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左下腹部がチクチクする、痛みの原因は?何科を受診?

最終更新日:2022年5月14日

左下腹部がチクチクする、痛みの原因は?何科を受診?

こちらの記事の監修医師
宮田胃腸内科皮膚科クリニック
宮田 直輝 先生

(画像=stock adobe.com)

左下腹部がチクチク痛いとき、さまざまな原因が考えられます。特に女性はホルモンバランスの影響によって、生理前や生理中に腹部の痛みが起こりやすくなります。そこで今回は、左下腹部に痛みを感じる原因や考えられる病気を男女別に解説します。ストレスとの関係や病院に行く目安なども合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

左下腹部にチクチクした痛みがあるときに考えられる病気

左下腹部がチクチク痛いとき、大きく分けて消化器系と尿路系の病気の可能性が考えられます。

消化器系の病気

消化器系の病気では、おもに以下のような例が挙げられます。

便秘

便秘になると大腸の左下腹部にある「S状結腸」に便が溜まりやすく、腹部がチクチク・ズキズキ痛むことがあります。特に女性はホルモンの作用や腹筋の弱さなどの影響により、男性に比べて便秘になりやすい傾向があります。
ただ、毎日排便がなければ便秘ということではなく、週に2~3回の排便までは正常です。

【原因】
生活習慣によるもの:運動不足、水分不足、極端なダイエット、精神的ストレス、トイレの我慢、姿勢など
病気によるもの:過敏性腸症候群、イレウス、大腸がん、腸管癒着、糖尿病、内服薬による副作用など

大腸憩室炎

大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)とは、大腸の壁に1cm前後の小さな袋(憩室)ができ、炎症をおこす病気です。憩室は大腸のS状結腸にできやすいため、発症すると左下腹部にチクチクした痛みを感じます。発熱などの症状が出ることもあります。

【原因】
大腸に憩室ができる原因は、便秘などで大腸内圧が上昇したり大腸の壁にある薄い層が弱くなったりすることが挙げられます。大腸憩室炎は40歳以上の年代によくみられ、高齢者が発症すると重症化しやすくなるため注意が必要です。

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患とは、免疫機構の異常によって自分の免疫細胞が腸の細胞を攻撃し、炎症を起こしてしまう病気です。発症すると慢性的な腹痛や下痢、血便などの症状が現れます。
主に潰瘍性大腸炎とクローン病の2種類があり、両疾患とも比較的若い方に発症しやすく、日本の患者数は年々増加傾向にあります。また、腸管ベーチェット病という比較的まれな炎症性腸疾患もあります。通常、命にかかわることはありませんが、一旦発症すると根治することはまれであり、生涯治療を継続する必要があります。

虚血性腸炎

虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)とは、大腸の血管が一時的に詰まることで血液が十分に供給されない状態になり、大腸の壁の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。
特に左側の下行結腸(かこうけっちょう:大腸の主要部分である結腸の一部)を中心に血流低下が起こりやすいため、左下腹部にチクチクとした痛みを感じます。そのほか、下痢や血便などの症状が現れることもあります。

大腸がん

大腸がんは大腸の内側にある粘膜に発生するがんで、多くが大腸のS状結腸や直腸に発生します。早期では自覚症状がほとんどありませんが、がんが進行すると腹痛や血便、便秘、下痢、体重減少などの症状が現れます。

【原因】
大腸がんは遺伝的な要因のほか、野菜や果物の摂取不足、肥満、運動不足などの生活習慣がリスクになるといわれています。高齢化や食生活の欧米化の影響によって年々患者が増加し、現在は日本国内で3番目に患者数が多いがんです。

尿路系の病気

尿路系の病気では、以下のような例が挙げられます。

尿路結石

尿路結石とは、尿の通り道である尿路に結石が詰まり、尿の流れを妨げてしまう病気です。
尿の流れが悪くなると腎臓に尿が逆流して「水腎症(すいじんしょう)」を起こし、脇腹に激しい痛みが生じます。

【原因】
遺伝的な要因や内分泌疾患、代謝異常のほか、カロリーや脂肪分の高い食事、水分不足、運動不足などの生活習慣が原因で発症することもあります。

尿路感染症

尿路感染症とは尿道の出口から細菌が侵入して炎症を起こす病気で、感染が起こった場所が膀胱の場合は「膀胱炎」、腎臓の場合は「腎盂腎炎」に分類されます。

膀胱炎を発症すると排尿痛や残尿感、頻尿、尿の濁り、血尿などの症状がみられ、膀胱炎が悪化して腎盂腎炎になると腎臓の痛みや発熱などを引き起こします。

【原因】
通常は細菌が尿路に侵入しても尿と一緒に洗い流されますが、疲労やストレス、風邪などによって免疫力が低下したり排尿を長期間我慢したりすると感染しやすくなります。
女性は男性より尿道が短いため尿路感染症を起こすリスクが高く、20~50歳では男性の約50倍多く発症します。

左下腹部の痛みの原因【女性の場合】

(画像=stock adobe.com)

女性はホルモンバランスの影響によって左下腹部に痛みが生じやすくなります。
ここでは生理周期や妊娠の有無、更年期障害、女性特有の病気などによる腹痛の原因を解説します。

排卵期:排卵痛

排卵日周辺に腹部や子宮周辺にチクチクとした軽い痛みが出る「排卵痛」が起こることがあります。
排卵痛は卵子が排出される際に卵巣の表面にある膜が破れ、お腹の中で血液が流れ出して腹膜を刺激することで起こります。

排卵痛は正常に排卵が行われている証拠なので、放置していても日常生活に大きな支障はありません。しかし、以下の場合は子宮内膜症を発症している可能性があるため、早めに婦人科を受診しましょう。

