貧血の症状を解説!貧血の対処法と未然に防ぐ方法をご紹介

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最終更新日:2021年8月24日

貧血の症状を解説!貧血の対処法と未然に防ぐ方法をご紹介

こちらの記事の監修医師
フリーランス
末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス
〇医師  :末光智子
〇アクセス:
〇診療科 :内科
〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)

一般的に貧血は「怖い病気」という認識が薄いといえるでしょう。
がんなどのように「直ちに病院へ」「早期発見・早期治療」といった緊急性とはかけ離れた存在です。
風邪やちょっとした頭痛と同程度の認識で、深刻に考える方は少ないでしょう。
しかし「風邪は万病のもと」と表現するのと同じく、貧血も侮ってはいけません。
実は、貧血も重度になると入院が必要なのです。またその貧血は何かの病気の随伴症状かもしれません。
貧血によって日常生活に支障をきたす前に、まずは貧血について正しい知識と対処法を身に付けておきましょう。
今回の記事では「鉄欠乏性貧血」を中心に解説します。

貧血の主な症状

赤血球に含まれるヘモグロビンには、鉄が必要です。この構成成分である鉄分不足の状態が続くと鉄欠乏性貧血になってしまいます。

貧血は軽度から中等度の場合は無症状であることが多く、症状がないからといって貧血がない、とはいえないため注意が必要です。
鉄欠乏性貧血がかなり進行すると自覚症状が出現します。
自覚症状としては、貧血で全身への酸素供給が低下することにより、全身倦怠感や、疲れやすさ、頭痛、動悸、息切れ、めまいなど様々な症状が出現します。また、パニック障害などのメンタル面での症状が鉄不足から起こることもあります。

初期の貧血は自覚症状が出にくいため、なんらかの症状を自覚するということは貧血が進んでいる証拠です。
具体的な検査値を挙げると、ヘモグロビン濃度が7g/dL前後まで下がった場合に動悸などの症状を自覚することが多いです。
通常のヘモグロビン濃度は成人男性13.0g/dL以上、成人女性及び小児12.0g/dL以上です。
7g/dLはかなり数値が低く、直ちに治療すべきレベルであることが分かります。
いつもより動悸や息切れを頻回に認めるようになったり、安静時にも症状を感じるようになったりしたら要注意です。

長期の鉄欠乏によって、爪の変形や口内炎、舌炎なども出現しやすくなります。
また、氷や土などを摂りたくなる、異食症と呼ばれる症状が出ることもあります。

貧血だけに特徴的な症状と言えない症状が多いため、貧血が進行していると気づかれずに放置されていることも少なくありません。
症状だけを目安にせず、定期的な検査を受けることが必要です。

よく「めまい、立ちくらみ」を「貧血を起こす」と表現していることが多いですが、「めまい、立ちくらみ」は医学的な「貧血」ではない場合が多くあります。
医学的な「貧血」は、血液中のヘモグロビン量が減少している状態です。

一般の方が「貧血を起こす」と表現する場合の「貧血=めまい、立ちくらみ」は、突然目の前がフーっと真っ白になったり、足元がフワフワした感覚になったりするような症状です。

こうしためまい、立ちくらみは、起床時の低血圧や、急に立ち上がった際に起こる、脳への一時的な血流低下、俗にいう「脳貧血」による症状を指していることがほとんどです。
「貧血」と「脳貧血」が混同されて表現されがちですが、「貧血」と「脳貧血」はイコールではありません。
もちろん、「貧血」のひとつの症状として、「脳貧血」による「めまい、立ちくらみ」が起こりやすくなることはありますが、「めまい、立ちくらみ」の頻度と、ヘモグロビン量とは相関しない場合もあることを知っておいてください。
「めまい、立ちくらみ」が多い場合は、貧血だけでなく、自律神経の乱れなども確認する必要があります。

貧血の主な原因

貧血は原因により様々な種類があります。
鉄欠乏性貧血再生不良性貧血悪性貧血溶血性貧血などです。
頻度の高い鉄欠乏性貧血は、鉄欠乏によりヘモグロビンの合成が障害されることで起こる貧血です。
鉄が減少してしまう理由は大きく3つあります

