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肝炎の種類と原因・症状の違い

最終更新日:2021年12月23日

肝炎の種類と原因・症状の違い

こちらの記事の監修医師
日暮里内科・糖尿病内科クリニック
竹村 俊輔 先生

(画像=The Photo Of Liver On Woman’s Body Against Gray Background, Hepatitis, Concept with Healthcare And Medicine/stock adobe.com)

肝炎とは、文字通り、肝臓に炎症が生じる病気です。何らかの原因で炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊された状態で、やがて肝臓の機能が低下して肝硬変や肝がんなど重い疾患に進行していきます。肝炎は、その原因によって現れる症状に違いがあります。ここでは、肝炎の種類とそれぞれの原因や症状の違いについて解説します。

肝炎の種類~原因や症状の違い

肝炎とは、ウイルスアルコール肥満遺伝などさまざまな要因で肝臓に炎症が起こり、肝臓の機能が次第に低下していく病気です。進行するにつれて肝臓の細胞が壊され、慢性肝炎や肝硬変になると肝がんが現れることもあるため、早期に発見し、治療を始めることが大切です。

肝炎の治療法は、肝炎の種類によって違います。さっそく、肝炎の種類とそれぞれの肝炎の原因などについて解説します。

急性肝炎

急性肝炎は、主にウイルスが原因で起こり、現在はA、B、C、D、E型の5種類の肝炎ウイルスが確認されています。感染してから、通常は3週間から8週間程度の潜伏期間をおいて発症し、B型、C型では、潜伏期間が6ヶ月間と長期にわたることもあります。
急性肝炎の原因には、ほかにも、薬物アレルギー自己免疫性肝炎があります。

急性肝炎の症状の代表的なものは、全身倦怠感吐き気発熱食欲低下不振などで、皮膚や眼球の白い部分が黄色くなる黄疸(おうだん)の症状が現れることも特徴です。
急性肝炎の場合、症状が現れるのは短期的で、1ヶ月から3か月程度で自然治癒します。

劇症肝炎

急性肝炎の患者のうち、約1~2%は急激に症状が悪化し、肝細胞が大量に壊れて機能しなくなることがあります。肝炎が劇症化して肝不全となることを、劇症肝炎といいます。
劇症肝炎の症状は、高熱ひどい倦怠感強い吐き気などです。
劇症化すると脳症による意識障害を起こしたり、場合によっては肝臓移植が必要となったりすることがあり、死亡率はおよそ7割から8割と高くなります。 

慢性肝炎

肝臓の炎症が6ヶ月以上続いている状態だと、慢性肝炎と診断されます。
慢性肝炎の原因には、ウイルス性のものと生活習慣からくるものの2つに分けられます。
ウイルスによるもの慢性肝炎になりやすいのはB型・C型肝炎ウイルスで、これらは血液を介して感染します。特にC型肝炎は、慢性肝炎の原因のおよそ7割から8割を占めます。
生活習慣では、アルコールの摂りすぎ中性脂肪が肝臓にたまる脂肪肝などが引き金となります。
慢性肝炎は、症状の進行を自覚しにくく、知らない間に肝硬変や肝がんに進展していることが多いため、早期発見や治療が必要です。

ウイルス性肝炎

日本人に多い肝炎が、ウイルス性肝炎です。
肝炎の原因となるウイルスは、主にA・B・C・E型の4種類が知られています。慢性化しやすいとされているのはB型ウイルスとC型ウイルスによる肝炎で、D型ウイルスによる感染は、日本ではめったに起こることはありません。
B型肝炎は母子感染することがあり、この場合、生まれた子供は10歳代以降で肝炎を発症します。
A型、B型肝炎についてはワクチンがあるため、ワクチン接種によって予防することができます。

アルコール性肝障害

アルコール性肝障害は、長期にわたって大量のアルコールを摂取している人になりやすい肝炎です。一日の摂取量のおおよその目安は、日本酒では2合ビールでは500mlの缶(または中瓶)2本となります。
アルコールを大量に摂取し続けると、肝臓に脂肪が蓄積されて炎症を起こし、気付かないうちに肝硬変や肝がんに進行して命に関わる危険があるため、節制が必要です。
日頃飲むお酒の量を減らし、休肝日をつくることが予防として効果的です。

非アルコール性脂肪肝炎

アルコールを飲まない人でも、肝炎になります。
非アルコール性脂肪肝炎は、生活習慣病との関連が強く、肥満糖尿病脂質異常症
などの人になりやすい病気です。
食べ過ぎ、運動不足など日頃の生活習慣に気をつけることが予防に有効です。

