PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を解説|PTSDの主な原因は?治療法や治療後の注意点もご紹介

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最終更新日:2021年8月24日

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を解説|PTSDの主な原因は?治療法や治療後の注意点もご紹介

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。

本人の力ではどうにもならないような事件や事故、あるいは自然災害といった出来事はいつどこで起きるか分かりません。

そしてそのような出来事の後に、心に傷を負ってしまうことも少なくありません。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は長期にわたり苦しむことがあり、早めのケアが必要とされます。

今回はPTSDの症状や原因だけでなく、治療後の注意点についても詳しく解説していきます。

PTSDの症状

PTSDとは、生死に関わる出来事や精神的な衝撃を受けたことで生じるストレス症候群のことをいいます。

こうした体験だけでもつらいのですが、PTSDになるとその後長期間にわたり様々な症状に苦しめられるのです。

それでは、PTSDの症状をご紹介します。

侵入症状

PTSDの代表的な症状ともいえるのが侵入症状です。

侵入症状とは、PTSDのきっかけとなった衝撃的な記憶が蘇ることを指し、「フラッシュバック」という言葉で表現されることもあります。

客観的にその場面を見ているような感覚

タイムスリップしたみたいに鮮明に蘇る

映画のスクリーンで見ているみたい

上記は全て侵入症状であり、記憶の蘇り方は様々です。

トラウマとなった記憶が突然蘇るため、動悸や冷や汗といった身体症状が現れることもあります。

また当時の記憶が夢に出てきて眠れなくなる人もいるのです。

原因の出来事を思い出させる物事の回避

誰だって不快な記憶や恐い経験は思い出したくないものです。

しかしトラウマと関連する人物・物・状況などに触れると、ふとした瞬間に記憶が蘇ってしまいます。

トラウマ体験を思い出させる物事を回避しようとすることも、PTSDの症状の1つです。

意識して避ける人もいれば、無意識のうちに避けている人もいます。

原因の出来事を思い出させる物事を回避するので、日常生活に支障が出ることも少なくありません。

感情コントロールの欠如

PTSDの症状として、感情コントロールの欠如があります。

トラウマになるようなつらい経験をすると、なかなか心の整理がつかないものです。悲しみ・怒り・憤り・虚無感など様々な感情が渦巻くでしょう。

突然泣き出したり興奮したりしたかと思えば、落ち込んで黙り込んでしまうこともあります。

心の傷は他人の目には見えないものなので、周囲の人は戸惑うことも多いのです。

その他の症状

PTSDには他にも様々な症状があります。

他人を信用できない

いつも緊張して気持ちが張りつめている

トラウマとなった出来事が暴力や犯罪だった場合、身近な人であっても信用できなくなる場合があります。

また他人に優しくされても何も感じないなど、感覚が麻痺する人もいます。

「突然襲われるかもしれない」「また同じことがあるかもしれない」という不安から、常に緊張状態にある人も多いです。

PTSDはこれらの症状が長く続くのが特徴です。

PTSDの主な原因

つらい症状を長引かせてしまうPTSDですが、どのようなことが原因で起こるのでしょうか。

PTSDは突然起こった衝撃や被害など、様々なことが原因になりかねません。

ここでは、PTSDの主な原因について説明していきます。

暴力行為の体験

暴力行為の体験はPTSDの原因として知られていることの1つです。

自らが受けた暴力によって命の危険を感じると、PTSDになるリスクが高くなります。子どもの頃の虐待やいじめもこれにあたります。

そして、自分が暴力を受けていなくても、目撃することでPTSDになるリスクがあることを知っておきましょう。

目の前で誰かが暴力を受けた、暴力によって身近な人が死亡した、重傷を負ったという体験によってPTSDになるのです。

暴力行為と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか。何となく遠く離れた出来事に感じる人もいるかもしれません。

しかし暴力行為の体験は決して身近に起こらないとは限りません。自分とは縁のない出来事だろうと思っているからこそ、体験した時の衝撃が大きいのです。

性的暴行や犯罪被害

PTSDは性的暴行や犯罪被害が原因で起こることもあります。

どちらも経験した人にしか分からない恐怖や悲しみがあるでしょう。

性的被害によるPTSDは人に相談できず、1人で苦しみ続ける人も少なくありません。

性的暴行や犯罪被害も暴力行為と同じく、目撃者であってもPTSDになるリスクがあります。

身近な人が性犯罪被害によって亡くなった、あるいは心に傷を負った時の悲しみは計り知れません。

自然災害

自分の力ではどうにもならないのが自然災害です。自然災害はいつ、どこで、どのような規模で起こるか分かりません。

日本は地震・津波・台風・洪水・土砂災・竜巻など多くの自然災害が起こり得る国です。

突然目の前で起こった自然災害は多くのものを奪っていきます。それは「もの」とは限らず身近な人の命かもしれません。

多くの被害が出た阪神淡路大震災や東日本大震災では、PTSDについても注目されました。長い年月が経ってもPTSDの症状に悩む人もいるのです。

PTSDかもしれないサイン

もしかしたらPTSDかもしれない…。そんな時は早めに対処する必要があります。

ここではPTSDかもしれないサインをチェックしていきましょう。

トラウマとなった出来事の記憶が蘇ることがある

トラウマに関係のある話題・場所・人を避ける

つらい経験が繰り返し夢に出てくる

突然涙が溢れてくる

感情を抑えられず人に当たってしまう

緊張状態やイライラが続く

手足が自分のものでないように感じる

物事に集中できない

PTSDの原因となる出来事があった後、これらのサインが1か月以上続くようならPTSDの可能性があります。

自分ではPTSDだと気づかず、症状に苦しむ人もいます。適切な治療や対処ができないと長期間にわたり苦しい思いをすることになりかねません。

また感情コントロールの欠如によって、本人だけでなく周囲の人も疲れてしまったり人間関係が悪くなったりすることもあるでしょう。

そのためPTSDかもしれないサインに気づいて専門家に相談する必要があるのです。

PTSDの治療法

PTSDに気づいたら精神科・心療内科など専門的な医療機関で治療を受けましょう。

PTSDの治療では、医師だけでなく心理カウンセラーによるカウンセリングを行うことも多いです。

それではPTSDの治療法を精神療法と薬物療法に分けてご紹介します。

精神療法(心理療法)

