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最終更新日:2022年1月15日

子どもの行動を変えたい時の伝え方

こちらの記事の監修医師

大澤 弘子

子どもの行動を変えたい時の伝え方

(画像=Adobe stock)

単なる命令や叱咤ではなく、子どもの自主性や思考力を伸ばしながらより良い行動に向かわせるための伝え方について、人材育成事業を手がける日テレHR代表の大澤弘子さんが解説します。大澤さんは、小学生からシニアまで、幅広い皆さんが「自分らしく生きる」ためのコーチングにも尽力中。

目次

  1. 子育て真っ最中のパパさん、ママさんへ
  2. 子どもの行動を変えたいときの伝え方
  3. ポイント(1) 命令・統制は百害あって一利なし
  4. ポイント(2)他者思考型のGiverとして接する
    1. 「燃え尽き型Giver」の関わり方
    2. 「他者思考型Giver」の関わり方
  5. ポイント(3)考える力を刺激する関わり方

子育て真っ最中のパパさん、ママさんへ

コーチングやらパーソナルコンサルタントの専門スキルを得て仕事をしていても、我が子への対応は、簡単ではありません。愛情が深いから、幸せになってほしいと心底、願うから「こうしろ、ああしろ」「今こそこれをやった方がいい」と気づくと「正義の押し付け」オンパレード!になっていたりします。愛情ゆえですね。

でも、言われる方にとっては、「愛情ゆえだな」なんて感じる余裕はないでしょう。そればかりか成長を阻害する要因になり兼ねません。

先日、人材育成のプロに話を聞きました。その中で、印象に残ることがあったので書いてみます。

子どもの行動を変えたいときの伝え方

「●●しなさい」
「できなかったら◯◯を取り上げます」
「今度、同じことをしたら▲▲するよ」

子どもの内側から「これ、やろうかなあ」「あれ、やってもいいかなあ」という気持ちをいかに引き出せるかが、成長を促す親としての腕の見せどころです。これを「内発動機」と言ったりします。上のような「命令・統制」による働きかけは、子どもの内面からのモチベーションの誘発には、思いっきり逆行してしまいます。

ポイント(1) 命令・統制は百害あって一利なし

恐怖政治、罰則による統制は、「短期的には効果が出る」こともありますが、効果は続かないとされています。また、それ以上に、恐怖政治が持つ弊害があります。それは、「考えなくなる」「表面的にだけ合わせておいてやり過ごすことを覚える」という経験を子どもに植えつけてしまうことです。

何も考えなくても、言われた通りにしていれば叱られない。これは「成功体験」です。また、とりあえず言われた形に表面的に同調しておけば、そのうちに嵐が過ぎて言われなくなる。これも「成功体験」です。こんな薄っぺらい処世術のような体験を子どもに植えつけたいですか?

実際、大人になっても、そんな習慣がついてしまっている人を、結構、見かけたりします。たとえば、

  • 上司:なぜ、確認せずにそのままやっちゃったの?
  • 部下:部長に指示された通りにやりました
  • 上司:でも、お客様がちがうことをおっしゃったらやり方も変えないとダメだと思わなかった?
  • 部下:言われたことは、やったので。何か僕がマズイことしましたか?

おいおい、、、という話ですが、でも、こういったことは往々にして日本各地の企業で起きていることではないでしょうか。「ちょっと考えればわかるだろうに、なぜ?」と思う上司、「言われたことをちゃんとやったのに叱られるのは意味がわからない」と思う部下。

自分で「考える」「判断する」という癖がついていないと、急にはそれはできません。恐怖政治によって、取り急ぎ詳細な命令を出し現状を改善させるよりも、時間がかかっても、本人の内発動機によってやろうと思う気持ちが出てくるのを待つ方が、親にも子どもにも、実は幸福な選択だと思います。

また、恐怖政治は短期的に成果が出たとしても、徐々に効き目がなくなります。親も子どもに幸福になってもらうことがゴール。そのために必要なことを伝えよう、教えようとしてしまうのはまさに「親心」なわけですが、表面的に従ってもらいたいわけじゃないですよね。

ちなみに、恐怖政治ではないですが、同様に効果が短期的にしか出ない育成方法として、「目先の利益で釣る」というのも挙げられます。時間に追われている時、どうしようもない時に親がよくとってしまう手法です。

「コレができたらお菓子を買いに行こう」「これができたらゲームをやっていいよ」。決してやるべきではないというわけではありませんが、これを多用しすぎると、短期的な薄っぺらいメリットがあるものを選択してしまう思考が育ちやすくなることがあります。リスクが高く時間のかかることに挑戦する意欲が育ちにくくなったりするかもしれません。

ポイント(2)他者思考型のGiverとして接する

では、どうすればいいのか?わたしが印象に残ったのは「他者思考」のGiverであれという言葉です。

Giverとは、Takerに対する言葉で、人のために与える人。相手の利を優先してそのために行動する人と定義されています。Takerはその反対で、自分の利のために人を利用したり人から搾取しようとする人をいいます。

Giverは、一歩間違えると、Takerの食いモノにされます。それが長期間続くと、燃え尽きるGiverになったり、ある日、堪忍袋の緒が切れてブチ切れ爆発してしまうGiverも現れます。そんなGiverではなく、「他者思考型のGiver」になろうというのです。どういうことでしょうか?