自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎は、体内の免疫が自らの肝細胞にダメージを与えて破壊して発症する疾患です。肝炎ウイルスやアルコール薬剤による肝炎とは区別され、難病に指定されています。
中年以降の女性に発症しやすく、未だ原因が明らかになっていません。
自己免疫性肝炎では、わかりやすい症状はなく、病気が進行してから発見される例も少なくありません。
治療にはステロイドが投与され、免疫の働きを抑制する薬を服用することもあります。

原発性胆汁性胆管炎

原発性胆汁性胆管炎とは、体内の免疫が自らの胆管細胞を攻撃して破壊する自己免疫疾患で、これも中年以降の女性に発症しやすい病気です。
肝臓内の胆管に炎症が起きるため、胆汁が正常に流れずに溜まってうっ滞すると、黄疸が目立つようになります。また、尿の色が濃くなったり皮膚にかゆみなどの症状が現れたりすることも特徴的な症状です。
原発性胆汁性胆管炎では、合併症として、慢性甲状腺炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群などの自己免疫性疾患を発症することもよくあります。

割合が高い?日本人に多い肝炎とは

(画像=Blood test tubes. Senior female scientist examining blood test tubes at her laboratory dna testing analysis profession specialist clinician experienced medicine healthcare doctor concept copyspace/stock adobe.com)

日本人に多い肝臓病は、ウイルス性肝炎です。ウイルス性肝炎の中でも特にB型とC型は、血液や体液を介して感染するため、日常で注意が必要です。肝炎にかかっているかどうかは、血液検査で調べることができます。

肝炎の種類を調べる検査

(画像=Scientist holding tube with blood sample and label STD Test on light blue background, top view. Space for text/stock adobe.com)

肝臓の機能を調べるためのものとして最も一般的なのが、血液検査です。肝臓の機能を表す数値には、AST(GOT)ALT(GPT)γ-GTPALPなどがあり、これらに異常がないかを調べることで、肝臓の状態を知ることができます。

肝炎を診断するための項目とは

AST(GOT)、ALT(GPT)とは、肝臓の細胞に多く含まれている酵素のことです。肝炎により肝細胞が壊れると血中に流れる量が増えるため、数値が上昇します。
γ-GTPは、肝臓、腎臓、膵臓などの細胞に含まれる酵素で、これらの疾患のほか、胆道に疾患がある場合にも値が上がります。
ALPは、肝臓をはじめとした、からだのさまざまな細胞でつくられる酵素です。胆汁うっ滞が生じると数値が上がるため、自己免疫による肝炎を発見するために役立ちます。

ウイルス性肝炎の場合は、‎AST(GOT)ALT(GPT)の値が上昇します。
これは、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫による肝炎の場合も同じで、特に原発性胆汁性胆管炎では、胆管障害の指標となるγ−GTP、ALPも上昇します。

病名確定には複数の検査が必要

肝炎では、血液検査の他に、腹部エコー腹部CTなどいくつかの検査を行い、最終的にどの種類の肝炎であるかを見極めます。
自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎の可能性が疑わしい場合は、正確に把握するために肝生検を行って診断を確定します。

まとめ

(画像=まとめ・コピースペース/stock adobe.com)

一口に肝炎といっても、肝炎にはさまざまな種類があり、原因や治療法はそれぞれに違いがあります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、何らかの異常が起こっていても表立った症状が現れにくく、なかなか自覚することができません。
急性肝炎や劇症肝炎のように、わかりやすく症状が出る場合もありますが、症状が現れた時はかなり進行していることが多く、命に関わる重篤な状態であることもあります。

肝炎は、早期発見と早期治療が重要です。
ウイルス製の肝炎は体液などから感染することが多いので、日常生活では他人の体液や血液が付着している可能性のあるものを触らないことが大切です。
また、A型、B型には肝炎ワクチンがあり、摂取が有効な予防策となります。
肝炎は血液検査でわかるので、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。

こちらの記事の監修医師

日暮里内科・糖尿病内科クリニック

竹村 俊輔 先生

〇病院名 :日暮里内科・糖尿病内科クリニック
〇医師  :竹村 俊輔
〇アクセス:東京都荒川区西日暮里2丁目26−12 ガーネットビル 2F
〇診療科 :内科、糖尿病内科

《 経歴 》
2010年 東海大学医学部卒業
2012年 済生会川口総合病院初期研修医修了
2012年 東京女子医科大学糖尿病・代謝内科入局
2019年 東京女子医科大学大学院内科学(第三)卒業
2019年 東京女子医科大学糖尿病・代謝内科助教
2021年 日暮里内科・糖尿病内科クリニック院長 就任

《 資格・所属学会 》
日本糖尿病学会糖尿病内科専門医
日本内科学会内科認定医
日本禁煙学会認定指導者
日本医師会認定産業医
医学博士

《 学会活動・論文 》
2017年 東京糖尿病性腎症セミナー 最優秀賞