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「現代社会のストレス」が生む便通異常…「過敏性腸症候群」の症状と治療法

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最終更新日:2021年12月28日

「現代社会のストレス」が生む便通異常…「過敏性腸症候群」の症状と治療法

こちらの記事の監修医師
めじろ内科クリニック
久野 伸夫 先生

画像=PIXTA

仕事や受験などで多くの人がストレスを抱えている現代社会。このようなストレスによる下痢や便秘などの便通異常を過敏性腸症候群といいます。本記事では、めじろ内科クリニックの久野伸夫先生が過敏性腸症候群の具体的な症状や治療法を解説します。

長引く便通の異常って?

現代社会では何かにつけてストレスが意図せず付きまとってきます。ストレスは心だけでなく体にも影響を及ぼします。ストレスから身体に何らかの症状を呈する病気の総称を「心身症」と呼びます。

たとえば、ストレスで胃酸が過剰に出て胃の粘膜が障害されるストレス潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)もその一つです。今回は胃ではなく、ストレスが腸に与える影響についてお話ししたいと思います。

どんな不調で受診する人が多いの?

私の外来には、「下痢が長く続いている」、「下痢と普通の便を繰り返している」、「朝からトイレの回数が増えて柔らかい便が出る」、「今まで便秘をしたことがないのに便秘になっている」といった訴えで来られる方がいます。

便通の異常が2~3ヵ月以上続いていて、年1回の健康診断では大腸の異常をみる便潜血検査も含めて異常はなく、念のための大腸内視鏡検査でも異常は認められないというのです。

よくよく聞いてみると、症状が始まる前から受験や卒業論文の追い込み、就活の時期だったり、職場の異動や転職があったり、「入社して数ヵ月目で慣れなくて」、「繁忙期で忙しくなった」、「大事なプレゼンが決まって準備が大変だ」等、緊張や不安で「ストレスがいっぱい」の状態であることがわかりました。

過敏性腸症候群って?

皆さんは「過敏性腸症候群」という病気の名前を聞いたことはありませんか? 腸には何も異常がないのに、上記のような下痢や便秘などの便通異常が、主にストレスの影響で起こる病気です。

直近3ヵ月間で、1ヵ月中3日以上下痢や便秘などの便通異常が続き、よくなったり悪くなったりを繰り返すようなら過敏性腸症候群の可能性があります。便通異常の他に、下腹部の痛みや不快感を伴うこともあります。

原因は?どの診療科を受診すればいい?

過敏性腸症候群の主な原因としては、心理社会的な要因、すなわちストレスが挙げられます。ストレスによって自律神経の失調状態になり、下痢や便秘などの便通異常が起こるのです。

自律神経は、手足など自分たちの意志で動かすことのできる随意神経とは違い、自分の意志では動かせません。生命維持に必要な臓器である、心臓や胃腸などを脳から直接自動的に動かしている神経です。

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、腸では交感神経が動きを抑え、副交感神経が動きを活発にしています。この2つの神経がバランスをとりあって、正常にに腸の動きをコントロールしています。

そこにストレスが加わると交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、腸の動きが速くなれば下痢に、腸の動きが遅くなれば便秘になります。男性では下痢型が多く、女性では便秘型が多い傾向にあるのですが、最近では女性でも下痢型が増えている印象です。

ストレスがあって、下痢や便秘がある、下痢と便秘が交互に続く、排便回数が多くて軟便が続くといった症状があるようなら、消化器内科あるいは心身症の専門家である心療内科の受診をお勧めします。

過敏性腸症候群の診断は?

過敏性腸症候群は上記のように、腸には異常がないのに心理社会的要因であるストレスがあり、月に3日以上、3ヵ月以上にわたって持続・あるいは繰り返し便通異常が認められることで診断されます。

私の外来を受診する過敏性腸症候群の患者さんの多くは、中学や高校受験の時、発表会や試合の前など、何らかの緊張や不安の続く時期にお腹が痛くなって下痢をしていた経験をお持ちでした。

どんな治療をするの?

過敏性腸症候群の治療としては、根本的にはストレスを取り除くことが一番です。しかしストレスの感じ方は人それぞれで、他の人はなんともないのに自分だけ感じてしまっている場合もあります。過敏性腸症候群になる方はストレスを感じやすいともいわれています。ストレスを取り除くことはなかなか難しいため、内服薬での治療を行います。

具体的には、主に便の性状を整える薬、腸の動きを調節する薬が使われます。便の性状を整える薬は、体に吸収されず便に混ざって作用します。保水作用のある細かい繊維のようなお薬で、便の水分が多ければ水分を吸収して硬めにし、少なければ飲水や食べ物から水分を吸収し保水することで便を軟らかくします。

腸の動きを整える薬は、腸の過剰な動き・緩慢な動きをどちらも正常化する作用があります。

その他に、腸の動きを抑えるだけの下痢型に特化した薬もあります。また、小腸から水分の分泌を促して便を軟らかくする便秘型に特化した薬も出ています。

上記の薬で効果が不十分な場合に、ストレスによる緊張や不安を抑えるために抗不安薬を必要時に内服してもらうこともあります。

まとめ

普段から健康で健康診断でも異常がないのに、下痢や便秘などの便通異常が続いている場合は、心理的負担がないか思い返してみてください。ストレスが腸の動きに影響を及ぼしているかもしれません。その場合は消化器内科や心療内科に相談してみてください。

地域の皆様との心のふれあいを大切にしながら診療を行う、地域のホームドクター

こちらの記事の監修医師

めじろ内科クリニック

久野 伸夫 先生

日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本糖尿病学会専門医

国立山梨医科大学卒業後、国立山梨医科大学大学院博士課程、山梨県厚生連健康管理センター内科勤務、日本赤十字社医療センター第1内科勤務を経て、めじろ内科クリニックを開院。

日赤医療センターでの経験を活かし、進歩を続ける医学の吸収を怠らず、また地域の皆様との心のふれあいを大切に診療を行っており、地域のホームドクター地域住民の健康維持に貢献している。
めじろ内科クリニック http://www.mejironaika-cl.jp/