ADHDの診断基準を解説!ADHDになる主な原因は?子供がADHDかもしれない場合の対応策をご紹介

最終更新日:2021年8月24日

ADHDの診断基準を解説!ADHDになる主な原因は?子供がADHDかもしれない場合の対応策をご紹介

こちらの記事の監修医師
医療法人社団ワッフル ぐんぐんキッズクリニック
中野景司 先生

〇病院名 :ぐんぐんキッズクリニック
〇医師  :中野景司
〇アクセス:大阪府堺市北区中百舌鳥町2丁21 大休ビル1F
〇診療科 :小児科
〇経歴:関西医科大学卒業。
関西医科大学小児科入局。附属病院勤務。
社会医療法人中野こども病院勤務(小児救急・小児一般病棟・感染症を担当)。
関西医科大学大学院。再生医療・免疫分野で博士号取得。
恩賜財団大阪府済生会泉尾病院(医長。アレルギー・感染症を担当)。
関西医科大学附属病院(アレルギー・感染症・医学教育を専門を担当)。
2013年、大阪府堺市北区に「ぐんぐんキッズクリニック」を開院。
2016年、大阪府堺市南区に「ぐんぐんキッズクリニック分院」を開院。
両院に病児保育室を開設し、医療だけでなく地域の子育て支援にも力を入れている。

資格
日本小児科学会専門医/ICD(インフェクション・コントロール・ドクター)

所属学会
日本小児科学会/日本感染症学会/日本小児感染症学会/日本アレルギー学会/
日本小児アレルギー学会/日本外来小児科学会

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の子供を持つ方は、自分の育て方やしつけ方が原因でADHDを発症したのではないかと自分を責める傾向にあります。

またADHDかもしれない、と感じている方も同様です。悩みを周囲に打ち明けることができず、抱え込んでしまいます。

しかしADHDは先天的なものであり、育て方は無関係です。

今回はADHDの原因や診断基準、ADHDの可能性が考えられるときの対応をご紹介します。

ADHDの主な原因

ADHDの原因は完全に解明されておらず、先天的な脳機能の偏りによるものだと考えられています。

中でも主要な原因とされるのが以下の2項目です。

・前頭前野の働きが偏っているため注意欠陥の症状が出る

・神経伝達物質の量が先天的に少なく情報伝達に支障をきたしている

こうした原因により自己抑制や他者とのコミュニケーションがうまくいかない状態だとされています。

また感染症などの疾病や遺伝もADHDの原因になり得ることが分かっています。

ADHDを疑うべき行動特性

ADHDに特徴的な行動特性は不注意・多動性・衝動性の3つが挙げられます。

具体的な行動を紐付けると、集中力がなく飽きっぽいのが不注意型、じっとしていられないのが多動型、我慢ができないのが衝動型です。

この3つの行動特性が表面化すると、家庭生活や学校生活がうまくいかなくなります。

またこれらの特性によって問題行動を起こすのは主に幼児期や学童期です。

この時期はADHDでなくても問題行動を起こす子供が多いため、よくある成長段階での問題行動という形で片付けられてしまうこともあります。

しかしこの行動がADHDによるものだと気付かないままでいると周囲とのコミュニケーションは更に難しくなり、集団生活での孤立が避けられません。

それぞれの特性にはどういった特徴があるのでしょうか。

集中力がない・飽きっぽい

「不注意」のタイプは一つの物事にじっくり取り組むことが苦手です。

また想定していないトラブルに対して対応が難しく、思い通りにならないと癇癪を起こすケースもあります。

・忘れ物が多い

・物をよくなくす

・集中することが苦手

・集中していても外からの刺激ですぐに気が散る

・物事を継続するのが苦手

・勉強などを順序立てて進めるのが苦手

・ぼんやりして話をきいていない

こうした症状が「不注意」の特徴です。

じっとしていられない

「多動性」のタイプは自分の気が赴くままに体を動かすため、じっとしていられません。またおしゃべりが止まらなくなるのも多動性タイプの特徴です。

・授業中に座っていられず、突然立ち歩く

・座っていられてもそわそわして常に手足や体を動かしている

・静かにするべき場面でもおしゃべりが過ぎたり騒いだりする

こうした症状が「多動」の特徴です。

我慢ができない

「衝動性」のタイプは「多動」の傾向も含んでおり、我慢が苦手です。

順番が待てず、他の子供が並ぶ列に割り込んで衝突を起こすケースがあります。

・思い通りにならないとすぐにイライラする

・思ったことは口に出さずにいられず他の人の話をさえぎることもある

・じっと座っていることが難しく、そわそわしていつも手や足を動かしている

ADHDの診断基準は?

