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子供のコロナ家庭内で高い感染力

最終更新日:2021年2月15日

子供のコロナ家庭内で高い感染力

こちらの記事の監修医師
すずきこどもクリニック
鈴木 幹啓 先生

子供や未成年者は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の家庭内感染リスクは低くても、感染すると高齢者よりも感染を広げやすいことが、中国・武漢市の後ろ向き観察研究で示唆された。中国疾病対策センターのFang Li氏らは、同市における2020年4月18日までの2万7,000世帯以上のSARS-CoV-2感染追跡記録を分析し、家庭内の二次感染率は15.6%で、20歳未満の感染者は60歳以上よりも感染力が約1.6倍だったことを「Lancet Infect Dis」(2021年1月18日オンライン版)で報告した。

非同居を含む家庭内感染の大規模調査

 武漢市は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界で最初に確認され、第一波の中国国内の感染者の80%を占めた。2020年8月20日までに発表された文献では、SARS-CoV-2の家庭内二次感染率は国や地域により異なり、台湾の4.6%から中国・浙江省の31.6%まで幅広く、300世帯未満を対象とした調査が多かった。調査では、高齢者の感染リスクが高く、無症候の感染者は症候ありの感染者よりも感染力が低かった。

 著者らは武漢市のSARS-CoV-2感染追跡記録から多数世帯の後ろ向き観察研究を行った。統計学的伝播モデルを用い家庭内二次感染率を推定し、個々の曝露歴を調整して感染力とSARS-CoV-2関連のリスク因子を検討した。家族や近親者は疫学的に関連するとみなし、非同居家族も含め1家庭として解析した。

20歳未満は60歳以上より6~8割感染しにくい

 解析対象は、2019年12月2日~20年4月18日に行われた臨床的またはRT-PCR検査でCOVID-19と診断された一次感染者2万9,578例を有する2万7,101世帯。これらの一次感染者で、症状出現または陽性検体採取前2日以内の家庭内濃厚接触が5万7,581件(二次感染者1万367例、検査陰性接触者2万9,658例および未検査接触者1万7,556例)が特定された。家族構成人数の中央値は3人〔四分位範囲(IQR)2~4人〕。全感染者3万9,945例の年齢中央値は56歳(同43~66歳)、女性は52.0%だった。

 一次感染者が1人のみの2万4,985世帯では、全体の二次感染率は16.0%(95%CI 15.7~16.3%)。連鎖型二項分布伝播モデルによる家庭内二次感染率もほぼ同等で、潜伏期間は平均5日、最大感染性期間22日と仮定し、15.6%(同15.2~16.0%)と推定された。

 SARS-CoV-2に対する感受性のオッズ比(OR)は、全体として家庭内接触者の加齢とともに上昇し、60歳以上と比較して20歳未満では66~84%(OR 0.16~0.34)低下、20~59歳では31~49%(同0.51~0.69)低下した。最も感受性が低いのは2~5歳児で、1歳以下の乳児では、2~5歳児(OR 2.20、95% CI 1.40~3.44)および6~12歳児(OR1.53、95% CI 1.01~2.34)と比べ有意に上昇した(表1)。

表1. 年齢層別にみた60歳以上に対するSARS-CoV-2への感受性のOR(95%CI)

無症候性例の感染力は症候性例より8割低い

 一方、20歳未満の感染者は、60歳以上の成人よりも感染力が58%高いことが示された(OR 1.58、95%CI 1.28~1.95、表2)。また、無症候性例の感染力は有症候性例に対し79%低下し(OR 0.21、95%CI 0.14~0.31)、有症候性例の感染力は発症後と比べ発症前で約42%上昇していた(OR 1.42、95%CI 1.30~1.55)。

表2. 年齢層別にみた60歳以上に対する感染力のOR(95%CI)

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(Lancet Infect Dis 2021年1月18日オンライン版)

 同市で患者の大規模隔離、家庭内接触検疫、移動制限が行われた2020年2月11日以降、家庭内の再生産数は一次感染者で52%(OR 0.25、95%CI 0.24~0.26→同0.12 、0.10~0.13)、二次感染者で63%(OR 0.17、95%CI 0.16~0.18→同0.063 、0.057~0.070)低下した。

乳児保護者のワクチン接種優先を

 調査結果より、著者らは「子供や青少年はSARS-CoV-2の家庭内感染リスクが低いが、感染した場合は高齢者よりも感染力が高い。発症前の方がより高く、無症候性例は有症候性例よりも感染力が約8割低かった。非同居者を含め感染者を隔離すると家庭内感染リスクは効果的に抑えられる」と結論づけた。

 研究では、1歳未満の乳児の感染リスクが1歳以上の幼児と比べ高いことが確認された。同氏は「SARS-CoV-2に感染した子供には高い感染力があるので、学校再開の時期は慎重に判断すべきと考える。また、乳児のいる家庭の成人は優先してワクチン接種を行うべき」と提言した。

こちらの記事の監修医師

すずきこどもクリニック

鈴木 幹啓 先生

〇病院名 :すずきこどもクリニック
〇医師  :鈴木幹啓
〇アクセス:和歌山県新宮市下田2丁目3−2
〇診療科 :小児科
〇経歴:株式会社オンラインドクター.com代表取締役CEO
1975年三重県伊勢市生まれ
1995年自治医科大学入学(県からの奨学金制度)
2001年自治医科大学卒業

日本小児科学会認定小児科専門医
国家資格ケアマネジャー

三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
平成22年5月、新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
【製薬会社社外講師・CM出演等】
グラクソスミスクライン社、JCRファーマ社、杏林製薬、明治製菓ファーマ、鳥居薬品

【メディア出演・TV監修】
日本テレビ、読売テレビ、東京MX、テレビ朝日(医療監修)「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」

【著書】
日本一忙しい小児科医が教える病気にならない子育て術(双葉社)
開業医を救うオンライン診療(幻冬舎)

2020 年 10 月株式会社オンラインドクター.com を設立。