内臓脂肪が増えると尿酸を作り出す量が増えるからです。糖質を過剰に摂取すると脂肪として蓄積されやすく肥満の原因になります。

また、大食いはしないけれど炭酸飲料やソフトドリンクをよく飲む人も要注意です。炭酸飲料やソフトドリンクに含まれる果糖は、中性脂肪に変わりやすく体内で尿酸値を上昇させる働きがあるからです。

プリン体を多く含む食品を食べ過ぎる

偏食や食生活の乱れによって、プリン体を多く含む食品を食べ過ぎると体内の尿酸値が上昇します。

<プリン体を多く含む食べ物>

  • 牛レバー、鶏レバーなどの内臓類
  • たらこ、白子、数の子などの魚卵
  • イワシ・サンマ・アジなどの干物

プリン体の摂取量は「1日400mg以内」が推奨されています。バランスの良い食事を心がけて、プリン体を多く含む食品を食べすぎないように注意が必要です。

尿酸値を上げる薬がある

食事によって尿酸値が上がることを知っている人は多いかもしれません。しかし、服用している薬の中にも尿酸値を上昇させるものがあります。

以下は尿酸値を上げる薬の一例です。

  • サイアザイド系降圧利尿薬(フルイトランなど)
  • ループ利尿薬(ラシックスなど)
  • 喘息の治療薬のテオフィリン(テオドールなど)
  • 結核治療薬のピラジナマイド(ピラジナミドなど)
  • 少量のアスピリン(小児用バファリンなど)

公益財団法人「痛風・尿酸財団」より】

もし、健康診断で尿酸値が高いと診断を受けたら、服用中の薬が尿酸値を上げるものではないか医師に確認しましょう。

遺伝的に尿酸値が高くなりやすい体質

両親や祖父母など近い血縁者に尿酸値が高い人がいる場合、本人の尿酸値が高くなる傾向があります。遺伝的に尿酸値が高くなりやすい人は、尿や便、汗などから排出されにくい(体内にたまりやすい)体質です。

健康診断で「尿酸値が低い」と問題はないの?

女性は男性に比べると女性ホルモンの影響で尿酸値が低いのです。また、妊娠初期にも尿酸値が減少する傾向があります。しかし、閉経後には尿酸値が上がることがわかっています。

今まで尿酸値が低いことには問題がないとされてきましたが極端に尿酸値が低いときは「腎性低尿酸血症」という病気があることがわかってきました。

極端に低い場合は「腎性低尿酸血症」を可能性がある

腎性低尿酸血症は、遺伝的に尿酸を運搬するタンパク質の遺伝子に変異があり、体内で尿酸を再吸収できず、尿から排出される尿酸の量が増えるため、血中に尿酸をためておけません。

腎性低尿酸血症の特徴は、

  • 日本人に多く、有病率は男性0.2%、女性0.4%と珍しい病気である
  • 血中の尿酸値が2.0mg/dL以下のとき腎性低尿酸血症の疑いがある
  • 自覚症状はないが、人により尿路結石や運動後の急性腎障害の合併症がある

自覚症状がない場合は治療の必要はありません。しかし、合併症として尿路結石を起こすことがあるため水分を多く摂取して予防を心がけましょう。

また、激しい運動をしたあとに背中や腰が痛くなるようでしたら急性腎障害の可能性があります。急性腎障害を防ぐ薬を服用すれば痛みもおさまるので医療機関を受診してください。

腎性低尿酸血症は、症状に対して適切な処置を施して、うまく病気と付き合っていくことが大切です。

健康診断で「尿酸値が高い」と診断されたら痛風に要注意!

尿酸値が高い状態(=基準値7.0mg/dL)を高尿酸血症と呼び、痛風予備軍です。高尿酸血症が自体には自覚症状はありませんが高尿酸血症が続くと体内で尿酸が結晶化しやすく、激痛を伴う痛風発作を引き起こします。

痛風はどんな病気? 症状や診断について

痛風は読んで字のごとく「風が吹いても痛い」と呼ばれる症状が特徴です。尿酸値が高く、尿酸が結晶化してできたコブ(=結節)、患部の腫れ・赤みなどが見られると痛風として診断されます。

痛風発作が起こる部位の約70%が足の親指の付け根であり、それ以外には足関節、足の甲、くるぶし、アキレス腱周辺、膝の関節など下半身に集中しています。

一度、痛みが出ると時間がたつにつれて痛みが増し、発症して24時間が痛みのピークです。そこから数日、遅くとも2週間以内ほどで痛みはおさまります。しかし、関節内にたまった尿酸が消えたわけではないので、そのまま放置すると痛風発作は再発します。

痛風が長引くと生活習慣病のリスクも高まる

「のど元過ぎれば熱さを忘れる」そんな諺(ことわざ)がありますが痛風発作はまさに同じで、気がつくと痛みがなくなっているため症状を軽視しがちです。しかし、痛みがなくなった後でも体内に尿酸がたまり続けています。

痛風を放置すると、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を発症するリスクが高まります。生活習慣病の原因と高尿酸血症の原因には共通点が多いからです。

