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結核の症状を解説|早期発見のポイントは?結核の診断から治療までの流れや予防法もあわせてご紹介します

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最終更新日:2021年8月24日

結核の症状を解説|早期発見のポイントは?結核の診断から治療までの流れや予防法もあわせてご紹介します

こちらの記事の監修医師
フリーランス
末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス
〇医師  :末光智子
〇アクセス:
〇診療科 :内科
〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)

かつては「国民病」とまで呼ばれた結核も近年では10万人あたりの患者数が15人を切るまでになりました。
死亡原因でも20位以下という落ち着いた状況が続いているのです。
しかし、人口が集中している大都市では結核罹患率は依然として高く集団感染事例も出ています。
なかば「忘れられた病気」となっている結核ですが、毎年15,000人以上の患者が発生し2,000人の方が死亡しています。
結核は決して「昔の病気」ではないのです。

結核の代表的な症状

結核菌は多くの場合、気道から肺に入ります。
そして発症すると咳・喀痰・微熱という、一見風邪のような症状が現われます。
従って市販の風邪薬を飲んで治そうとしますが、風邪薬では治りませんので症状は改善されません。
もし痰に血が混じった、いわゆる血痰が出るようであれば結核である可能性が上がります。
咳や痰が2週間以上続く、微熱が続く、風邪薬を飲んでも改善しないという方は注意してください。
すぐに結核検診を受けるか、結核病棟を備えた病院に行って検査を受けましょう。
結核は感染症法の2類感染症であるため、入院できる病院が限定されています。
結核病棟を備えた病院は全国で74カ所あり、厚生労働省のサイトで調べることができます。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou15/02-02-01.html

呼吸器関連の症状

咳・喀痰だけではなく胸痛・呼吸困難が発生することがあります。
また症状が進むと胸水という肺の中に水が溜まる症状が発生し、これも呼吸困難を引き起こすのです。
また数は少ないですが結核菌が気管支で発病した場合、気管支結核という病気を引き起こすことがあります。

全身に出る症状

微熱のほか全身倦怠感・食欲不振が起こることがあります。
また肺以外に次のような部位が感染した場合、発病することがあります。

・胸膜
・リンパ節
・脊椎・その他の骨・関節
・腎・尿路生殖器
・中枢神経系
・喉頭

結核菌に感染した場合、肺に感染し発病することが80%程度です。これを肺結核と呼びます。
20%は他の部位に感染して発病します。これは肺外結核と呼ばれるものです。
肺外結核にはいくつか種類があります。

・気管支結核
・結核性胸膜炎
・粟粒結核
・腸結核
・結核性リンパ節炎
・骨・関節結核(脊椎カリエス)
・結核性髄膜炎
・尿路結核
・結核性腹膜炎

結核の感染経路

結核菌は「飛沫感染」「空気感染」の2つの感染経路があります。
感染者と会話をしただけでも感染者の唾などが飛んでしまい、飛沫感染する恐れがあります。
感染者と濃厚な接触をした場合には接触感染を起こすこともあるので注意が必要です。

飛沫感染

飛沫感染は感染者による咳・くしゃみ・会話に含まれる大きい粒子の病原体が原因です。
その粒子が鼻や口の粘膜あるいは結膜に付着することで起きる感染といわれています。
飛沫は咳やくしゃみによるものでも感染者から1〜2m位までしか到達しません。
結核菌の感染は主に、この飛沫感染によるものです。

空気感染

空気感染は感染者の病原体を含む小さな飛沫核が空気中に拡散・浮遊し、それを吸い込んで起きる感染です。
結核菌は周りの水分が蒸発し乾燥した状態でも死滅せず、空気中を漂い始めます。
これを飛沫核と呼びます。
飛沫核はほこりのように軽いので落下せず空中を漂い始めてしまうのです。
空気感染は感染経路の中でも最も防ぐのが難しい感染で、普通のマスクでは予防できません。
「結核菌は空気感染する」ということを覚えておいてください。
いざという時に危険地帯(例えば近くに咳が止まらない人がいる、等)から早々に避難することが重要です。

感染と発病の関係

結核菌に感染した場合、感染者全員が発病する訳ではありません。
実は現代の日本では感染しても発病しない人の方が多いのです。
全世界のレベルで見てみると年間約20億人が結核菌に感染し、そのうち800万人が発病し300万人が死亡しています。
死亡者の99%が、いわゆる開発途上国の人たちなのです。
現代の日本では結核で死亡する人の多くは高齢者です。
少子高齢化社会を迎えた日本では労働力不足による外国人労働者が増えました。
そのため、若年の外国人の結核発病患者が増加傾向にあります。
現在「入国前結核スクリーニング」という事前検査が導入されています。
またBCGワクチン接種を受けている方は結核菌が体内に入ってきても「静菌化」という冬眠状態に入ってしまうことがあります。
その結核菌が一定期間を経て冬眠から目覚めて発病するというケースもあるのです。
結核は発病していないから感染していないとは言い切れない、厄介な面も持っています。