・痛みが激しい
・年々痛みが増強している
・排卵痛だけでなく月経痛も強い
・2~3日経っても痛みが治まらない

生理前:月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)とは、月経の1週間~10日前にホルモンの分泌量が変化して自律神経が乱れることで起こるさまざまな体の不調のことをいいます。下腹部の痛みやお腹の張り、乳房の張り、頭痛、むくみ、便秘、肌荒れ、気分不良といった体の症状のほか、イライラ、憂うつ、集中力低下などの精神不良が現れることもあります。

PMSの症状は体質や体調によって左右され、食生活の乱れやストレス、免疫力の低下などによって重くなります。

生理中:月経痛

月経直前~月経中はプロスタグランジンというホルモンが分泌されて子宮が収縮するため、下腹部に痛みが起こりやすくなります。

チクチク・ズキズキとした軽い月経痛があるのは正常なリズムでホルモンが分泌されている証拠ですが、日常生活に支障をきたすほど痛みが激しい場合は「月経困難症」と呼ばれます。
この場合、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が隠れていることがあるため注意が必要です。

妊娠初期~後期の症状

妊娠中は靭帯の緊張や子宮の収縮などによって、チクチク・ズキズキ・ギューっとした腹部の痛みを感じることがあります。1時間ほど安静にすることで痛みが治まる場合は心配ありません。

しかし、以下のような場合は切迫流産・切迫早産など危険な状態になっている可能性もあるため、すぐに受診してください。

・子宮が石のように硬い
・痛みがだんだん激しくなる
・うずくまる・冷や汗が出るほど痛い
・出血を伴う・茶色のおりものが出る
・下腹部にぐーっと強い力がかかるような痛みが30分に2回以上起こる

更年期障害による症状

閉経の前後、約10年間(一般的に45~55歳頃)は更年期と呼ばれます。更年期は女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減少してホルモンバランスが乱れるため、「更年期障害」として心身にさまざまな不調が現れます。

更年期障害では腹痛や腰痛、頭痛、肩こり、ほてり、不眠、動悸、イライラ、めまいなどの症状が起こります。

その他女性特有の病気

子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣腫瘍(らんそうのうしゅ)、卵巣茎捻転(らんそうけいねんてん)、異所性妊娠など女性特有の病気によって下腹部痛が生じることもあります。

生理日以外に激しい下腹部の痛みがある・痛みがだんだん酷くなる・血便を伴う場合は早めに婦人科を受診しましょう。

左下腹部の痛みの原因【男性の場合】

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男性が左下腹部にチクチクとした痛みを感じる場合、以下の病気の可能性が考えられます。

前立腺炎

前立腺炎とは、男性の尿道のまわりにある「前立腺」の組織が細菌感染などによって炎症を起こす病気です。前立腺炎を起こすと下腹部や会陰部に痛みが生じるだけでなく、残尿感や頻尿、排尿時の不快感、発熱、倦怠感などの症状が現れることもあります。

精巣上体炎

精巣上体炎とは精巣の横にある「精巣上体」に大腸菌やクラミジア、淋菌などの細菌が侵入して感染し、炎症を起こす病気です。発症すると精巣上体や左下腹部に痛みを感じるほか、発熱することもあります。

左下腹部のチクチクした痛み、ストレスが原因かも

左下腹部にチクチクとした痛みがある場合、ストレスによって過敏性腸症候群を起こしている可能性も考えられます。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群(IBS)とは、血液検査や大腸カメラ検査で異常が認められないにも関わらず、左下腹部の痛みや腹部不快感、腹部膨満感、便秘、下痢などの症状が長引く病気です。
20~30代の若年層に多く、睡眠不足や過労などのストレスが大きな原因となります。

過敏性腸症候群は命に関わるような病気ではありませんが、完治することは少ないため日常生活のなかでうまく付き合っていくことが大切です。

左下腹部にチクチクと痛みがあるとき、何科を受診?

左下腹部のチクチクとした痛みはさまざまな病気によって起こるため、原因によって消化器内科や泌尿器科、婦人科など受診すべき科が異なります。判断に迷う場合は、かかりつけの医療機関や近くの内科で相談してみましょう。

【病院を受診すべきケース】
・1週間以上痛みが続く
・強い痛みが数時間続く・どんどん悪化する
・痛みで眠れない・夜中に目が覚める
・左下腹部だけでなく、ほかの部分も痛い
・嘔吐や下痢、吐血、血便、38度以上の発熱、体重減少を伴う

上記のような症状がある場合は何らかの病気が隠れている可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

こちらの記事の監修医師

宮田胃腸内科皮膚科クリニック

宮田 直輝 先生

〇診療科 :内科 消化器内科 皮膚科 小児科

《 経歴 》
2003年
台湾台北医学大学 医学部卒業
2005年
慶應義塾大学病院 初期研修
2006年
日本鋼管病院初期研修
2007年
慶應義塾大学病院消化器内科
2011年
恩賜財団済生会宇都宮病院勤務
2012年
慶應義塾大学大学院医学研究科博士号取得
2013年
テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンター博士後研究員
2016年
国際医療福祉大学三田病院消化器センター講師
2019年
長峰整形外科・胃腸内科 副院長
2020年
宮田胃腸内科皮膚科クリニック 院長
国際医療福祉大学三田病院消化器センター非常勤講師
JCHO山手メディカルセンター消化器内科非常勤
一般社団法人日の出医療福祉グループ顧問
資格・学会
日本内科学会認定内科医
日本内科学会認定総合内科専門医
日本消化器病学会認定消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医
日本肝臓学会認定肝臓専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本医師会認定産業医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
緩和ケア研修終了
東京都難病指定医
米国消化器内視鏡学会(ASGE)所属