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最終更新日:2022年1月29日

「仕事が多すぎてこなせない状況」から抜け出す方法(前編)

こちらの記事の監修医師
 
大澤 弘子

「仕事が多すぎてこなせない状況」から抜け出す方法(前編)

(画像=Adobe stock)

「仕事が多すぎてこなせない!」という状況から抜け出すにはどうしたら良いのでしょうか?また、そもそもなぜそういう状況に陥ってしまうのでしょうか?人材育成を行う日テレHRの大澤弘子さんと一緒に考えてみましょう。

目次

  1. 仕事が多すぎて捌(さば)けなくなる理由
    1. (1) 仕事はできる人に集まる
    2. (2) 業務が人にくっついている会社が多い
    3. (3) 人員を増やしにくい日本企業
  2. 仕事が多くなりすぎる人の特徴
    1. (1)できる人
    2. (2)人と協働するのが下手な人
  3. 協働力のある人、ない人の違い
    1. (1)まちがった責任感
    2. (2)強すぎる承認欲求
    3. (3)自己満足欲求

仕事が多すぎて捌(さば)けなくなる理由

まずは、本人の意識や行動の傾向は一旦、脇において、特定の人に仕事が集中してしまう原因について考えてみましょう。主に3つの原因があると思われます。

(1) 仕事はできる人に集まる

大企業でも中小企業でも、NPOやボランティア活動でも、また学校の部活動や生徒会の活動でも、組織として人が何かのタスクに向かうとき、仕事は必ず「できる人」に集まる法則があります。

自然に行っていると、まるで組織に意思があるように、仕事は不思議と特定の人に吸い寄せられていきます。「2:8の法則」(パレートの法則)で説明されることも多いですね。

効率よく問題なく結果を出すために、「最適解」として判断を積み重ねた結果、その業務やタスクを完遂できそうな人に集まるのです。その結果、組織の中で仕事ができる人は一層、経験をつむことができ、得意なことに磨きがかかりより優秀になっていきます。一方で、やらない人はずっとできないままということが起こるのです。実際に業務を遂行する機会の量も、人の成長を左右する大きなファクターの一つです。

(2) 業務が人にくっついている会社が多い

日本の社会はまだまだ「ジョブ型」ではなく動いています。例えば明日までに「役員会に提出する資料をつくる」と言っても、企業によって暗黙知を含めたお作法や必要な準備がそれぞれに存在します。役員会に提出する資料となると、求められる精度や必要条件もあるでしょう。その辺りが、明文化されていない会社がほとんどです。つまり、経験がある人、過去にできた実績がある人しかできない仕組みになってしまっているのです。

それを超えて、必要要件を言語化し、誰にでもわかるようにしないと「ジョブ型」に変えていくことは難しい。そしてその作業には少なくないパワーが必要です。誰もそこに労力を向けておらず、結果、業務は「明文化されていない」要件(=ここが大事だったりすることも多い)をそのままに、Aさんができる、Aさんならやったことがあるから頼もう、というように、業務が人に紐づいてしまう傾向が強いのです。また、このことが、できる人に仕事が集中することに拍車をかけます。

(3) 人員を増やしにくい日本企業

では、できる人を育てよう、できる人を市場から連れてきて投入しよう!という選択肢があるわけですが、終身雇用が定着している日本においては、人を採用するのは極めて重要な経営判断です。一度、雇ったら従業員が保護される法や制度もたくさんあるために、経営者の立場になると、簡単に人を雇用するわけにはいきません。従業員=大きな固定費ということですね。

経営の柔軟性を維持するために、また市場環境が激しく変化するVUCAの時代においては、一層、雇用に対して腰が重くなります。

仕事が多くなりすぎる人の特徴

ここで少し視点を変えてみましょう。仕事が集中してしまう「人」に焦点を当ててみます。仕事が集中して、さばききれなくなる人には、一定の共通点があるように思います。

(1)できる人

とても仕事ができるには仕事が集まります。何らかの業務が発生したときに、即座に「ゴールはどこなのか」「そのために必要な作業は何か」と考え、ゴールへ向けて必要なアクションを細分化する力がある人です。また、同時に一つひとつのアクションに必要な時間を正確に予測する。そして、何をどの時間に行うのかを決めて、予定表に具体的にはめ込んでいきます。

この一連の分解から構築の作業が、瞬時に自動的にできる人が社内や組織で「できる」人と言われていることが多いです。必要なアクションを実行するための知識やスキルも持っている人。よって、周囲の人から頼りにされることが多く、おのずと仕事が集まってきてしまうわけです。