月経

女性は月一回の月経により、鉄が喪失されるためどうしても鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。
経血はもちろん血液であり、1周期の月経の総出血量は平均して100cc前後といわれています。
経血中に含まれる鉄も一緒に失われるので、全身に十分な酸素供給ができなくなってしまいます。
従って、月経のある女性は鉄欠乏性貧血になりやすいと自覚し、積極的に鉄分を摂取しましょう。

妊娠

妊娠中は胎児に十分な酸素と栄養を供給するために、母体の血液循環システムは大忙しです。
胎児は母体の子宮内の血管を流れる血液から、酸素と栄養をもらいます。
非妊娠時と比べて、何もしていなくても貧血傾向に傾きやすい状況なのです。
お母さんはしっかり食事から鉄分を摂らないと、母体側が貧血に傾いてしまいます。
更に母体側の栄養不足が深刻化すると、胎児側の栄養不足にも繋がってくるのです。

その他疾患

外傷などによる出血はもちろんですが、何らかの疾患で体内に出血が見られると貧血となります。
具体的には胃潰瘍による出血や子宮内膜症子宮筋腫などの婦人科系疾患による月経過多があげられます。
持続的な出血により体内の血液量が減少すると共に、鉄も喪失し、身体も貧血傾向に傾いてしまうのです。
出血ポイントがわかっていれば、止血をすることで徐々に身体の状態も元通りとなります。
別の疾患の随伴症状としての貧血の場合は、原因となる疾患の治療が必要です。

貧血を伴う病気

貧血を伴う病気はたくさん存在しますが、代表的な病気を3つご紹介しましょう。

がん

がんには様々な種類があるものの、大抵のがんは貧血を伴います。
がんと貧血は全くの別モノに思えますが、がんの随伴症状として貧血が出現することは珍しくありません。
貧血出現の理由も複数ありますが、主に次のような理由が挙げられます。

・腫瘍部分周辺の出血による場合
・がんに伴う慢性炎症の持続による場合
・がん闘病に伴う栄養不足による場合
・薬の副作用による場合

がんの治療と同時に貧血にもアプローチしていく必要があるのです。

白血病

白血病はがんの一つであり、血液の中の白血球ががん化した状態です。
白血病により正常な血液細胞が減ることで、貧血を併発することがあります。
また、がんと同様で白血病の治療中に一時的に栄養が取りにくくなり、貧血に及ぶ場合もあります。

慢性腎不全

腎臓は尿を産生する臓器ですが、血液を造る指令を出すホルモン(エリスロポエチン)の産生も担っています。
慢性腎不全になり、腎臓からの造血ホルモンが減少すると、「血液を造って!」という指令自体が出なくなるため、貧血が進行します。
腎臓が悪い方は、貧血の進行にも注意が必要です。

貧血による症状が起きた時の対処法

貧血による動悸や息切れ、立ちくらみが起きた場合の対処法です。
まずはその場に座るか、可能であれば横になりましょう。
酸素の必要量が上がる状況で、症状が出やすくなります。
無理に動き続けると転倒する危険があります。
一時的な症状であれば、落ち着くまで休んでください。
貧血による諸症状が起きた場合、残念ながら即効性のある食べ物や飲み物などは存在しません。
その場で鉄剤を飲んだとしても即効性はなく、日々服用して体内に鉄分を貯蔵していく必要があります。
どうしてもつらい症状を今すぐ何とかしたい場合は「足三里」というツボを強く押してみましょう。
「足三里」は疲労、倦怠感に良いといわれるツボなので、押すことにより症状が緩和する方もいます。