そして、生活習慣病を放置すると動脈硬化を起こしやすく、

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • 狭心症
  • 心筋梗塞

などの深刻な病気に発展するリスクがあります。

つまり、尿酸値が高いことは生活習慣病のリスクを知らせるシグナルです。日々の生活から尿酸値を下げることを心がければ尿酸値をコントロールすることができ、痛風発作の予防、生活習慣病リスクの回避ができます。

尿酸値を下げるためには生活習慣を見直そう

尿酸値を下げるためには生活習慣を見直すことから始めましょう。尿酸値を下げる薬を飲めば、すぐに尿酸値が下がりますが薬を飲むのをやめてしまえば、すぐに上がってしまいます。

私たちの体内では、常に尿酸が作り続けられているため、薬を服用して尿酸値を下げるだけでは根本的な解決にはなりません。

バランスの良い食事を心がける

尿酸値が高いと「プリン体を多く含む食品は食べてはいけない」と思っていませんか?尿酸のもととなるプリン体を食品から摂取する量は全体の10〜15%ほどであり、それほど高くはないのです。プリン体はほとんどの食品に含まれているため、極端にプリン体を避けた食事は栄養バランスを悪くします。

例えば、タンパク質は肉だけではなく魚や豆類から摂取したり、野菜を食べる量を増やしたりしてバランスの良い食事を心がけましょう。

特に野菜に含まれるビタミンCは尿酸の排出を助ける働きがあるとされています。1日に摂取したい野菜の目安量は「350g以上」です。しかし、男性で約50g、女性で約70gの野菜が不足しています。

栄養バランスを見直し、尿酸値が上がりにくい食事を意識してみてくださいね。

厚生労働省<健康日本21>より *厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査報告」より

お酒は休肝日を設けて適量を飲む

アルコールを摂取すると肝臓で尿酸がたくさん作られます。また、アルコールを分解すると乳酸が増えて腎臓が尿酸を排泄する働きを邪魔します。そのため、尿酸を下げるためには禁酒が一番効果的です。しかし、禁酒することによってストレスが溜まったり、暴食したり、お菓子を食べすぎたりしては逆効果になってしまいます。

お酒ごとに適量を守り、週2日は休肝日を設ければアルコールは摂取してもOK。

  • 焼酎のお湯割りコップ1杯
  • 日本酒1合
  • ビール中瓶1本
  • ワイングラス2杯
  • ウイスキーダブル1杯

尿酸を下げるためには禁酒が理想的ですが、お酒を楽しみに日々を頑張っている人が多いはずです。今までのお酒の飲み方を見直し、うまくアルコールと付き合っていきましょう。

適度に運動をする

高尿酸血症や痛風の人は肥満傾向が高いため、適度な運動を習慣にして肥満の予防と対策をおこないましょう。

皮下脂肪が蓄積すると尿酸の排泄量は低下します。内臓脂肪が蓄積すると体内で作られる尿酸は増加します。体内で尿酸はどんどん作られるのに、体外に排出できない悪循環に陥ります。

尿酸値を下げるためには「有酸素運動」を取り入れてみてください。1日30分以上のウォーキングがおすすめです。これまで運動習慣がなかった人でも始めやすく、続けやすいからです。

「1日30分以上」は続けて30分ではなくてOKです。朝昼晩に10分ずつでもかまいませんし、仕事の行き帰りに15分ずつでもかまいません。日常生活の中で、こまめに歩く習慣を身につけると自然と30分以上のウォーキングになっています。

水を+1.2リットル飲む

尿酸を体外にうまく排出するには水分をしっかりと摂取しましょう。尿の量が増えれば尿酸を体外へ排出する量が増えるからです。

体内の水分は尿や便、汗や呼吸などにより1日約2.5リットルが排出されています。

私たちは1日3食の食事から約1リットル、食べ物を分解するときに生じる水分(=代謝水)から0.3リットルの水分を摂取しています。残り1.2リットルの水分を摂取する必要があります。

水分を補給するときは「一度ではなくこまめに」がポイントです。コップ1杯の水を「起床時や就寝時」「食事時」「入浴の前後」などに分けて飲むようにしましょう。

まとめ

尿酸値は血液中に含まれる尿酸の濃度のことであり、体内では常に一定の尿酸値をキープしています。しかし、体内で尿酸を作る量と体外へ尿酸を出す量のバランスが崩れたとき尿酸値が基準値から大きく変化します。

尿酸値が高い場合は高尿酸血症から痛風へ。尿酸値低い場合は腎性低尿酸血症。いずれにせよ尿酸値は、私たちの健康状態を知る上で欠かせない数値です。生活習慣を見直し、常に正常な数値になるように心がけましょう。

   

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こちらの記事の監修医師

榊原記念病院

木村 眞樹子

"〇病院名 :東京女子医科大学病院
〇医師  :木村 眞樹子
〇アクセス:東京都 新宿区 河田町 8-1
〇診療科 :内科、循環器科、睡眠科
〇経歴:
東京女子医科大学医学部卒業
東京女子医科大学病院循環器内科入局
東京女子医科大学病院
KDDIビルクリニック
榊原記念病院(内科、循環器科、睡眠科)

【認定医資格】
内科専門医
循環器専門医
睡眠専門医
産業医

妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学の大切さを改めて感じるようになる。
医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/
https://www.facebook.com/makiko.k.kobayashi"

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