(2)人と協働するのが下手な人

この優秀な人をもう少し掘り下げてみます。どれだけ優秀な人材と言っても限界はあります。生身の人間なので、休息も必要です。1日は24時間であることは万人に平等。

毎日のパフォーマンスを大車輪で行うためには、心身の健康を維持していくための最低必要時間があります。食事、休息、睡眠などですね。つまり、これ以上はもう捌けないという「限界」が必ずあるということです。そこを超えて、大量の仕事を行っていくためには、別の能力が必要になります。

この「別の能力」が不足していたり、何かに邪魔されて発揮できなかったりする時、できる人が容量オーバーで潰れてしまう=「さばき切れない」悲劇が起こります。これを避けるために必須の力があります。それは「協働力」です。

協働力のある人、ない人の違い

協働とは、読んで字のごとく、協力して働くこと。つまり、一人のスーパーハイスペックの人が頑張るのではなく、複数の人が協力してゴールに向かう働き方です。

自分の仕事が多すぎてさばき切れない、これ以上がんばったらカラダが潰れる!と感じたときは、この協働力を磨いて駆使することでしか乗り越えられません。仕事が「できる」人の中には2種類あります。この「協働力」を持っている人と、持っていない人です。持っていない人は、一定のレベルまでは組織の中心となって活躍することができますが、短期間で限界に達してしまいます。

では「協働力」を伸ばすにはどうしたら良いのでしょうか。自分は「協働力」があるのかどうか分かりますか?今はないと感じている人も、ひょっとしたらもっと発揮できるはずの「協働力」が発揮できていない理由があるかもしれません。

もともと、人間は社会を作って共同体で生きる特性があります。協働した方が生き抜けると私たちの祖先は知っており、その協働の方法を模索し続けてきた歴史があります。わたしたち一人一人の中に、協働力の力は引き継がれているはず。発揮できていないとしたら、何が邪魔をしているのでしょうか。

協働力をジャマするものについてまとめてみました。

(1)まちがった責任感

組織で仕事をするときは「担務」が整理されていますよね。この案件はどの部署が担当するのか?部署内でも担務が決まっていて、契約に関しては誰が背負うか?新規案件については誰がやるかという具合です。

自分が背負っている(担当している)案件について「一人で最初から最後までやり遂げなくてはならない」と思いすぎると協働力が発揮しづらくなります。

担当した業務は、完遂することはもちろんですが、同じくらい重要なことが抜けています。それは、最速で最大の成果が出るようにすることです。スピードも価値。担当者はまさに「最速で最大の結果を出す」ための責任者が自分だという認識をした方が良いと思います。

これは、一人で最初から最後までやらなくてはならないということとは少しちがいます。一人で「最速で最大の成果」が出せる場合は、それがベスト。周囲も助かるでしょう。でも、「どうにも回らない」「ちょっと遅れが出てしまうかも」という危機を感じたら、案件の責任者として、周囲にヘルプを出すこと、部分的にサポートしてもらう形で、自ら周囲にオファーすることが重要です。

風邪をひいてどうにもベッドから起き上がれないときは、社会人としての責任ある姿はどのようなものでしょうか?担当業務が滞らないように周囲に「サポートしやすい形で助けを頼む」ことですよね。これと同じです。

「僕がやる!と言ったのだから、最後まで僕がやる!」というのは、周囲の幸福に繋がっていないこともあります。また横からサポートしようと手を出してきた同僚に対して「任せておけないと思われた、悔しい」と感じるのはもったいないです。

(2)強すぎる承認欲求

「さばけない」「もう無理だ」という声を上げることが、「仕事のできない人」「仕事が遅い人」の証左だと考えている人がいます。こう考えていると、困った時、遅れが出そうな時も、恐怖によって協働を呼びかけることを躊躇してしまい、成果が阻害されることがあります。

「できる人」「頼りになる人」という承認を得たい、その気持ちが強くなりすぎていないでしょうか?もちろん、承認欲求は悪いものではありません。自分のお尻を叩いて奮起するエネルギー源になりますし、認められて自信に繋がることもあるでしょう。でも、自分が「できる人」と思われることが、「最速で最大の成果」を出すことよりも優先してしまうと、それは利己主義なのかもしれません。

自分が「責任者」であるときに、隣の仲間をヒーローにするつもりで動いたりすると、結果、自分の仕事力も認められて、複数の幸福者を生み出すことになったりもします。

(3)自己満足欲求

「やり遂げた!」と思いたい気持ちが強すぎると、自己満足のために仕事をする形になってしまいます。いつも、自分が責任者となった仕事には「最速で最大の成果」を出すにはどうしたら良いか、という軸からブレないように自戒しなくてはなりませんね(自戒を込めて)。

では、そうならないために、「仕事が回らない!」という状況から抜け出すにはどうしたら良いのかについて、次回、考えてみましょう。すぐに実行できる具体的な方法もご紹介します。

こちらの記事の監修医師

 

大澤 弘子

国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。