黄疸が出る原因を解説!黄疸と肝臓や胆嚢との関係性は?黄疸の治療法や受診のタイミングをあわせてご紹介

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最終更新日:2021年8月24日

黄疸が出る原因を解説!黄疸と肝臓や胆嚢との関係性は?黄疸の治療法や受診のタイミングをあわせてご紹介

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末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス
〇医師  :末光智子
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〇診療科 :内科
〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)

何らかの原因で皮膚や白目が黄色くなることを黄疸といいます。
黄疸が出ると、何か悪い病気ではないかと不安になってしまいます。
今回は黄疸が出る原因や、受診のタイミングについて詳しくご紹介します。

黄疸の原因

黄疸は何らかの病気のサインということが少なくありません。
血液中には赤血球が存在し、ビリルビンという黄色い色素が含まれます。
古くなったビリルビンを処理するのは肝臓の役割ですが、肝臓の機能低下によってビリルビンが処理されないと血液中に蓄積します。
そのため、血液中のビリルビンの値が上がり、皮膚や眼球粘膜が黄色くなる「黄疸」が出るのです。
まずは黄疸の原因となる病気について見ていきましょう。

肝炎


黄疸を引き起こす原因として多いのが肝炎です。
肝炎はウイルス感染などによって肝臓に炎症が起こるものです。
炎症が起こった肝臓は、機能が低下してしまい多くの身体的不調をもたらす原因となります。その中の1つに黄疸があるのです。
正常な肝臓であれば、古いビリルビンを処理して体外へ排泄させる役割を果たします。
しかし肝炎になると肝細胞が侵され肝機能が低下します。
そのためビリルビンが処理できず血液中に蓄積し、皮膚や粘膜が黄色くなってしまうのです。

アルコール性肝疾患

アルコール性肝疾患も黄疸の原因となる病気であり、その名の通りアルコールの過剰摂取によってかかる疾患です。
長期にわたるアルコール摂取は肝臓の機能を低下させるリスクがあります。
肝臓は人間が飲食したものを分解・解毒する機能をもっています。
もちろんアルコールも肝臓で分解・解毒されるのですが、肝臓への負担が大きいということを知っておきましょう。
長期にわたるアルコール摂取は、肝臓を疲れさせる原因となるのです。そして肝臓の機能が低下していき、様々な不調を引き起こします。

胆石や腫瘍による胆管閉塞


黄疸を引き起こす原因の1つとして胆管閉塞があり、これに伴う黄疸は「閉塞性黄疸」と呼ばれます。
胆管閉塞による黄疸は、ビリルビンの運搬経路に関係しています。
肝臓で処理された古いビリルビンは、胆嚢に運ばれて胆汁と共に排泄されます。
しかし、何らかの原因で運搬が滞ると、血液中にビリルビンが蓄積してしまうのです。
胆管は胆汁を運ぶための通り道であり、ここが閉塞することが黄疸の原因となります。胆管閉塞を起こす病気には他にも胆石や腫瘍があります。
完全に閉塞してしまう場合もあれば、胆管が狭くなって流れが悪くなるパターンなど様々です。
いずれにしても、胆管閉塞の原因となる病気を治療することで、黄疸の改善が見込めます。

薬や薬用ハーブによる中毒反応

黄疸は薬や薬用ハーブ、サプリメントが原因となって出現することもあります。
なぜ病気ではなく、薬や薬用ハーブが原因となるのでしょうか。それは肝臓がもつ本来の機能が関係しているのです。
肝臓には解毒機能があるので、アルコールや薬といった物質は肝臓で解毒されてから体外へ排出されます。
そのため薬や薬用ハーブ、サプリメントを摂取すると肝臓に負担がかかることがあることを押さえておきましょう。
病院で処方された薬の中にも肝臓に負担がかかるものもあり、その場合は定期的な検査が必要です。
薬用ハーブの場合は、それだけで胆汁の流れを抑制してしまったり、赤血球への影響で血液中のビリルビンを増やしたりすることがあります。
何らかの薬剤を摂取した後に黄疸が発生した場合は、肝臓をはじめ身体への影響があると捉えて、使用を中断しましょう。
薬剤の情報が分かるものを持って医療機関に相談してください。

赤血球が壊れる溶血

黄疸の頻度としては、ここまでに挙げた肝臓・胆道が関連する場合が多いですが、
中には肝臓や胆道が関連しない原因もあります。
それが、赤血球が壊れる「溶血」による黄疸です。

