最終更新日:2021年12月22日
パーキンソン病とは?主な症状から治療法まで解説

こちらの記事の監修医師
医療法人新成医会 総合リハビリテーションセンター みどり病院
矢島 隆二

パーキンソン病は、脳の神経細胞内にレビー小体と呼ばれる構造物が見られることが本質と考えられています。この変化に加えて神経細胞の脱落がみられ、その結果として神経伝達物質の1つであるドーパミンが減少することによって発症し、手足の振るえや筋肉のこわばりなどの症状を呈します。この記事では、パーキンソン病の原因や具体的な症状、発症した際の治療方法などについて解説します。自分自身やご家族がパーキンソン病になる可能性もあるため、参考になれば幸いです。
パーキンソン病の原因

パーキンソン病は、神経細胞が何らかの原因で脱落していった結果、神経伝達物質の1つである「ドーパミン」が不足することによって発症します。
ドーパミンが減ることで、体を滑らかに動かすための指令をうまく伝えられなくなるため、上手に運動ができなくなってしまいます。
しかし、なぜレビー小体が生じて神経細胞が脱落してしまうのか、その原因は明らかになっていません。ただし、パーキンソン病の発症に影響を及ぼすことが明らかになっていることもいくつかあるので、ご紹介します。
薬
一部の薬剤で、一見パーキンソン病のようにみえる症状を呈することがありますが、これはパーキンソン病ではなく、薬剤性パーキンソン症候群と呼ばれるものです。薬の影響によってドーパミンの作用が弱まることで引き起こされます。薬剤性パーキンソン症候群を生じうる薬としては、各種抗精神病薬、制吐剤・胃薬・抗うつ薬などの一部が挙げられます。
パーキンソン病と薬剤性パーキンソン症候群は別の病態ですが、パーキンソン病の方がこれらの薬を服用すると、パーキンソン病の症状が悪化する可能性もあるため、薬を服用する際は医者や薬剤師とよく相談することが大切です。
遺伝子
単一の遺伝子変異によってパーキンソン病を発症することがあり、家族性パーキンソン病とよばれています。パーキンソン病全体の約5-10%程度が家族性という報告もありますが、国や地域によって差も大きく、母集団によって一概には言えません。そのほか、パーキンソン病に”なりやすい”という程度の遺伝要因を含めれば、より多くのパーキンソン病の方に、遺伝的要因が関わっていると想定されています。
パーキンソン病が原因で出る症状

パーキンソン病になると、さまざまな症状が見られるようになります。ここでは、代表的な症状について解説します。
振戦:手足が振るえる
パーキンソン病の代表的な症状と言えるのが手足の振るえです。座っている時やじっとしている時など、典型的には体を動かしていない時に目立つことが多いです。
筋強剛:筋肉がこわばる
パーキンソン病になると、筋肉がこわばるため、体を動かしにくくなります。この、こわばりのことを専門的には「筋強剛」と呼びます。自分の思った通りに体が動かず、ストレスが溜まったり、辛い思いをしたりすることもあるでしょう。
寡動:動きが鈍くなる
筋肉のこわばりとともに、素早い動作や細かい動作をすることも難しくなります。さらに最初の一歩の踏み出しが難しくなる「すくみ足」が起こることもあります。一度にたくさんの動作をしようとしても、なかなかうまくできないため、一つずつこなしていくことが大切です。
姿勢反射障害:転びやすくなる
パーキンソン病の病態が進行していくと、転びやすくなってきます。例えば、立っている際に軽く押されるだけでバランスが崩れて転んでしまうことも少なくありません。このバランスの取りにくさは、病態が進行してから出てくる症状であり、発症から数年以上経過してから見られるようになることが多いです。
その他の症状
ここまで紹介した主な症状以外にも、パーキンソン病によって引き起こされる症状にはさまざまなものがあります。具体例を以下の表にまとめました。

日常生活にも影響する可能性のある症状であるため、少しでも体の調子がおかしいと感じたら病院で診察してもらうことをおすすめします。
パーキンソン病の診断を受けるには

パーキンソン病かもしれないと感じた場合は、脳神経内科を受診してください。病院では、主に問診や神経学的診察、頭部画像検査、血液検査などが行われ、必要に応じて核医学検査がなされることもあります。臨床症候と検査結果を踏まえたうえで、パーキンソン病の診断基準をもとに、パーキンソン病かどうかを判断されます。一見パーキンソン病のように見える神経疾患はほかにも数多くある為、専門医による鑑別を受けることが大切です。
パーキンソン病の治療

パーキンソン病と診断された場合、基本的には薬を使った治療が行われます。冒頭でも説明しているように、パーキンソン病の症状はドーパミンが減少することで引き起こされます。薬を使用することで、この少なくなったドーパミンを補充したり、ドーパミンの作用を促進したりすることが基本です。パーキンソン病の症状に応じて、さまざまな薬の服用を通して、症状の改善を目指します。
服用する薬で気になることがあれば、医者や薬剤師に相談してみましょう。
また、病状や希望によっては、機械を用いたデバイス補助療法が行われるケースもあります。また、治療と同時にリハビリテーションを行い、できるだけ体を動かすようにすることも大切です。パーキンソン病は体が動かしにくくなっていく病気であり、症状が進行して体を動かしにくくなると、活動的ではなくなってさらに症状が悪化する可能性もあります。そのため、パーキンソン病と診断されたら、早い段階から運動に取り組む習慣をつけるとよいでしょう。
まとめ

今回は、パーキンソン病の原因や具体的な症状、治療方法などについて解説しました。パーキンソン病は神経細胞が脱落することが病態の本質と考えられていますが、なぜ神経細胞が減るのか、明らかになっていないことはまだまだ多いのが現状です。パーキンソン病は、手足の振るえや筋肉のこわばりなどが起こるため、体が動かしにくくなります。そのため、薬物治療を行いながらリハビリテーションにも取り組み、運動習慣を身につけるようにすることが大切です。
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こちらの記事の監修医師
医療法人新成医会 総合リハビリテーションセンター みどり病院
矢島 隆二
〇病院名 :矢島 隆二
〇医師 :医療法人新成医会 総合リハビリテーションセンター みどり病院
〇アクセス:新潟県新潟市中央区神道寺2丁目5−1
〇診療科 :脳神経内科・認知症・総合内科
《経歴》
新潟大学医学部卒業後、地域中核病院や大学病院などでの高度急性期医療から地域の総合病院まで幅広く臨床経験を積み重ね、新潟大学附属脳研究所で認知症の研究も行い、医学博士も取得している。現在は認知症や神経難病を中心に、リハビリテーションにも重点をおいた神経内科を主体とした医療を担っている。神経難病やアルツハイマー病などの治験も行っているほか、講演や執筆の依頼も積極的に受けている。
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