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ALSの初期症状について解説|症状はどのように進行する?ALSの検査から診断までの流れもご紹介します

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最終更新日:2021年8月24日

ALSの初期症状について解説|症状はどのように進行する?ALSの検査から診断までの流れもご紹介します

こちらの記事の監修医師
フリーランス
末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス
〇医師  :末光智子
〇アクセス:
〇診療科 :内科
〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)

ALS(筋委縮性側索硬化症)は国が指定する特定疾患の1つです。
難病として知られるALSですが、実際にどのような症状があるのでしょうか。
ALSは早期発見が大切といわれる一方で、診断がつくまでに時間がかかることも少なくありません。
今回はそんなALSの初期症状や検査・診断について詳しくご紹介します。

ALSの主な初期症状

ALSの早期発見に繋げるためには、初期症状を知っておくことが大切です。
何となく感じていた不調が、実は初期症状だったと後から気づくこともあります。
ここではALSの主な初期症状をチェックしていきましょう。

手足に力が入らない

ALSの初期症状として多いのが、手足に力が入らないことです。特に初期は片側から症状が始まることが多いです(徐々に左右両側へ進行)。
なぜALSの初期には力が入りにくくなるのでしょうか。
それは何らかの原因によって運動ニューロンが侵されてしまうからです。
身体を動かそうとする時、通常は運動ニューロンによって脳から筋肉へ指令がいきます。
しかしALSでは運動ニューロンが正常に機能しないため、手足に力が入らなくなってしまうのです。これを「四肢麻痺」といいます。
手足に力が入らないと以下のようなことが起こる可能性があります。
・着替えに時間がかかる
・ペンや箸が持ちにくい
・字が書きにくい
・物を落としてしまう
・足が前に出にくく歩くのが遅くなった
・立ち上がりにくい
これらはALSの患者さんの初期症状としてよく見られます。

舌や口が動きにくい

ALSの初期症状で動かしにくくなるのは、手や足だけではありません。
身体の中を巡る運動神経には多くの種類があり、その1つに舌や口の動きに関わるものがあります。
この運動ニューロンが侵された場合に起きるのが「球麻痺」というALSの特徴的な麻痺です。
球麻痺が起こると舌や口が動かしにくくなり、以下のような症状が見られます。
・飲み込みにくい
・ろれつが回らない
・思うように話せない
最初は「何となく変だな」と感じるだけであっても、この症状が続くことがきっかけで病院を受診する患者さんもいます。

呼吸が困難である

呼吸が困難になることもALSの症状の1つです。しかし病気が進行してから起こることが多く、初期症状としてはあまり見られません。
初期症状で呼吸困難感が出る場合は、「何もしていないのに息苦しい」「少し動いただけで苦しい」など感じ方は人それぞれです。
息苦しさで病院を受診しても、胸部レントゲン検査などでは異常がなく見逃されてしまうこともあります。

ALSの症状の進行

ALSの初期症状は大きな変化がないため「何となく不調」「最近体力が落ちたかも」と認識するだけで見過ごされがちです。
しかしALSを発症すると病状は進行していきます。
ここでは、ALSの病状の進行についてご紹介します。

4種類の症状

ALSには特徴的な病状があります。
・運動障害
・構音障害・嚥下障害
・呼吸障害運動障害は初期から見られることが多く、病状が進むと歩行が困難になり車椅子が必要になります。
構音障害・嚥下障害が進むと人との会話が困難になり、「上手く会話が出来ない」状態に本人だけでなく家族が気づくことも珍しくありません。
初期症状には気づかず、会話が困難になった段階で異変に気づく患者さんもいます。
呼吸障害が進行すると、次第に自分の力で呼吸をすることが難しくなります。つまり「自発呼吸」がなくなるということです。

以前はALSでは認知症は認めにくいと言われていましたが、近年はALSで起こる認知症も注目されています。
「前頭側頭型認知症」というもので、一般的に認知症として知られる「アルツハイマー型認知症」とは症状が異なります。
ALSで起こる前頭側頭型認知症の特徴は、ルールを守れない、他人の気持ちに配慮できない、口数が減るといった症状です。
ALSの身体症状よりも前頭側頭型認知症の症状が先に出現する患者さんもいます。周囲の人からは「性格が変わった」と見られることも少なくありません。