赤血球の構成成分であるヘモグロビンは、
赤血球が破壊されると血液中に流れ出します。
このヘモグロビンを代謝する過程でビリルビンが生じ、肝臓へと運ばれていきます。

赤結球には約120日という寿命があり、
正常な体の働きとして、寿命を迎えた赤血球の処理による
ビリルビンは日々生成されています。
この場合は生理的な範囲であり、黄疸は生じません。

しかし、なんらかの原因で赤血球の破壊が病的に起こる場合、
処理できる能力以上のビリルビンが増加するため、黄疸が出現します。
 
赤血球の破壊が病的に増える場合、「溶血性貧血」という病名がつきます。
病名のとおり、貧血が進行し、程度により黄疸を認めます。

肝臓や胆道系の異常がないのに、黄疸が出現する場合は
こうした「溶血性貧血」がないかを疑って調べることが大切です。

「溶血性貧血」の原因は様々ありますので、溶血性貧血を疑う場合は
血液内科の受診が必要です。

黄疸と一緒に出る症状

黄疸はその症状だけ出る場合もあれば、他の症状を伴う場合もあります。
他の症状が出ることで、体調に注意がいき黄疸に気づくことも少なくありません。
黄疸と一緒に出る症状をチェックしていきましょう。

・皮膚のかゆみ
・倦怠感・疲労感
・発熱
・食欲不振
・吐き気
・風邪のような諸症状
・便の色が薄くなる

これらの症状には、黄疸そのものによる症状と、
黄疸の原因になっている病気による症状が含まれます。
「何となく最近だるい」「なぜか食欲がない」ということがあれば、肝臓の病気かもしれません。
もし皮膚や眼球粘膜に黄疸が出現するようなら、早めに病院を受診してください。

肝臓や胆嚢との関係

黄疸の原因を見てみると、主に肝臓・胆嚢・胆管に異常があることが分かります。
これらはどのような関係があるのでしょうか。まずは肝臓・胆嚢・胆管の位置関係をご紹介します。
お腹の右上に存在する肝臓と胆嚢は、胆管という管で繋がっています。
肝臓の細胞で作られた胆汁は、複数ある胆管を通って胆嚢に貯留されます。
そして、胆嚢から胆管を通って十二指腸へ分泌されます。
胆汁はここから小腸へ流れていくのですが、便の色はこの胆汁に含まれるビリルビンの影響を受けます。
このように肝臓と胆嚢は近くに存在するだけでなく、連続した働きを持っているのです。

黄疸の治療法

黄疸が出現したらどのように治療を行うのでしょうか。
黄疸の主な原因は肝臓や胆嚢の病気です。
このことを踏まえて黄疸の治療法を見ていきましょう。

原因疾患の治療


黄疸は何らかの病気が引き起こす症状の1つなので、まずは原因疾患の治療を行います。
原因がウイルス性肝炎の場合は、抗ウイルス療法・肝庇護療法が治療法としてあげられます。
しかし急性ウイルス性肝炎では、安静にすることで自然と状態が落ちつくことも少なくありません。
肝臓の炎症が落ち着けば、黄疸も治まっていきます。
アルコール性肝疾患では、原因となるアルコールを断つ必要があります。
禁酒や食生活の見直しを徹底し、肝臓への負担を減らしていくのです。
薬や薬用ハーブ、サプリメントが原因の場合にも、原因となった薬剤を直ちに中止します。

胆管閉塞の場合


肝臓と胆道系は密接な関係にありますが、胆管閉塞の治療は肝臓そのものの治療とは異なります。
閉塞した胆管のつまりを改善し、溜まってしまった胆汁を排出しなければなりません。
そこで、胆管内につまった胆汁を十二指腸や体外に出すための「ドレナージ」を行います。
閉塞性黄疸の改善で行われるドレナージは以下の2種類があります。

・内視鏡的胆道ドレナージ:十二指腸からチューブを入れる
・経皮経肝的胆道ドレナージ:腹部から皮膚・肝臓を通して胆管にチューブを入れる

どちらのドレナージも体内に管を入れるため、侵襲を伴います。
胆管につまった胆汁はこれで出すことができますが、あくまでも一時的な対処であり、胆管の閉塞を起こした原因疾患の治療も必要です。
これは原因疾患により治療法が異なります。例えば胆石が原因であれば、超音波破砕治療や胆石除去術を行います。がんのような悪性腫瘍による場合は、手術なども検討する必要があります。

