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最高難易度の技術を要する、「陥没乳頭手術」とは!?

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最終更新日:2022年5月8日

最高難易度の技術を要する、「陥没乳頭手術」とは!?

こちらの記事の監修医師
新宿美容外科・歯科
酒井 成身 先生

外科手術にリスクはつきものですが、そのなかでも、最高難易度とささやかれているのが「陥没乳頭手術」です。乳頭が乳輪の表面から突出せずに陥没してしまう状態を「陥没乳頭」と言います。実に、女性の10~20%が先天的にもっている疾患と言われており、決して珍しいとも言えない疾患です。手術の難しさや高スキルをもつドクターの探し方などを専門医が解説します。

再発リスクが高く、再手術希望者が後を絶たない…

〈酒井成身(本イシャチョク記事の著者)・成貴;E. 乳頭・乳輪. 美容外科手術―合併症と対策―、全日本病院出版会、2020, p211-234〉

陥没乳頭の手術は非常に難しく、私のところへはよくよその施設で手術して再陥没を起こして来られる患者さんが後をたちません。2名患者さんが来院するとその内1名は他院で失敗して再陥没し、瘢痕だらけになっている患者さんです。

陥没乳頭で重症なものは乳頭が乳輪下に深くもぐり込んでいて、簡単な手術では修正突出されないのです。私が以前、他の大学の形成外科へ呼ばれて、乳房再建や陥没乳頭の講演をした時にその大学の教授は医局員に「絶対手を出してはいけない手術が一つだけある。それは陥没乳頭の手術だ。技術を十分に習得しないで手術すると必ず失敗する」と言っておられました。

私も40年ほど前に乳頭を糸で引き上げて紙コップの底に固定していて、2か月くらいしてもういいかなと思って糸を切ると、またもとへ戻ってしまいました。これは引き込んでいる組織を十分剥離が出来ていないためなのです。従って陥凹部を開いてしっかり見て、瘢痕収縮性の組織を少しずつ、乳管を切らないように剥離していって、引き上げて手を離しても立ち上がっていて陥没しない状態にまで剥離していない場合は再陥没するのです。

PitanuyやBroadbent の方のように乳管を切ってしまえば、出てきやすいでしょうが、それでは出産して授乳しようとしても授乳できないのです。陥没乳頭の酒井法は乳管を出来るだけ切らずに乳管周囲の短縮拘縮性の組織を十分剥離して乳頭を突出させる方法で、出来るだけ授乳が出来るようにした手術です。』

陥没乳頭の症状のステージ

著者はこの陥没乳頭における症状のステージを3つに分類しました。

Grade 1, 陥没乳頭を徒手的に整復できるが、いずれまた戻る。

Grade 2, ピンセットなどで引き上げると何とか出るが、離すと元に戻る。

Grade 3, 手術によらなければ乳頭は出てこない。

(Sakai, S. et al; A New Surgical Procedure for the Very Severe Inverted Nipple, Aesthetic Plastic Surgery, 23:139-143, 1999 )

Grade 1の場合には、一般的な乳頭の内部を剥離する手術による修正が可能です。ですが、Grade 2,3のステージでは、皮膚のより深部にある「短縮拘縮性組織」と呼ばれる、拘縮している組織をを十分に剥離しないと修正が難しいのですが、これは非常に高い技術を要します。私は外国で講演する時には「 3S」 と呼びかけています。Slowly(ゆっくりと), Strongly(強く), Steadily(着実に) という意味です。

近年は、手術後に再陥没を起こし、乳頭が壊死してしまい欠損している人が来られる場合が多いです。最近はよそで再陥没を起こし、乳頭が壊死になり欠損している人が来られる場合が多いので、それらをこの分類に更に追加して Grade 4 としています。

この Grade 4 の修正は更に難しく、乳輪を乳頭部に寄せるようにして何とか乳頭の形態を形成していますが、乳管部分は瘢痕になっていて、授乳は全く難しく、このように瘢痕だらけになる手術はやらないで欲しいと思っています。

昨年の第109回日本美容外科学会JSASのシンポジウム[ 匠の技:成功のコツと注意すべき pitfall、SY1-2]で「 陥没乳頭修正成功のコツと pitfall 」 の講演を依頼され30分ほど講演したのですが、その中で「経験と自身のないDr.は手術しないでください。紹介して下さい。一緒にやりましょう。手ほどきします。失敗して再陥没して瘢痕だらけになると授乳が出来なくなり患者さんが可愛そうです。」と話しました。その後、実際自分のところでうまくいかなかったケースを紹介して来て、一緒に手術したケースがいくつもあります

潜っている乳頭を引き出して持ち上げると、もともと皮膚のない部分が乳頭の上に出てくるので、そこを縫い縮めると乳頭は富士山のような形になるので再陥没しやすくなりますので、その皮膚のないraw surface 部分はそのままにして乳頭を球状にしておいて軟膏ガーゼを貼っておきます。それでも必ず皮膚は2週間~1か月で貼ってきますので心配はいりません。

このガーゼはあまり剥がすと出来てきた皮膚は剥がれてしまい、皮膚が出来てくるのが遅れてしまうため、ダウンタイムが長くなります。普通は1週間ごとにガーゼを張り替えて2週間で、入浴してもらっています。それまでは乳頭部を刳り貫いたガーゼでカバーしていますが、その上からビニール様のテープを貼っていますので、術後次の日から洗髪などシャワーが出来ます。

放っておくと乳輪下膿瘍のリスクも

また陥没乳頭があると化膿して乳輪やその横に膿が貯まって来る乳輪下膿瘍になりやすくなります。膿が貯まっていると、外科の先生は切開して膿を出して下さるのですが、3か月ほどするとまた膿が貯まってきます。これは陥没乳頭が原因で、手術して膿瘍の切除と共に原因となっている陥没した乳管を同時に切除しないとまた乳輪下膿瘍を起こします。

ただ膿が貯まっている状態で手術すると膿瘍の部分がドロドロで範囲がわかりにくく手術しにくいのですが、陥没部と膿瘍にドレーンとしてナイロン糸などを入れて置く Seton 法を行い、1~2か月して膿が十分出払って、膿瘍が土管様になってから手術すると非常にやりやすくなります。(酒井成身、他;陥没乳頭、乳輪下膿瘍、 Seton法と酒井法による修正. PEPARS, No.99: 41-53, 2015 )

 手術を受ける前に知っておくべきこと。高スキルをもつクリニック、ドクターの見分け方は、インテ―ネットなどで、検索すると最初に出てくるようにお金で最初に出てくるようにしているところも多いので、最初に出てこなくても十分にその手術の方法の説明や術前、術中、術後の写真が載っていて納得出来る医師を探すことが重要かと思われます。

授乳機能を温存した陥没乳頭手術

こちらの記事の監修医師

新宿美容外科・歯科

酒井 成身 先生

〇医師名:酒井 成身 病院長
〇クリニック名:新宿美容外科・歯科 TEL 03-5155-6355
〇アクセス:東京都新宿区新宿 5-18-20 新宿オミビル8F

【診療科目】
陥没乳頭、乳房縮小術、乳房再建術、眼瞼下垂症手術、眼瞼しわ取り術

【経歴】
国立新潟大学医学部卒業
(外科、整形外科、形成外科を研修)
ニューヨーク大学形成外科臨床医留学
バージニア大学形成外科臨床医留学
聖マリアンナ医科大学 助教授
聖マリアンナ医大横浜市西部病院形成外科部長
国際医療福祉大学附属三田病院 形成外科教授