最終更新日:2022年1月5日
「お金に縛られない生き方」を実現するためにまずやるべきこと

こちらの記事の監修医師
大澤 弘子

今回は、キャリアの構築や生き方の選択にバイアスをかける、お金の話について、人材育成事業を手がける日テレHR代表の大澤弘子さんが解説します。大澤さんは、小学生からシニアまで、幅広い皆さんが「自分らしく生きる」ためのコーチングにも尽力中。
もっとも強いあなたの「願望」は何でしょうか
願望は「作る」ものではないなあと思います。作るものではなく「見つけるもの」ではないでしょうか。つまり、自分の中に、もともとあるものです。
「社会人は●●であるべき」「●●してはならない」という規範によって、あるいは自分で勝手に思い込んでいるルールによって、見えづらくなっているかもしれませんが、自分の本音と対話すると再び見えるようになってきます。「再会」ですね。
皆さんの本心からの願望はどんなものですか?成功者・偉人のストーリーは例外なく、圧倒的な願望から始まります。スタート時点に、人から「叶いっこない」「バカじゃないのか」と言われても、自分では絶対にこれを実現するのだという強い願望があったのです。
例えば、「幼少期に貧乏で苦労した → 絶対にお金に困らない人生にしたい → 稼ぐにはどうしたら良いか真剣に全力で考え実行する」あるいは「サラリーマン1年目で勢いに任せてドロップアウトした → 生活するためとはいえ納得いかないルールで縛られるのは耐えられない → 人に決められたことに従う人生は嫌だ → 絶対に勤め人には戻りたくない → 自分で稼ぐにはどうしたら良いか真剣に全力で考えて実行する」このような強い願望です。
人を動かす一番強いパワーは、「どうしても避けたいもの」「どうしても手に入れたいもの」「どうしても取り戻したいもの」といった願望です。そう思ったら、きっと誰しも、達成できます。
でも、そうは言っても、自分に翻ると、そこまで強い願望ってなんだろうなあ?自分にあるのかなあ?と考えてしまう方もいるでしょう。家族や大切な人の幸福に寄与したい。子どもを守るためならなんでもする覚悟はある。でも、自分自身のこととなるとどうだろう?明日で人生が終わるとしたら、やり残し感が半端ないとは思うけど、何をやり遂げたら「元気よく」納得して旅立てるのかなあ、と。
人が現状を維持しようとする方向に意識を向けるのは、不安や懸念が原因です。不慮の災害、病気や怪我をはじめ、最も大きな懸念のもとは経済的な安全性と感じる人が多いのではないでしょうか。今回は、キャリアの構築や生き方の選択にバイアスをかける、お金の話について少し考えてみたいと思います。
キャリアの不安とお金
キャリアの不安、漠然とした将来への不満の根っこには、実は「お金」の問題があることが多い。裕福で何の心配もない家柄に生まれた人でない限り、自分が寿命を全うするまで、生活に困らず、ある程度の余裕ももって生きていくためには、事実、お金は不可欠です。そして「お金を得るための行動=働くこと」となっている人が多いと思います。
お金のため「だけ」ではないけれど、少々の違和感や不満があっても組織のルールの中で成果を出す人材になるべく努力をするのは、ひとつには自分の成長のため、もうひとつはサラリーを手にするためではないでしょうか。
また、会社を離脱して自分でやりたいことに挑戦する!という決断がしづらい最大の理由が「お金」であることも事実でしょう。
自分はどのくらいの金額が欲しいのか?
「漠然と不安」だけを抱えていると、状況を変化させずにそのまま生きることになります。現状を維持するにしても主体的に選択すると見え方が変わるものです。そのために、思考を一歩進めていくには、実際いくら欲しいのかというのを具体的に考えてみることが有効です。
サラリーマンなら、
- 今もらっている給与がいつまで続くのか
- 減っていくのが何歳の時でどのくらいの金額が減るのか
- そのとき減る収入の分を、どの程度、補填したいのか
- それは何のためのお金なのか
- 自分が実現したい「願望」にお金はいくら必要なのか
このようなことを具体的に考えてみましょう。
価値観は十人十色
価値観は人それぞれ、十人十色です。
- 1000万円欲しい
- 1億円欲しい
- 10億円欲しい
- 100億円欲しい
欲しい金額が異なれば、それによってとるべき道は変わります。また、何のために?というのもあります。我が子にお金の心配をさせたくない。それは何歳まで?配偶者にお金の心配をさせたくない。月にいくら、いつまで継続的に確保できれば、その心配をさせずに済む?
具体的に考えていくと、お金より大事にしたいものが自分の中にあると気づく人もいるかもしれません。
「家は狭くて借家で十分、最低限の食べるお金があればOK、それより●●の方が大事」とか「事業を伸ばすのは社員がもしもの時にも露頭に迷わないため、信頼してくださったお客様に迷惑をかけないためであって、長者番付に乗りたいためではない」とか。目指すこと、大事にしたいことによって必要な金額は変わってきます。
また、価値観として、そもそも冒険やチャレンジ、変化を好まない人もいます。現状の枠の中で、将来に備えて蓄えを得られれば、それ以上は不要という人です。そういう人は、社会の風潮に流されて、なんでもいいから副業をやらなくちゃと焦る必要はないかもしれません。
漠然とした不安に押されて、蓄財する、稼ぐというのでは、いくら溜まっても不安が消えなかったり、お金を稼ぐという目標がいつの間にか人生の目的と錯覚してしまったりするリスクをはらみます。幸せに生きるための蓄財なのに、これでは逆にお金に縛られてHappyになれません。
漠然とした「資産がないと困る」意識ではなく、いつまでにいくら欲しいのか、それはなぜなのか、ということを明確にすることが重要です。ここが明確になると、目標も明確になり、漠然と襲ってくる不安や満たされない気持ちから解放されます。
そして、自分にとって必要な金額が見えると、そのために取る最適な方法も見えてくるものです。すると、情報も取捨選択することができるようになり、効率的に効果の高い情報を吸収することができるようになります。結果、自分の人生の願いが定まって、お金以外のことでも迷いや悩みを減らすことにつながります。
自分の願望にとって最適な方法を選択できれば、あとは、計画を立てて行動するだけです。投資の世界も深いものです。投資の神様=バフェットでもそう簡単に巨富を築いたわけではありませんよね。全部、素人が理解するのは難しいし、そもそも必要な情報は人それぞれの願いによって変わります。
死ぬまでに自分が必要な金額、欲しい金額、そのお金が持つ自分にとっての価値を明確にすることこそ、とても大事ではないでしょうか。誰一人、お金を持ったまま死ぬことはできませんしね。

日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。

こちらの記事の監修医師
大澤 弘子
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。