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最終更新日:2021年12月1日

仲間の力を活かせる人は「視点のズレ」を越えられる人

こちらの記事の監修医師
 
大澤 弘子

仲間の力を活かせる人は「視点のズレ」を越えられる人

(画像=Adobe stock)

すべての仕事の前提となる他者との関わり。周囲の人の味方にできる人、仲間の協力を得やすい人になるには何が必要でしょうか?これに必要なコミュニケーションの原則について、日テレHR代表の大澤弘子さんが解説します。

目次

  1. 仲間の協力を得られる人になろう
  2. ケロッグ経営大学院で行われた心理学の研究
    1. 第1グループ
    2. 第2グループ
  3. 視点のズレ
    1. 視点のズレと人間関係
    2. 視点のズレと自己成長

仲間の協力を得られる人になろう

仕事は一人ではできません。どんな仕事でも関わる仲間がいます。一人で部屋に籠って絵を描く仕事でも、仕事である以上、社会の誰かの役に立つものになるべく、それを誰かに届ける仲間や協力者が必要になります。何よりも「お客様」となる受け手=他者がいなければ、仕事は成立しません。

仲間の総力を活かせる人、相手のポテンシャルを最大限に引き出し味方にできる人もいれば、一方でなかなか周囲の環境や人を活かしきれない人もいます。わたしたちは仕事をする中で、この2種類の人に出会います。ここで、仕事とは、サラリーマンなど会社組織の中のことだけでなく、家庭内の仕事、学校の生徒会や部活動という仕事も含めて考えてください。人と関わって何かを成すことすべてです。

できれば前者の、仲間の力を活かせる人になれた方が、人生の広がりがありそうです。では、仲間と共に仕事をするとき、人を活かせる人とはどんな人なのでしょうか。ちょっと興味深い研究を紹介します。

ケロッグ経営大学院で行われた心理学の研究

ケロッグ経営大学院の心理学者、ロラン・ノルドグレン教授が興味深い実験を行っています。被験者を集めて、冷凍室に5時間閉じ込められた人のつらさを予測してみてくださいという問いかけをします。被験者は、条件の異なる2つのグループに分けられていました。

第1グループ

温かいお湯の入ったバケツに腕を入れた状態で予測してもらう。

第2グループ

氷水の入ったバケツに腕を入れた状態で予測してもらう。

どちらがつらさをより強く予測したと思いますか?結果はこうです。氷水に腕を入れながら予測したグループの方が、お湯のグループに対して14%強く、つらさを予測したそうです。

みなさんの予想通りでしたか?実は、この実験ではもう一つ、条件を変えたグループが用意されていました。

●第3グループ

氷水に腕を入れて冷たさを体験したあと、バケツから腕を出す。その10分後に、予測をしてもらう。

結果は、第3のグループの予測は、お湯のグループとほぼ変わらなかったそうです。

これについて、ロラン教授は、このように論じています。人は、心理的・身体的な興奮を「現在」感じていなければ、ものごとが与える影響を過小評価する傾向がある。まさに「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という状態ですね。

視点のズレ

これをロラン教授は「視点のズレ」と呼びました。そして、周囲の人の力を活かしきれる人とそうではない人の違いは、まさにこの視点のズレを埋められるかどうかのちがいであると考えられています。

視点のズレと人間関係

あなたは、相手が今感じているつらさや喜び、願いや飢えを、どのくらいビビッドに予測できるでしょうか。

これを決めるのが視点のズレを越える力です。相手の気持ちになって考える力とも言えますね。これは、営業やプレゼンテーションなどのビジネスシーンではもちろん、プライベートな人間関係を築く上でも非常に重要なカギを握っています。相手の言ったことや態度に腹がたったり、トラブルになったりするのは、互いに視点のズレを越えられていないときに起こります。

ここで視点のズレを越えるには、自分という「箱」から出ることが不可欠になります。自分ならこう感じる、自分ならこう思う、自分なら耐えられる、自分なら頑張れる、という自分の箱からの視点で物事を捉えている限り、相手とのズレは永遠に越えられません。「あの人、ありえない!」という気持ちが起こり、いつの日かイライラした感情を抑えきれなくなって爆発。対人トラブルに陥ってしまいます。