2~3歳の子供の行動とADHDの行動は類似しているため、これくらいの年齢でADHDだと判断するのは困難です。

そのため幼稚園や保育園などで集団生活が始まる4~5歳の頃からの行動を見て判断します。

主な基準は不注意・多動性・衝動性の症状が6ヵ月以上継続するかどうか、その行動が元で学校生活や家庭内で問題が起きているかどうかです。

ADHDの主な治療法

ADHDは先天的な機能障害であり、根本的な治療は困難です。とはいえ問題行動を放置しておけば様々な弊害が生じます。

ADHDを持つ子供は自分の意思で問題を起こしているわけではありません。しかしADHDによる行動だと周囲が理解していなければ、友人から避けられ大人から叱られるでしょう。

これが積み重なると人間関係の変化に対応することができず心のバランスを崩し、さらなる症状を併発します。

そのため子供の問題行動がADHDの行動特性に起因すると判断されたら、できるだけ早く治療を開始しましょう。

子供のADHDでは「環境への介入」「行動への介入」「薬物療法」により対応します。

環境への介入

学校や家庭など子供の生活環境を把握し、物事に集中できるように整えるのが環境への介入です。物理的介入と時間的介入に分けられます。

物理的介入は集中の妨げになる物の配置を変える方法です。例えば学校では掲示物の配置を工夫して授業中に気が散らないようにします。

また家庭ではゲーム機やテレビといった刺激物の置き場所を変え、食事や勉強の妨げにならないようにします。

時間的介入は集中できる時間を把握し、その時間だけ集中させる方法です。子供によって異なりますが、勉強に対する集中が10分しか継続できなければ10分ずつ時間を区切って勉強させます。

行動への介入

行動への介入は、良い行動と悪い行動の理解を促す方法です。良い行動をしたら褒めてご褒美をあげる、悪い行動なら叱らずにご褒美をあげないという形でメリハリをつけます。

ADHDの子供たちは「ダメ」「どうしてできないの」といった否定的な言葉に対して感情的になりがちです。

そのため肯定的な「褒め」によって良い行動が増えるように導きます。

こうした介入は簡単なものではありません。

最近はADHDの子供への接し方を学ぶペアレント・トレーニングも行われているため、積極的に活用しましょう。

薬物療法

環境への介入や行動への介入によって症状が改善されない場合、薬物治療を併用します。

ADHDの症状をやわらげる薬を使用しますが、本人が納得して服用を継続することが重要です。

ADHDの薬はどの病院でも処方できるわけではなく、ADHD治療を行う専門病院の医師のみ処方できます。

使用される薬としてはメチルフェニデート塩酸塩・アトモキセチン塩酸塩・グアンファシン・リスデキサンフェタミンエチル塩酸塩の4種類です。どの薬も同じような効果がありますが、同時に副作用も報告されているため、医師と相談しながら服薬を進めましょう。