感染しても発病するとは限らない

現代の日本では、結核菌に感染しても実際に発病するのは感染者全体の30%程度です。
結核菌が侵入してきた場合でも途中の鼻や気管支粘膜等にひっかかり、肺にたどり着けなかった場合は発病する可能性が低くなります。
但し胸膜、リンパ節、脊椎・その他の骨・関節、腎・尿路生殖器、中枢神経系、喉頭等、体の別の部位で発病リスクがあるのです。
肺にたどり着かなければ発病しないとは言い切れませんので注意が必要です。
また、肺にたどり着いた場合でも免疫による抵抗性を獲得すれば、自然治癒し発病には至りません。
発病してしまうのは感染した結核菌の毒性が極めて強い場合、或いは感染者の体の抵抗力が弱く抵抗性を獲得できなかった場合です。
そのため結核を発病するのは体力が弱ってきている高齢者に多い傾向にあるのです。

感染から発病までの流れ

結核菌に感染した場合、進入してきた結核菌は気道を通過して肺に至り、肺胞の中で増殖を始めます。
増殖が進むと肺に定着し病巣を形成します。
更に一部の結核菌はリンパ節に運ばれ、リンパ節にも病巣が形成されます。
多くの場合はこの段階で免疫による抵抗性が効果を発揮し、自然治癒に向かいます。
しかし、次のような場合は自然治癒せずに肺門リンパ節結核、頸部リンパ節結核、結核性胸膜炎を発症します。

・抵抗性が得られない場合
・菌の毒性が非常に強い場合

また、血行性に結核菌が広がると粟粒結核と呼ばれる全身性の結核感染を起こし、その中で約30%は結核性髄膜炎を発症します。結核性髄膜炎を発症した場合、約30%の方が死亡する恐れがあるほど、重篤な状態です。
結核性胸膜炎を発症すると胸水という肺に水が貯まる症状が起き始め、やがて呼吸困難に陥ります。

結核の早期発見ポイント

結核を発症した場合、初期段階では無症状のことが多く自覚しにくいという特徴があります。
また結核菌は増殖する速度が遅く、病状の進行が緩やかであるという点も早期発見を妨げる要因です。
そのため、定期健診での早期発見が重要です。
胸部エックス線検査・喀痰検査を受けることがポイントといえます。
特に喀痰検査は結核の早期発見に有効な検査で、検査料金も安く結果も早く出るのが利点です。
但し、喀痰検査では検出されない場合もあるので絶対とはいえません。
自分自身で「何かおかしい」と感じたら結核検診という検診も用意されています。
それを受ければ結核かどうかが確実に判定できます。

2週間以上続く咳は結核を疑うサイン

厚生労働省は2014年に非常に明確に結核を疑うサインを公表しています。
それが「咳が止まらない・痰が出る・身体がだるい・微熱がある、こんな症状が2週間以上続くなら、まず病院へ」です。

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/dl/poster_140919_1.pdf

このポスターにもある通り、風邪のような症状が2週間以上続く場合はすぐに医療機関を受診し、レントゲンを始めとした検査を受けましょう。

定期的な健康診断

厚生労働省では毎年、9月24日から30日を「結核予防週間」としています。
地方自治体や関係団体による結核予防のキャンペーンです。
この時期には結核予防のポスターなどを見る機会も多くなるでしょう。
それを見たら結核のことを思い出して、検診を受けるようにしてください。
特に結核に感染すると危険な高齢者の方は、定期的に結核検診を受けることをお勧めします。

診断から治療までの流れ

結核か否かの診断方法としては「ツベルクリン反応検査・エックス線検査・細菌検査」が代表的です。
また、現在では結核の迅速検査キットであるXpert MTB/RIF®(セフェイド)という、2時間程度で確実な結果を出せる検査機器が普及しつつあります。
これで検査ができれば迅速な診断が可能です。
最終的には細菌検査で結核菌が検出されると、結核であると診断されます。
結核の治療は結核菌を殺菌する抗結核薬といういわゆる化学療法が中心です。
最初の2か月は次の主に4種類の薬剤が投与されます。