PTSDの患者さんに最も必要なのは、傷ついた心を回復させることです。それは「過去を忘れる」ということではありません。

忘れられないからこそ、侵入症状や回避など様々な症状が出現するのです。それではPTSDの精神療法とはどのようなことを行うのでしょうか。

PTSDの治療法に有効とされている精神療法が「認知行動療法」です。認知行動療法の中でもPTSDの治療には以下の精神療法が主に用いられます。

認知処理療法(CPT)

眼球運動脱感作療法(EMDR)

持続エクスポージャー療法(RE)

認知行動療法では、トラウマとなった状況をあえて思い出すことで、その時の感情と向き合い現実とのバランスを整えていきます。

しかし当時のつらい過去を思い出すのは本人にとって苦しみを伴うでしょう。だからこそ信頼できる医師やカウンセラーの存在が必要です。

認知行動療法を行っていくうちに「もう大丈夫な状況になった」という安全や、「受け止めてくれる人がいる」という安心に気づくことができます。

また感情のコントロールができるようになり、対人関係が上手くいくことが期待できます。

薬物療法

PTSDの治療は精神療法と薬物療法の2本立てで進めることがあります。

ただし薬物療法は抑うつ状態や不眠を改善するものであり、PTSDを根本的に治すのが目的ではありません。

PTSDでは強い不安や対人恐怖から、>抑うつ状態になることがあり、最悪の場合は自ら命を絶つことを考える人もいます。

こうした状況の対症療法として用いられるのが、SSRIのような抗うつ薬です。

また不眠に対しては睡眠を促す薬を用い、休息できるようにしていきます。

PTSD治療後の注意点

PTSDの治療後はどのようなことに注意すべきなのかをご紹介します。

治療したからといって、すぐに元の生活に戻れるわけではありません。その人なりのペースで無理をしないことが大切です。

できることから普段の生活を再開する

PTSDの治療後は、いきなり普段の生活に戻そうとしなくても大丈夫です。まずはできることから再開していきましょう。

ここで大切なのが「できなかった自分」を責めるのではなく、「できた自分」を認めてあげることです。

少しずつでもできることを増やして、以前のような生活を取り戻しましょう。

不安を感じたら迷わず相談する

普段の生活を再開しようとしても、先に進むことに不安を感じる人もいます。

また何らかのきっかけでPTSDの症状が出現する可能性はゼロではありません。

治療後であっても、不安を感じることがあれば迷わず相談をしてください。

PTSDの予防法

強い衝撃が原因となってPTSDを発症するリスクは誰もがもっています。

それでは、もしも暴力行為や犯罪被害、自然災害のような出来事を経験したらどのようにPTSDを予防すればいいのでしょうか。

命の危機を感じるような経験は誰でも衝撃を受けるものです。そのような時は、まず休息と安心が必要です。

十分な睡眠を心がける

気分転換やリラックスできるものを取り入れる

誰かに話を聞いてもらう

心的外傷を受けたばかりの急性期では、認知行動療法よりも休息や傾聴が必要とされています。

PTSDは一人で抱え込まずに医師に相談

同じ経験をした人たちが、全員PTSDになる訳ではありません。またPTSDになる人は、もともと心が弱いのかといったらそうではないのです。

つまりPTSDは誰にでも起こり得るということを知っておきましょう。

しかし、つらい経験をした後に自分がPTSDだと気づかずに苦しむ人も少なくありません。そのため心のケアができずに、長期間苦しんでしまうのです。

もし、トラウマとなる経験があり悩んでいるのであれば一人で抱え込まずに医師に相談してください。

まとめ

今回はPTSDの症状や原因についてご紹介しました。

命の危険を感じるような経験は、強い衝撃となって心に傷を残します。これは誰もがなり得るもので、心が弱いから発症したと自分を責める必要はありません。

PTSDの主な症状としては、当時の記憶が蘇る侵入症状・トラウマを思い出させる物事の回避・感情コントロールの欠如があります。

これらの症状は外出に不安を感じたり、人間関係が上手くいかなくなったりと日常生活に支障が出るものです。

PTSDの治療にはトラウマと向き合う認知行動療法が有効とされています。また症状に合わせて薬物療法も行うのが特徴です。

PTSDの症状に思い当たるものがあれば、早めに受診をして医師に相談しましょう。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック 〇医師  :鈴木幹啓 〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2 〇診療科 :小児科 〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO 1975年三重県伊勢市生まれ 1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度) 2001年自治医科大学卒業 日本小児科学会認定小児科専門医 国家資格ケアマネジャー 三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院 平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院 【製薬会社社外講師・CM出演等】 グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品 【メディア出演・TV監修】 日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」 【著書】 日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社) 開業医を救うオンライン診療(幻冬舎) 2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。