子供がADHDかもしれないと思った時の接し方

ADHDの子供と接する家族や周囲の方は、問題行動によって苛立ちやストレスを感じることもあるでしょう。

親にしてみれば、自分の責任だと責めるかもしれません。

ADHDの問題行動は先天的な脳機能の異常によるものであり、子供自身で行動を制御するのが難しい状態です。

そのため本人の意図的行動でも、ましてや親のせいでもありません。

決して叱ったり、ご自身を責めたりしないでください。

叱られた子供はストレスを感じるようになり、ストレスが衝動性行動となって他の子供への攻撃に発展する危険性もあります。

注意する回数を減らす

ADHDの行動特性を改善するためには「叱る」「厳しくする」ことは意味をなしません。

まず理解しておきたいのは、子供自身が「こうしなければ」と分かっていてもできない状態だということです。

何か物事に取り組もうと思っても集中力が長続きしないため、一度に多くのことを指示しても混乱してしまいます。

やってほしいことがあれば一つずつ、短い言葉で具体的に伝えてあげましょう。

やってはいけないことをやってしまった場合「ダメ」「やめなさい」ではなく、何がいけなかったのか具体的に伝えて理解を促します。

また注意の回数はできるだけ少なくするのが望ましいでしょう。

できたら褒める

良い行動や良いことができたら時間を空けず、すぐに褒めてあげましょう。指示したことが正しくできた場合も同様です。

時間を空けずに褒めることにより、何をしたから褒められたのか、どういう行動をとればいいのか理解しやすくなります。

褒めるときには子供の目線と同じ高さで目を合わせ、大きなジェスチャーで褒めてあげましょう。

問題行動により叱られることや否定されることが多い子供にとって、身近な大人に褒めてもらう経験は非常に重要であり、子供の記憶に定着します。

ご褒美などでモチベーションを維持する

良い行動ができたら言葉やジェスチャーで褒めるだけでなく、時にはご褒美でモチベーションを維持しましょう。

ご褒美を与える際は、達成しやすい目標や守りやすい約束、実現できそうなルールを最初に設定しておくことが大切です。

ご褒美は「ポイント制」にして、約束やルールが守られたらポイントを付与していきます。ポイントが増えていくと目標達成に対する意欲や集中力も生まれるでしょう。

自分で対応が厳しい場合は相談や診断も考えるべき

子供にADHDの疑いがあると分かったら、自分だけで何とかしようと思わないでください。

ADHDは子供の育て方によるものではなく脳の機能に関連するものです。そのため医師・専門家による指導を受ける必要があります。

またADHDは決して珍しい症状ではありません。大人になってからADHDだと診断される人が増えていることからも分かる通り、ADHDに気付かない方が多いのです。

そのため生きづらさを抱え続けて大人になる方が大勢います。子供のときにADHDだと分かれば早めに治療が開始できるため大いにプラスだと考えてください。

まずは家族や学校に相談し、専門家の指導や医師の診断も視野に入れましょう。

ADHDの相談先や病院の探し方

子供のADHDを疑ったら、まずは学校・幼稚園や保育園に相談します。

専門機関を紹介してもらえる可能性がありますので、連絡をとってみましょう。

相談先や病院の探し方をご紹介します。

相談先

各自治体には発達障害の相談窓口があります。もし分からない場合は保健所や役所の保健センターに相談してください。

保健所・保健センター

地域住民のこころの健康相談や保健指導・医療相談など心身の健康について幅広く相談することができます。

精神保健福祉センター

各都道府県に設置することが定められている機関です。心の健康・精神科医療についてのサポートが受けられます。

発達障害者支援センター

発達障害児(者)への支援を行う専門機関です。地域の保健・医療・福祉・教育・労働などの関係機関と連携した総合的なネットワークで支援します。

児童発達支援センター

障害のある子供が、日常生活に必要な基本的動作や知識・技能を身に付けるための施設です。利用する場合は自治体への申請が必要です。

病院

ADHDを病院で診てもらう場合、まずはかかりつけの小児科で問題ありません。そこからADHDの検査が受けられる病院を紹介してもらいましょう。

また早く診断を受けたい・治療を受けたい場合は、発達障害の専門医がいる医療機関を探すのも一つの方法です。

例えば日本小児神経学会は発達障害診療医師名簿を公表しています。お近くに医師がいないか探してみましょう。

まとめ

ADHDによる問題行動は親を悩ませ、周囲を困らせます。しかし一番つらいのは子供本人です。

できるだけ早い段階で周囲の理解と協力を得ることが、子供と親の心の負担軽減につながります。

またADHDでは問題行動ばかりに注目が集まりがちですが、実は好きなことや得意なことには集中でき、独自の発想で才能が開花するケースもあるのです。

良い部分を伸ばして良い行動を増やし、周囲と上手に関わっていけるように大人が導いてあげましょう。

こちらの記事の監修医師

医療法人社団ワッフル ぐんぐんキッズクリニック

中野景司 先生

〇病院名 :ぐんぐんキッズクリニック 〇医師  :中野景司 〇アクセス:大阪府堺市北区中百舌鳥町2丁21 大休ビル1F 〇診療科 :小児科 〇経歴:関西医科大学卒業。 関西医科大学小児科入局。附属病院勤務。 社会医療法人中野こども病院勤務(小児救急・小児一般病棟・感染症を担当)。 関西医科大学大学院。再生医療・免疫分野で博士号取得。 恩賜財団大阪府済生会泉尾病院(医長。アレルギー・感染症を担当)。 関西医科大学附属病院(アレルギー・感染症・医学教育を専門を担当)。 2013年、大阪府堺市北区に「ぐんぐんキッズクリニック」を開院。 2016年、大阪府堺市南区に「ぐんぐんキッズクリニック分院」を開院。 両院に病児保育室を開設し、医療だけでなく地域の子育て支援にも力を入れている。 資格 日本小児科学会専門医/ICD(インフェクション・コントロール・ドクター) 所属学会 日本小児科学会/日本感染症学会/日本小児感染症学会/日本アレルギー学会/ 日本小児アレルギー学会/日本外来小児科学会

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