小児アトピー性皮膚炎と精神障害との関連に新たな調査結果

小児アトピー性皮膚炎と精神障害との関連について、注意欠陥・多動性障害(ADHD)との関連性は以前より指摘されていました。その後、それ以外の精神疾患についてもモデルマウスを使用した実験では証明されていましたが、今回は人の実例で調査が行われ、小児アトピー性皮膚炎がADHD以外の精神障害との関連があると発表されました。 この記事では小児アトピー性皮膚炎の子どもを持つ方に向けて、新しく観察された関連事項と親が行いたいケアについてご紹介します。

小児アトピー性皮膚炎と精神的問題の関係性が示唆される

これまで2020年に国立精神神経医療研究センターが実施したモデルマウスを用いた実験により、幼少期のアトピー性皮膚炎が思春期のうつ病症状を誘発する可能性が証明されました。また、2021年にはデンマーク・コペンハーゲン大学の調査によって、小児アトピー性皮膚炎はADHD以外の精神障害とも関連があるとの研究結果が報告されました。

幼少期のアレルギー性皮膚炎によるストレスは思春期の脳内炎症に対するプライミング効果を介してうつ様症状を誘導する。

https://www.ncnp.go.jp/topics/2020/20201010.html

CareNet「小児アトピー性皮膚炎、精神障害との関連は?」2021年2月3日https://www.carenet.com/news/general/carenet/51595

1995年~2012年の間にデンマークで生まれた子どもを対象とし、病院で小児アトピー性皮膚炎と診断された1万4,283例と、診断されなかったケースを1対10で抽出し、調査した研究です。結果については、次で詳しくご紹介します。

新たに関係ありと観察されたこと

デンマーク・コペンハーゲン大学の調査で小児アトピー性皮膚炎と関連があると観察されたのは、以下の通りです。

・精神障害で用いられる主な治療薬の使用

・精神科医や心理学者の受診

関連ありと観察された3つの薬

小児アトピー性皮膚炎と関連が高いとみなされたのは、次の3種類の治療薬です。

・抗うつ薬

・抗不安薬

・中枢神経系の交感神経作用薬

本邦で子どもにも処方される抗うつ薬としては、選択的セロトニン再取り込み受容体阻害薬(SSRI)のマレイン酸フルボキサミン、セルトラリン、塩酸ミルナシプランといった薬が挙げられます。また抗不安薬はジアゼパム、クロキサゾラムなどのベンゾジアセピン系、ADHD処方薬ではメチルフェニデートといった薬が挙げられます。

精神科医および心理学者の受診

精神科医および心理学者の受診も、小児アトピー性皮膚炎と関連性があると報告されています。つまり小児アトピー性皮膚炎では前述したような投薬治療を行っているケースに限らず、専門機関によるコンサルテーションを受けているケースも多いという事になります。

小児アトピー性皮膚炎と治療

抗不安薬や抗うつ薬といった投薬治療のほかにも、精神科医および心理学者の受診も小児アトピー性皮膚炎との関連が見られました。

しかし、今回の調査では小児アトピー性皮膚炎と治療薬の使用との関連が高いと言った内容の報告であり、精神障害と診断される可能性が高いという結果が出たというわけではありませんでした。実際のうつ病や不安障害、自傷行為との関連は認められず、必ずしも絶対的なリスクとはならないことが報告されています。 「アトピー性皮膚炎の子供は精神疾患にかかりやすい」ということにはなりません。

小児アトピー性皮膚炎は包括的な観察をケアが重要

小児アトピー性皮膚炎と関連がある、新たな調査結果をご紹介しました。小児アトピー性皮膚炎を患う子どもには、投薬による治療が必要な精神障害との関連があると報告されています。 小児アトピー性皮膚炎の子どもがADHDや精神的な問題を抱えている場合、専門機関による並行した治療が必要です。親は食事や生活環境を整えるほか、日ごろから包括的な観察を行い、気になる点があれば専門機関に相談してみましょう。