かゆみへの対処

黄疸と一緒にかゆみが出てくることもあります。かゆみは命には影響ありませんが、患者さん自身ではどうしようもなく、睡眠障害に陥ることも少なくありません。
そのような辛いかゆみがあれば、黄疸が改善するまでの間、薬剤を用いて症状の改善を図ることも可能です。
黄疸の原因となる病気によって用いる薬剤が異なる場合があるため、まずは主治医に相談することが大切です。

受診のサインとタイミング

皮膚や眼球粘膜に黄疸が出た時、すぐに受診すべきか様子を見るべきか悩むものです。
受診すべきサインとタイミングについてご紹介します。

受診すべきサイン

そもそも黄疸は身体に何らかの異常があるサインです。そのため、黄疸が出たら病院を受診しましょう。
中には命の危険を知らせるサインの場合があるので注意してください。すぐに受診すべきサインは以下の通りです。

・発熱を伴う
・嘔気・嘔吐
・重度の腹痛
・ひどい眠気
・意識障害
・興奮状態や錯乱といった精神状態の異常
・血便・タール便が出る
・吐物に血液が混入している
・皮下出血や出血しやすさがある
・明らかにひどい黄疸

これらのサインは、黄疸の原因となる肝臓や胆管に重篤な異常がある場合に出現します。
特に発熱や腹痛、嘔吐などの胆管閉塞による胆管の感染を伴う場合や、精神状態の異常やひどい眠気を呈する肝性脳症は、重症化する恐れがあるのですぐに受診が必要です。

受診のタイミング


黄疸が出たら、他の症状の有無に関わらず医療機関を受診しましょう。
特に先ほどお伝えしたような、重篤な疾患による黄疸の恐れがあればすぐに受診が必要です。
もし症状が黄疸だけの場合でも、自己判断での「経過観察」はやめましょう。
肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、自覚症状がないままに病気が進行していることも少なくないからです。また、肝臓や胆道系以外の病気の場合もあります。
早めに受診をして原因を早期発見することが大切です。

受診した際に実施される検査

黄疸で受診した際には、どのような検査が行われるのでしょうか。
受診時に行われる主な項目は以下の通りです。

・医師による問診・診察
・血液検査
・超音波検査(エコー検査)
・CT検査・MRI検査
・肝生検

まずは黄疸の原因を突き止めるためにさまざまな検査を実施します。
中でも血液検査は、ビリルビン増加の程度を知るだけでなく、肝臓や胆道系の機能や、溶血の有無を確認するための必須検査です。
その他の検査は医師の判断で実施され、すべての検査を行う訳ではありません。

黄疸の予防法

黄疸が出現する時、すでに肝臓や胆管などに何らかの異常が出ている恐れがあります。
では黄疸を予防する方法はあるのでしょうか。
黄疸の予防法とは、つまり黄疸を引き起こす異常に早期に気づくことだと思ってください。

尿や便の色の変化を見逃さない


皮膚や眼球粘膜が黄色くなる前に、別の場所で変化が見られる場合があります。それが、「尿」と「便」の色です。
ビリルビンが胆管を通って排出されないと、血液中のビリルビン濃度が上昇します。
その影響で尿の色が紅茶やウーロン茶のような濃い色になってしまうのです。
また胆管閉塞によりビリルビンが小腸に流れないと、便の色が薄くなります。
普段よりも薄い色の便や、白っぽい色は注意しましょう。
黒っぽい色やタール便は消化管で出血が起こっている恐れがあるのでこちらも要注意です。
これらは黄疸と同じく身体の異変のサインですので、医師に相談してください。

白目が黄色くなっていないかチェック


黄疸の出現が最も分かりやすい場所が「眼球結膜」です。
難しい言葉に思えるかもしれませんが、要は白目のことで鏡を見るだけでチェックできます。
白目は普段から白いので黄疸が分かりやすいのです。
皮膚にも黄疸が出ますが、「光の当たり具合」「もともとこんな感じ」と思って見過ごしてしまうこともあります。
普段から鏡で白目をチェックすることで、黄疸の早期発見に繋がります。

まとめ

黄疸は肝臓や胆嚢・胆管、あるいは赤血球に何らかの異常が生じたサインです。
肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、自覚症状がないまま病気が進行することも少なくありません。
普段から白目や皮膚の色、尿や便をチェックすることで、早期発見に繋がることもあります。また、定期的な健診を受けることも大切です。
黄疸が強く出ている、あるいは他の症状を伴っている場合は放っておかず医療機関を受診してください。

こちらの記事の監修医師

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末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス 〇医師  :末光智子 〇アクセス: 〇診療科 :内科 〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)