燃え尽き型Giverは、相手に与えよう、相手の期待に応えようとする中で、「相手の気持ち」にフォーカスして対応します。一方、他者思考型のGiverは、相手のために動こうとするのは同じですが、相手の「気持ち」ではなく「思考」にフォーカスして対応します。

具体的な例を挙げてみます。計算ドリルの宿題をやらずにTVを見まくっている子どもに、親としてどう関わるべきでしょうか?

「燃え尽き型Giver」の関わり方

燃え尽き型Giverは、「やりたくない」と考える相手の「気持ち」にフォーカスして、相手のために行動します。

  • やりたくない気持ちに寄り添って同化してしまう
  • 分かるよ、、、わたしも宿題、嫌いだったよ
  • やりたくないものはやりたくないだろうと理解する
  • とはいえ看過するわけにはいかない
  • 結局、手詰まりになり、気持ちに寄り添う理解者として、メリットを用意する思考が働く
  • 行動の例(1):「ママと一緒にやろう!」とリードする
  • 行動の例(2):好物のお菓子をご褒美に用意して釣る

「一緒にやろう!」という呼びかけに応じて、子どもがどうにか机に向かったとしても、ここに子ども自身の「内発動機」はありませんよね。きっと、10分もしないうちに、

「ちゃんと問題読んでるの?!」
「あー、もっとキレイな文字で書きなさい!」

と消しゴムを片手にと叱りつけてしまい、子どもは泣くという展開になって、親も凹む。親子の関係にもガサガサした傷がついてしまうのがオチです。

「他者思考型Giver」の関わり方

一方、他者思考型Giverは、「やりたくない」と考える相手の「思考」にフォーカスして、相手のために行動します。

「やりたくない」と感じている子どもをみたら、何らかの考えが背景にあって、やりたくない気持ちに陥っていると考えるのです。そこで出てくるのが「質問」です。

  • テレビ、おもしろい?どんな話なの?
  • 宿題は、いつ頃やるの?
  • ひょっとして、やりたくないの?
  • やりたくないのは、なんでだろう?
  • 何が変わったら、やる気が出そう?

このような質問を使って、相手の思考の流れを探ります。

  • そもそも学校が面白くないのか
  • 勉強がつまらないのか
  • 分からないからつまらないのか、先生がキライなのか
  • 前に出て解いたときにミスして恥ずかしい思いをしたのか

こんな風に、聞いてみないとわかりません。「もしかしたら、テレビがめちゃくちゃ好きなのかも?」こう思いながら質問した結果、強い興味関心が見つかれば、しめたものです。あるいは「邪魔するもの」がわかったら、これも大収穫です。

子どもの「思考」をつかむことができれば、

  • 恐怖や嫌悪を取り除くために何かできることはないか
  • 興味関心の高いこととつなげるために何かできることはないか

このように考えることが可能になり、相手の思考に寄り添ったアプローチができます。同化ではなく、理解しようと「寄り添う」関わり方と言えます。

前者のママは「宿題はやる気がしない、やりたくないもの=自分もそうだった、気持ちは分かる」というところで相手への理解がストップしています。本当に相手がそう考えているのか、同じように「やりたくない」と感じていてもその理由はママの子どもの頃と、今の子どもでは異なるかもしれません。それを「分かった気になって」進めてしまっています。

それに対して後者のママは、「やる気がしない背景」にある思考や気持ちを知ろうと質問を使っています。相手が自分の気持ちに向き合うことをサポートするような関わり方です。子どもがなぜやりたくないのか、何があったらやる気になるのか、自分なりの考えを言葉にする機会を持つことになります。

ポイント(3)考える力を刺激する関わり方

極論すると、子どもの人生を考えた時、今、ここですぐに宿題のドリルをやるか、やらないかはどっちでもいいでしょう。大事なのは、子どもが、自分の感じたことや考えたことを自分で認識できることです。

だから、ある意味「やりたくない」という強い気持ちがあるなら、関わりやすいとも言えます。裏側にある感情や思考に迫りやすいからです。

「怠惰やただのルーズでやらない」という自分に気づいたら「僕はこのままルーズに暮らしていきたいのかな。それでいいのかな」と考える。

「宿題をきちんとやっていく=ガリ勉=格好わるい」という価値観を持っているなら「そう思うようになった背景にどんな体験があったのかな。誰かの影響かな、誰かをみた時にわたしは何かを感じたのかな」と考える。

こんな風に考えられる人になることが大事です。無条件に「先生が言ったからやるものでしょ」というタイプの子どもよりも「自分はこう思うからやる(やらない)」と思考している子の方がおもしろい、とわたしは思います。

幼くても、言語表現力が乏しくても「何でだろう?」「自分はどう思っているのかな?」と、自分自身の思考を観察して言語化することを体験する良いチャンスかもしれません。

  • やらないと、ロクな大人にならない!
  • 小学校の算数で躓(つまず)いたら将来、本当に苦労する!

という気持ちは、親の愛情ゆえの親の思考であり価値観です。もちろん、そう言いたくなる気持ちは本当によくわかります。

でも、思考に寄り添うとき、邪魔になるのは「自分の正義」であり「親が正しいと思う着地点に誘導しようとする気持ち」です。ここは一つ、えいっと腹を据えて、親の正義を一旦、脇におき、愛する我が子のなかでどんな思考が起きているのか、ニュートラルな探検家の気持ちで探ってみませんか。

遠回りに見えても、そのほうが、子どもと自分、対等な一つの人格同士として信頼関係を作っていくための近道なのです。

大澤 弘子
大澤 弘子(おおさわ・ひろこ)
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。

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大澤 弘子

国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。