・リファンピシン
・イソニアジド
・ピラジナミド
・ストレプトマイシン
・エタンブトール

その後の4か月間はリファンピシンとイソニアジドの2種類の薬剤が投与され、症状によっては薬剤を追加することもあります。
重症化する前の段階で治療を始めた場合は、上記の治療でほぼ完治可能です。
結核はとにかく早期発見が大切だといえます。
6か月間の治療ですが、一昔前に比べれば相当短縮されているのです。
これは世界保健機関(WHO)の指針によるもので、長期に及ぶ結核の化学療法は問題が指摘されています。
多剤耐性結核菌という何種類もの薬剤に対する耐性をもった結核菌を生み出す可能性があるからです。
但し、これらの結核治療薬剤は副作用が出ることも多く、注意が必要です。
副作用が出た場合は必ず医師にご相談ください。
また慢性膿胸、骨関節結核、多剤耐性結核という難治性の結核症状の場合には外科手術が必要となることがあります。

結核の予防法や対処法

結核の予防薬としてはBCGワクチンが代表的です。
生後5ヵ月~8ヵ月の期間に1回の接種が義務付けられ、日本で生まれた方はほぼ全員が受けていることになります。
BCGワクチンが結核に効果を表す割合は50〜70%、その効果は10~15年程度です。
最初の接種以降はあくまで任意で、10~15年程度に1回ずつ接種すれば持続的効果が得られます。
一方、BCGワクチンは上腕部の特定部位にしか打てず跡も残るため、それを嫌がる人が多いのも事実です。
しかしBCGワクチンはワクチンの中でも安全なワクチンで、重篤な副反応が出ることは稀です。
出来れば成人してからも任意接種をした方が結核の予防に役立ちます。

感染する前

BCGワクチンの定期予防接種は各市町村で行っています。
お住まいの市町村の予防接種担当課に問い合わせて予防接種の実施時期、場所などを教えてもらいましょう
しかしBCGワクチンは接種しても100%大丈夫という訳ではありません。
市町村が実施している定期健診も必ず受けることが予防と早期発見につながります。
また海外に渡航する場合、外務省の「海外安全ホームページ」から渡航先の「医療事情」を確認しましょう。
訪問地の注意すべき感染症が分かりますので、危ないと思ったら事前にワクチンを接種してください。

https://www.anzen.mofa.go.jp/riskmap/

感染を診断されてから

結核は感染症法で「2類感染症」に指定されており、結核と診断されると医師は保健所に通知する義務があります。
結核菌に感染しており、他の人に感染させる恐れがある(=排菌している)と診断されたらすぐに治療を受けなければなりません。排菌している場合は、原則入院治療が必要です。
治療が進み排菌が止まれば他の人を感染させる危険性がなくなるので、退院して通院治療が可能です。

感染を強く疑う場合

「結核かな?」と思ったら、まずは結核の入院病棟を備えている病院を探しましょう。
電話で相談し、速やかに診察を受けてください。
近場に病院がない場合はかかりつけ医に連絡し、指示を受けましょう。
もし本当に結核を発症している場合は注意してください。
一般の病院に行くと院内感染を起こす危険があるからです。
結核病棟を備えている病院は、患者が結核と診断されると近親者や濃厚接触者の感染も調べてくれます。
専門機器を用意している場合が多く診断が早く出ますので、安全に進めることが可能です。
なお移動にあたっては必ずマスクの着用を行ってください。

結核は本人だけの問題ではない

結核は飛沫感染だけでなく空気感染という最も強力で危険な感染経路を持つ病気です。
また結核を発症すると自分自身だけでなく、周りの人達に感染させてしまう恐れがあります。
もし発見が遅れ、周りの人達に感染させてしまったら「他人に大きな迷惑を与えてしまう」可能性があるのです。
その結果、それまで築いてきた人間関係も壊してしまう可能性が十分にあります。
もし感染させてしまった方が重篤な状態になったら、自分自身も辛い立場に立たされるでしょう。
そうならないためにも結核の予防は十分に行う必要があるのです。

まとめ

確かに現代の日本では結核による死亡例は少なくなりました。
しかし、日本は他の先進国に比べ1結核罹患率が高く、結核がなくなった訳ではない以上、危険は残されています。
少子高齢化社会を迎えた日本では高齢者が多くなり、海外からの労働者受け入れも進んでいます。
その結果、結核患者がいつ急増してもおかしくないのです。
よく「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言いますが現代日本における結核は、まさにその状態だといえるでしょう。
少し前に強毒性インフルエンザの発生が真剣に心配された時期がありました。
しかし今はその問題もなかば、忘れ去られています。
人は忘れてもウィルスや病原菌はいつ、どんな形で襲い掛かってくるか分かりません。
感染病の危険は常に身近にあることを忘れてはならないのです。

こちらの記事の監修医師

フリーランス

末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス 〇医師  :末光智子 〇アクセス: 〇診療科 :内科 〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)