維持される機能

ALSの病状が進行していくにつれて運動機能が低下し、様々な動作が困難になっていきます。
しかし、その中でも維持される機能があることを知っておきましょう。
・視力や眼球運動
・聴力
・痛みや痺れなどの触覚
・味覚
・排泄機能
運動神経が侵されても自律神経や五感は維持されます。
眼球の動きが維持されるため、会話が困難になると眼球運動を活用してコミュニケーションを取る患者さんも少なくありません。
またALSの症状として意識障害はなく、最後まで意識がはっきりしているのが特徴です。
だからこそ、ALSの患者さんは動けないことや話せないことにストレスを感じやすいといえます。

ALSの特徴

ALSはまだ未解明な部分が多い病気ですが、日々研究が進み分かってきたこともあります。
ALSにはどのような特徴があるのかご紹介します。

高齢者の発症率が高い

ALSは高齢者の発症率が高い病気です。
毎年1,000人程がALSと診断されますが、50歳以上の割合が高くなっています。
生活習慣や食生活などとの関連性は分かっていませんが、年齢と発症率には相関があるということです。

進行スピードには個人差がある

ALSの病状の進行には個人差があるのも特徴です。
発症から1年で急激に進行する患者さんもいれば、人工呼吸器を使わずに10年以上経過する患者さんもいます。
症状の出方によっても経過が異なり、呼吸障害が先に出現した場合は人工呼吸器を使うかどうかで予後が変わります。

根本原因は未解明

国の特定疾患に指定されているALSについては、様々な研究が進められています。
神経障害や遺伝子異常によるものではないかと研究が進んでいるものの、根本的な原因はまだ分かっていないのが現状です。
遺伝子異常と聞くと「家族で遺伝するか?」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
しかし遺伝でALSになったと判断できない患者さんが多いのが特徴です。

ALSの検査から診断までの流れ

ALSは早期発見が大切ですが、どのような検査をして診断に繋げるのでしょうか。
ここではALSの検査から診断までの流れをご紹介します。

まずはかかりつけ医へ

ALSを疑うような症状があれば、まずはかかりつけ医を受診しましょう。
そこで症状を伝えて必要な検査を行います。例えば息苦しさがあればレントゲン検査や心電図といった一般的な検査です。
歩きにくさや飲み込みにくさがあれば、脳の病気を疑いCT検査やMRI検査を行うこともあります。
しかしALSからくる症状であれば、これらの検査で異常は見つかりません。そこで神経の病気を疑い、神経内科を紹介されることが多いです。
神経内科では筋肉の萎縮やビクツキ、麻痺や感覚障害の有無など、神経学的に詳細な診察を行います。
また神経が筋肉をどのように支配しているかが分かる「針筋電図」も、ALSの主要検査として用いられます。

最終的な診断まで1年以上かかるケースも

早期発見が重要視されるALSですが、異変を感じてから最終的な診断まで1年以上かかるケースも少なくありません。
症状に合った診療科を受診しても、それがすぐにALSと結びつきにくいからです。
その症状の原因を探るための検査をいくつも実施しているうちに、長い時間が経ってしまうこともあるでしょう。
またALSの発症率は人口10万人あたり1~3人と珍しい病気です。そのためALSよりも他の病気を疑うことが多くなります。
しかし「そういえば…」というようなエピソードや症状がALSの診断に繋がることもあります。気になる症状があれば医師に伝えていくことが大切です。

ALSの治療方法

ALSは進行性の病気で、短期間で病状が進むこともあります。
しかし数十年前と比べて研究が進み、進行を遅らせる薬が開発されました。
また病状の進行に合った対症療法もあり、これらを組み合わせた治療が行われます。
ALSの主な治療方法はこちらです。