完全に相手の気持ちを予測することはできなくても、できる限り相手の視点でものをみて、相手がしてほしいと思っていることをする、相手が悲しんでいることに寄り添って、その悲しみを和らげようと言動を選択できる人は、対人関係を深めることができるでしょう。

ズレを越えると言っても、無条件に同意や賛成をする必要はありません。自分の箱からの目線を消し去って相手の箱に全人格的に引っ越す必要はないのです。自分の箱は大切に持ち続けて構いません。

ポイントは、自分の箱からの目線を一旦脇におき、相手の箱に入ってそこから事象を見ようとできるかなのです。「この人、ありえない!」という感情は悪いものではありません。自分の箱から見たらそう感じた、というのは重要な感覚です。でもそれを正としたままでは、相手の箱に入れません。相手を評価するには、自分の目線を一時的にオフにする必要があるのです。

相手の箱に入ったら、自分の過去の経験や知識を総動員して、想像力を駆使して物事をみます。ケロッグ大学の実験が証明しているように、人は、今、心理的な興奮を感じていないときは事態を過小評価するのです。不快や苦悩を感じている相手の状態を、今この瞬間に苦しくない自分が想像することは、大変難しいのです。

この難しさを越えて、相手の苦しみを過小評価せずに捉えることができる人が視点のズレを越えられる人です。完全に理解し同意する必要はありません。相手の箱から見て、「なるほど、こう見えているのだな」「こう不快なのだな」と想像できれば良いのです。人間関係やチームの活動がうまくいかない時は、一旦、自分の箱から出て、相手の箱に入ってみる意識を持ってみると解決のヒントが見つかるかも知れません。

視点のズレと自己成長

実は、自分自身に対しても、視点のズレは生じています。1か月後に提出しなくてはならない資料をつくるのに、皆さんはどのくらい前から取りかかりますか?

過去に類似のタスクを行ったことがある人は、そのとき大変だった記憶が残っています。でも視点のズレが働いて、記憶の中ではその大変さが過小評価されやすいので要注意です。

すぐに取り掛かって1か月かけてやっとできる業務なのに、まだいいやと思ってしまう。間に合う気がしてしまう。そのうち期限が迫って慌てふためくことになります。これは将来の自分の心理的・身体的な興奮(つらさを感じている状態)を正確に予測できていない例です。

さらに言うと、実はわたしたちは、毎分毎秒、視点のズレを起こしています。自分の過去、未来とのズレ、また、近くにいる仲間の視点とのズレなどです。これらを越えるには、いつもいまの自分の箱からの目線だけでなく、過去の箱や未来の箱、または他者の箱に入って物事を多角的に感じ取る力を身につける必要があるのです。

これは、今の自分が「こうだ!」と感じていることは、定まった感覚ではない、ということでもあります。辛いと感じることも、少し視線を変えると自分のやりたいことに近づく大チャンスだと思えるかもしれませんし、喜びが大きいことも、新たなる苦難の序章かもしれません。

何をどう捉えるかは、自分ひとりの思いでいくらでも変えられます。今の自分の捉え方が、絶対的なものではないという前提を常に忘れずにいることが、柔軟性を失わないカギとなるのかもしれません。

大澤 弘子
大澤 弘子(おおさわ・ひろこ)
国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。

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大澤 弘子

国家資格キャリアコンサルタント 日本青少年育成協会認定教育コーチ(中級)
日本テレビでプロデューサー歴25年。各界の著名人を取材し、誰しも「自分の軸」に気づいて殻を破る転換点があると知って感動。史上初のNHKとの共同制作実現、タレントと視聴者が「ワーキングマザー」として交流するサークルなど、TV番組の枠を越えた取り組みを推進。2016年、慶應義塾大学大学院SDM研究室・前野隆司教授に学び「最大の成果を出すチームに共通する力」を導く。2019年「日テレHR」スタート。上場企業の人材育成に従事。2020年には全国170,000人の人事パーソンが選ぶ「HRアワード」受賞。サラリーマンこそ「キャリアビルディング」意識が必要と考え、人材育成コンサル・研修・個別コーチングも多数。