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「棒を鼻に突っ込む」あの検査は必要?インフルエンザの「正しい知識」【小児科医が解説】

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最終更新日:2021年12月3日

「棒を鼻に突っ込む」あの検査は必要?インフルエンザの「正しい知識」【小児科医が解説】

こちらの記事の監修医師
医療法人 啓信会きづ川クリニック
米田 真紀子 先生

※画像はイメージです/PIXTA

新型コロナウイルスの流行前は、日本国内でも毎年1000万人~2000万人の感染者をだしていたインフルエンザ。これまでの人生、1度は感染した経験があるかと思います。ただ、誰もが知っている症状だからこそ、誤った知識・認識を持った人が少なくありません。そこで今回、小児科医の米田真紀子氏が、インフルエンザに関する「正しい情報」を解説します。

3割は熱もでない?「インフルエンザ」について

インフルエンザは季節性のウイルス性疾患で、低温で乾燥した環境を好むため、この時期から世界中で毎年のように大流行する病気です。日本でも、コロナ禍前は毎年1000万人から2000万人近くの感染者がでていました。

インフルエンザウイルスは基本的には粘膜から侵入し感染を引き起こすウイルスで、感染が成立すると、数日後から高熱や咳、鼻水などの風邪症状がでます。こじれれば肺炎を起こすこともありますし、稀に脳炎・脳症を引き起こすこともあります。

感染経路は飛沫感染と言われており、新型コロナウイルス同様、感染者の唾液や鼻水などウイルスを含んだ飛沫を摂取してしまうことによって感染します。

インフルエンザといえば、「高熱がでて辛いイメージ」という人も多いと思いますが、実は必ずしもそういうわけではなくて、感染しても3割程度の人は熱もでないとも言われています。

ただし、熱がなくても鼻水や咳は多少でることもあり、弱いながらも他人に感染させることもあります。また、なかには無症状でもインフルエンザウイルスを排出し他人に感染させてしまう人もいます。

インフルエンザにかかっていることが分かると、幼稚園・保育園や学校は、出席停止(※)の対象となります。前述のとおり、インフルエンザは通常の風邪と比べて飛沫感染での感染力が強く周囲に広がりやすいため、乳幼児や学童のあいだで感染者が一気に増える可能性もあるからです。

※出席停止の期間:「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」

あまり一気に広がってしまうと、子どもから大人、そして老人も感染し、医療機関の業務を圧迫してしまうため、集団で多数の感染者が分かると、学級閉鎖、ひどい場合には学校閉鎖になることもあります。

これは決して、インフルエンザが、「かかると大変な病気だから」というわけではなくて、あくまで感染者を爆発的に増やさないようにするための措置です。

このあたりは、現在の新型コロナウイルス対策にも共通するところがあります。

「棒を鼻に突っ込む」あの検査…実はなくても大丈夫?

インフルエンザの診断は、周囲の感染状況と症状に加えて、場合によってはインフルエンザ抗原迅速検査(※)を参考にします。

※一般的に広く行われているのは、鼻から綿棒のようなものを入れ、鼻の奥にある鼻咽頭をこすり検体を採取する方法

状況から迅速検査をしなくてもインフルエンザと診断できることも多々ありますし、そもそも迅速検査は6割程度の感度しかないとも言われているので、検査はあくまで参考程度と考えています(感度には発症からの時間や検体の採り方など、様々な要因が関与します)。

しかし、最近は「学校から検査を依頼されました」といって受診する人も多く、診断方法や検査のタイミングは医師の裁量に任せてもらえるわけではないのが実情で、無用な検査をしなくてはいけなくなることもあります。

このことを踏まえ、インフルエンザ流行シーズンに子どもが熱をだしてしまったときも、過度におびえる必要はなく、子どもが何か飲んだり食べたりできているようであれば、まずは半日から1日程度、自宅で様子を見てみることをおすすめします。

発熱後すぐに受診しても、ほかの症状や所見がはっきりせず、検査の感度も下がるために、解熱薬のみ処方され様子観察、または後日再診指示となる場合が多いです。これでは、しんどい子供にとってもお母さんたちにとっても余計な負担になってしまいます。

薬に頼りすぎるのは危険

インフルエンザと診断されれば、「その治療は?」という話になりますが、基本的にはインフルエンザであってもほとんどの人にとってはただの風邪の一種なので、特別な治療は必要ありません。

特に体力のある子ども、基礎疾患のない子どもの場合は、熱などのしんどい症状を適切にやわらげてあげながら、食べられるものを食べてしっかり水分を摂り、なるべくよい睡眠を取らせてあげられれば、多くの場合2~3日で回復します。

オセルタミビル(タミフル)やラニナミビル(イナビル)、バロキサビル(イナビル)などといった抗インフルエンザウイルス薬もたくさん開発されていますが、どれもお薬である以上、一定確率で副反応が出ることがありますし、もし効いたとしても熱が出ている期間を24時間程度短くする程度の効果しかありません。

そのことを1人ひとり丁寧に外来で説明できればいいのですが、インフルエンザシーズンは外来がごった返しになり、医師も説明の余裕もなく、希望されるままお薬をだしてしまうことがあります。

もしも患者さん側がこのことを知っておいていただけたら「不要なお薬を出さずに済むのにな……」と思うことが多々あります。

コロナ対策はインフルエンザにも効果的

インフルエンザを予防する確実な方法は、ワクチンです。ただし、インフルエンザワクチンは、インフルエンザが毎年形を変えて流行することもあり、他のワクチンよりも効果が低く、発症予防効果は3割程度とも言われています。

もっとも、ワクチンは高熱などのつらい症状を緩和したり、重症化を防いだりする働きがあるとも言われています。

ワクチン頼みだけではなく、新型コロナウイルスに対する感染対策が、インフルエンザに対しても有効です。

2021年シーズンに関しては、まだ全国的にもインフルエンザ患者報告がたくさん挙がっている状況ではありません。これから流行するかどうかも不透明な状況ですが、いざというときに焦らないためにも、心のどこかにとどめておいていただけると嬉しいです。

こちらの記事の監修医師

医療法人 啓信会きづ川クリニック

米田 真紀子 先生

日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
1981年生まれ。平成19年滋賀医科大学医学部卒。同年4月より滋賀医科大学付属病院にて初期研修の後、同大学小児科学教室入局。平成23年より済生会滋賀県病院勤務の後、平成27年より京都きづ川病院勤務。
その間、3人の子供に恵まれ、育休・産休を取得しつつ、現在はその経験を生かして、患者とその家族の心に寄り添う診療を心がけている。一般診療から小児救急、新生児領域まで幅広い経験を有する。