・薬物療法
・対症療法としての薬物療法
・リハビリテーション
・栄養管理
・呼吸管理

ALSの薬物療法には「リルゾール」という飲み薬と、「エダラボン(ラジカット)」という点滴薬の2種類があります。
これらは病気を治す薬ではありませんが、進行を遅らせる効果が期待されています。
またALSの患者さんには様々な苦痛が生じる可能性があるので、苦痛を和らげる目的で薬を使うことがあります。
例えば痛みに対して痛み止め、不眠に対して眠りを促す薬という感じです。
ALSでは手足に力が入りにくくなる症状が出ますが、筋肉を使わないと体力が低下します。
また寝たきりの状態になると筋力低下や拘縮のリスクが高まるでしょう。
これらを予防するためにALSの患者さんには継続的なリハビリテーションが勧められることも多いです。
ALSの患者さんは病気の特性上、体重が減りやすくなります。しかし痩せすぎは体力・免疫力の低下を招きかねません。
そのため栄養管理もとても大切なことです。

ALSの症状が進行したら

薬でALSの進行を遅らせることができますが、いずれは症状が進行していきます。
それでは症状が進行したら、どのような対応をしていくのでしょうか。
まず呼吸障害が進行した時には「人工呼吸器」を装着するかどうか検討しなければなりません。
呼吸障害が進行すると、息苦しさが増して苦痛を伴います。また、いずれは自分の力で呼吸をすることができなくなり死に至ります。
その呼吸をサポートするために用いるのが人工呼吸器です。人工呼吸器はマスクを装着する場合と、気管を切開する場合があります。
特に気管切開はのどを切開して管を入れるので、なかなか受け入れられない患者さんもいます。
続いて嚥下障害が進行した場合の対応です。食べにくさや飲み込みにくさが進んだ時は、食事の形態を検討していきます。
例えば一口大→刻み食→ミキサー食という形で安全に食べられる形に調整していきます。最近ではゼリー食というものもあり、食形態の幅が広がっています。
それでも栄養が取れなくなった場合に検討するのが経管栄養です。胃に直接栄養を入れるために「胃瘻」を造設します。
胃瘻を造設したからといって、口から食べられなくなる訳ではありません。ムセがない範囲で、お楽しみとして経口摂取を続けることは可能です。
最後に構音障害が進んだ時の対応です。構音障害が進むとこれまでのようなコミュニケーションが困難になります。
そんな時に用いられるのが文字盤や、口の形で読み取る口文字です。
ALSの症状が進んでも眼球運動や瞬きといった目の動きは保たれます。こうした残存機能を活かしてコミュニケーションを図るのです。
近年ではパソコンやタブレットを活用したシステムの開発が進み、コミュニケーションツールとして活用されています。

早期発見のポイント

進行性の難病であるALSは早期発見が大切だといわれますが、これは患者さんの生活の質(QOL)を向上させるためです。
自分が難病だと分かり悲観的になる患者さんは大勢います。しかし大切なのは、そこからどのように病気と向き合うかではないでしょうか。
病気を早期に発見すれば、進行を遅らせる薬を早く使うことができます。
また早い段階で病気への理解を深めたり、家族と今後について話し合う時間も生まれます。
しかし身体の不調に気づいて受診をしても、発見が遅れることも少なくありません。
本人にとっても家族にとっても悲しいのは、ALSの診断がついた時すでに余命わずかだったというケースです。
病気の診断とともに人工呼吸器をつけるかどうかの選択を迫られるのは、あまりに酷なことですね。
先ほどお伝えした初期症状に加えて、筋肉のやせやピクツキといった症状はALSの特徴です。
気になる症状があれば神経内科を受診して専門医に相談しましょう。

まとめ

今回はALSの初期症状や病気の進行についてご紹介しました。
ALSは国が指定した特定疾患の1つで、明確な原因が分かっていません。
症状が進行すると呼吸が困難になり、人工呼吸器を装着するかどうかの選択をしなければなりません。
症状が出てからは食事やコミュニケーションなど進行に合った対応をしていきます。
ALSは進行性の病気だからこそ、早期発見が重要です。気になる症状があれば専門の医師に相談してください。

こちらの記事の監修医師

フリーランス

末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス 〇医師  :末光智子 〇アクセス: 〇診療科 :内科 〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)