貧血を未然に防ぐ方法

日々の生活において、鉄欠乏性貧血を未然に防ぐ方法を2つご紹介しましょう。

食生活の改善

偏った食事は貧血だけでなく、健康そのものの大敵です。
バランスの取れた食生活を意識するようにしましょう。
また3食しっかり食べることも大切です。
朝食をコーヒーだけにしたり、ましてや抜いたりしないようにしましょう。
貧血改善を意識した食材として、血液を作る材料となる鉄分やビタミンC、ビタミンB12や葉酸が豊富なものが挙げられます。また、タンパク質も十分に摂ることが大切です。
中でもビタミンCは鉄分の吸収を助けてくれる強い味方です。そのため鉄分とビタミンCは特に意識して摂取してください。
ビタミンB12と葉酸は赤血球を作るために必要であり、貧血改善には欠かせません。
鉄分の代表格といえばレバーです。
レバーは好き嫌いが分かれる食材ですが、レバーが苦手なら赤身の肉やまぐろ、かつお、あさりなども鉄分豊富です。
鉄分と共に摂るべきビタミンC食材としてはレモンやキウイフルーツが挙げられます。
ビタミンB12であれば海苔、あさり、しじみなどです。
葉酸は納豆、ブロッコリーなどに豊富に含まれています。
ご紹介した通り、貧血を意識した食材を用意することはそこまで大変ではありません。
どの食材も、最寄りのスーパーで手に入るものばかりです。
気負う必要はなく、毎日の食生活にプラスしていくところから始めましょう。
逆に緑茶やコーヒーは控えめにしてください。
これらに含まれるタンニンが鉄分の吸収を妨げてしまいます。
気分転換のためにどうしても緑茶やコーヒーが飲みたい場合は、飲む前後に時間を空けて鉄分豊富な食べ物を食べましょう。

十分な睡眠

毎日しっかり睡眠時間を確保することも大切です。
慢性的な睡眠不足に陥ると鉄分の吸収能力が低下してしまい、鉄欠乏性貧血はなかなか改善しません。
また睡眠不足は身体の抵抗力免疫力を下げてしまいます。
睡眠をしっかりとることで貧血だけでなく、様々な疾患から身を守れるのです。
なお睡眠は時間よりも「質」を重視しましょう。

貧血の症状を疑う場合は病院へ

倦怠感や息切れ、動悸やめまい、ふらつき、耳鳴り、時には頭痛などの貧血に伴う症状が起こる場合は、迷わず内科を受診しましょう。
血液検査を受けて、ヘモグロビンの値を確認します。
合わせて、貯蔵鉄と呼ばれるフェリチンの値も確認することが大切です。
ヘモグロビンの値は軽度低下であっても、貯蔵しておく鉄分であるフェリチンが枯渇していることがあります。これは「隠れ貧血」とも言われ、日本人女性には多い状態です。鉄欠乏性貧血であれば、食事の改善、鉄剤の服用や注射投与となります。
また、貧血ではなかったとしても受診することで、身体の別の問題や隠れていた病気を発見できる場合も多々あります。
頻繁にいつもと違う症状が起こる場合は、なるべく早めに受診してください。

まとめ

女性なら貧血はある程度仕方ない、放っておけばそのうち治るなど、貧血についての間違った認識が多く見受けられます。
貧血は放っておくだけでは治らないものだと認識しましょう。慢性的にゆっくり貧血が進行する場合は、はっきりした自覚症状が分かりにくい場合があります。定期的な健診を受け、鉄欠乏性貧血を疑う症状が出た場合、あるいは悩んでいる場合はすぐに医療機関を受診してください。
また受診後は薬を処方してもらって終わりではありません。
規則正しい生活バランスの取れた食事といった自己管理の継続は欠かせません。
貧血は他の病気に伴って発生することもあります。
貧血を認めたら、何が原因で貧血になっているかも必ず確認しましょう。
貧血を改善すると、体力や免疫力の向上につながります。
規則正しい生活とバランスの取れた食事を基本として、貧血になりにくい体作りから始めてみましょう。

こちらの記事の監修医師

フリーランス

末光智子 先生

〇病院名 :フリーランス 〇医師  :末光智子 〇アクセス: 〇診療科 :内科 〇経歴:自治医科大学卒業後、愛媛で地域医療に従事。結婚後、三重県在住、四日市ヘルスプラス診療所(四日市消化器病センター 分院)勤務。日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定産業医。Body Element System Japan認定ピラティスインストラクター、ジョイ石井認定イメージングカウンセラー、プロフェッショナル・ファスティングマイスター。著書「すこやかで幸せになるために ココロとカラダを調える」(出版社:ギャラクシーブックス)