新型タバコを吸っている患者に伝えたいこと

新型タバコの基礎知識

成人の10%以上が新型の加熱式タバコを吸っていますが、そのうち10~30%はタバコを吸っている認識がなく、診察時に「タバコを吸っていますか?」と聞いただけでは喫煙状況を確認できなくなりました。加熱式タバコの健康上のリスクに関しても情報が錯綜しています。加熱式タバコの疑問や診療上のポイントを解説します。

まず、「加熱式タバコを吸う理由」を確認する

患者との間でタバコ問題について理解してもらい信頼関係を築いたうえで、加熱式タバコの害を伝えることが大切です。その理由は、タバコに関する正しい理解が得られると禁煙に意欲を持つ人が多いです。

ここでは「紙巻タバコから加熱式タバコに変更した人」や「紙巻タバコと加熱式タバコの両方を吸っている人」に対する医療従事者の対応について、例をあげていきます。

紙巻タバコから加熱式タバコに変更した人へ伝えたいこと

なぜ加熱式タバコに変えたのでしょうか?

加熱式タバコに変更した理由は、紙巻タバコより健康にはましだと考えたかもしれませんし、受動喫煙を減らす目的かもしれません。まずは、紙巻タバコを止められて本当によかったです、と伝えます。受動喫煙を減らすためであれば「周囲へのご配慮ありがとうございます」と伝えます。まずは本人の意思を尊重しましょう。

加熱式タバコには考えているより大きな健康リスクがあるかもしれません。加熱式タバコを吸う人の健康被害は紙巻タバコとほぼ変わらないと予測しており、タバコのリスクについて良く理解してほしいと思います。

タバコ会社が伝えている情報だけではなく、客観的な事実を十分に知ることで、今後も加熱式タバコを吸い続けるかを判断するために重要です。

紙巻タバコと加熱式タバコの両方を吸っている人に伝えたいこと

加熱式タバコを吸っている人の多くが、紙巻タバコをやめられないまま、両方吸い続けています。加熱式タバコを吸ったきっかけは下記の理由が多いです。

(1)禁煙したいと思った

(2)紙巻タバコより害が少ないと思った

(3)受動喫煙が減らせると思った

タバコの害を避けるために新型タバコを吸っている人が多い一方、

(4)吸いにくい場所でもタバコが吸えるため

という人もいます。

(4)の理由の人は、タバコをやめられないと諦めているのかもしれません。本人がその気にならなければやめることは難しくなります。このような場合には、「タバコの害を伝えたところでタバコをやめるとは全く考えていませんが、いつかやめたいと思ってもらえるよう、タバコ問題への理解、環境の整備が進むように支援したいと思います」と伝えています。タバコの値上げ、職場や家庭の禁煙化など環境が変われば、タバコをやめるきっかけとなるかもしれません。

タバコを吸っている人がすぐに行動を変えるのは難しいですが、ニコチン依存症はぜひ伝えたいと考えています。ニコチン依存症は楽しい気持ちやおいしいなどの味覚が奪われ、ニコチンへの依存を高めてしまいます。

タバコへの正しい理解を得られると禁煙への意欲が増す一方で、禁煙を阻むのがニコチン依存です。本人に禁煙の意欲がみられたら、ニコチン依存や禁煙に関する本*1を紹介してください。タバコの害をしっかりと理解できれば依存症にも対応できると考えます。

1日1本でも紙巻タバコを長期間吸い続けると有害で健康被害があります。たとえ加熱式タバコの健康被害が紙巻タバコよりも低くても、紙巻タバコと併用していると健康被害のリスクは減らないと考えられます。最終目的は全てのタバコをやめることですが、まずは紙巻タバコからやめるべきと考えます。